不倫を容認しようとする夫、自分もする気?
芸能人の不倫が大きな話題になる中、夫婦でそんな話をする人たちもいる。ところがそこで価値観の大きな違いに気づき、夫への不信感を抱く妻たちも少なくない。
妻の怒りをわかってくれない夫にイラつく……ミキコさんの場合
「今回の不倫話は、妻たちの神経を逆なでしましたよね」
そう言うのは、ミキコさん(44歳)だ。結婚して13年、11歳のひとり娘がいる。彼女が怒るのは、俳優が妻の妊娠中に不倫をしたこと、そして別れると言いながら別れなかったこと、年上妻より10歳以上年下の若い女性に走ったこと、などなど。いくら怒りを爆発させても足りないという口調で、ミキコさんは並べ立てた。
「たまたま週末にテレビを観ながら、夫とその話になったんですよ。そうしたら夫は、『まあ、妻側の怒りはわかるけどさ、たまたまそういうタイミングで出会ってしまったんだろ』と軽く言うわけですよ。しかも年齢で好きになったとは限らない。こういうのはタイミングと相性だからさって。実はうちも私のほうが4歳年上なんですよね。『あなただって若い子が目をキラキラさせて見てくれたら、心奪われちゃうでしょ』と言ったら、そりゃあねえとにやけてる。隙あらばと思っているのかしらと考えたら、なんだか妙に腹が立って。芸能人の話だから、と一蹴されたほうがマシですね」
夫からは、「ひどいことをした」という思いが伝わってこないとミキコさんは言うのだ。このあたり、男女で感想が違うのはやむを得ないことかもしれない。
夫が男性側に若干の肩入れをしたとしても、そのままその感覚が夫の浮気に結びつくわけではないのだが、ミキコさんは自分のことのようにこの話題から離れられないという。
「夫が私の気持ちを理解してくれないから、よけいにイラつく。どうして共感しようとしないのかしら。夫への不信感につながりそうです」
他人の不倫で不信感をもたれる夫も少しかわいそうになる。だが、妊娠中だとか自分よりずっと年下だとか、妻から見ると「不倫のマイナスポイント」が増大しているこの一件、他人事とは思えないのかもしれない。
トラウマがよみがえる……同じような経験をもつカズミさんの場合
同じ経験をした妻たちもまた、怒りを抑えきれないようだ。「私が第二子を妊娠中、夫に浮気疑惑があったんですよ。絶対にしていると思うんだけど、夫はついに認めようとはしませんでしたが。今回の件でそれを思い出して、非常に不快でした」
カズミさん(40歳)はできちゃった結婚をして10年。10歳、8歳、5歳の子がいる。現在、8歳になる第二子を妊娠中に、夫が不審な行動をとっていた。
「真ん中の子は私ひとりで金曜の夜に病院に行って、ひとりで産んだんですよ。夫と連絡がつかなかった。4時間ほどで産まれたんですが、夫が来たのは土曜日の午後です。うちの両親も夫にずっと連絡していたのに、携帯の電源が入ってなかったって」
これは浮気を疑われてもやむを得ない。ただ、夫の言いぶんによれば、接待で飲みに行ってつぶされてしまったとのこと。気づいたら会社に戻って寝ていたというのだ。今までそんなことはなかったとカズミさんは言う。
「でも夫は部署を変わったばかりだから、きみには事情がわからないよって。ただ、なんだか目がおどおどしていておかしいんですよね。やっぱりあれは浮気だったんだと思う」
入院前後はカズミさんの実母が手伝いに来てくれたのだが、しばらくたってから、夜中に夫がこそこそと電話をしているのを見てしまったと聞いた。
「それからも週末の夜になると帰宅が遅かったりしたので、何度か『ふたりの子のお父さんなんだからね』と釘をさすように言ったんです。夫はへらへらと『子どもはかわいいよなあ』なんて的外れなことを言っていました。わざとそういう言い方をしているような不自然さがありましたね」
半年ほどたったころには落ち着いたが、それは夫が女性にフラれたからだとカズミさんは感じている。
「忘れようとしても、第三子を産んでも、やっぱりあのことは私の中でトラウマになっている。夫は何もなかったようにふるまっているけど。第三子を産んだとき、『今回はすぐに来てよね』と言ったら、覚えてないフリをしていましたけどね。私は絶対に忘れない」
それは愛情云々の話ではなく、「妻が大変なときに、自分だけ女とチャラチャラしている夫」への不信感なのだと彼女は言う。
夫婦は信頼関係がなければやっていけない。カズミさんはいまだに、夫への完全な信頼感は復活してはいないと言った。