■見かけの速さに騙されるな!
「ADSLを導入した後の実際の速度が、最大速度と大きく異なる」というクレームがかなり多いそうです。これはどういうことでしょうか?
広告で謳われている12Mとか24Mというのは「回線の最大速度」なのですが、これがくせ者なのです。このサイトをご覧になっている人は大丈夫ですが、何も知らないと、この“見かけの速さ”で騙されてしまうのです。
ADSLというのは、ユーザーのNTT収容局からの距離や回線の状態によって、実際の速度が大きくことなるという特性があるのです。すなわち、24Mのサービスを利用しても24Mbpsでインターネットに接続できるわけではないのです。
実際私の自宅では、12MbpsのADSLサービスを利用していますが、リンク速度はたったの350kbpsです。最大速度が12000kbpsなのに、その3%の速度しかでないのです。これは極端な例ですが、いろいろな統計をみると、1.5Mサービスで800kbps、8Mで4Mbps、12Mbpsで5Mbpsが平均的な速度のようです。
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24MbpsのADSLも続々とサービス開始されますが、これもNTT収容局から約2km以内という環境の人しかメリットがないようです。伝送損失の数値が高い場合や距離が遠い場合は、12Mbpsとほとんど速度が変わらないという現実があります。
ADSLを販売する業者は、ADSLのこうした特性をきちんと公表すべきだと思います。
ちなみに、これらの苦情を受け、ADSL業界は総務省と協議した結果、最高速度の表示を行わない等広告の自主規制をする方向に向かっています。現に一部のプロバイダーでは、サービス名称から最高速度を表す数字を削除すると発表しています。広告の適正化を図るのは良いことですが、それによって、ユーザーがADSLサービスの比較・検討がしづらくなっては困りものです。
■導入後の速度を調べるには?
ADSLを導入した後の速度を、導入前に調べるにはどうしたらよいのでしょうか?
実は、導入前に、ADSL導入後の速度を正確に調べることはできません。ADSLは「NTT収容局からの距離」や「伝送損失」(信号の劣化度合いを示す値)、ひいては国道や鉄道などのノイズ源が近くにあるかどうかなど、様々な要因が速度に影響するからです。正確な速度は、ADSLを導入してなければわからないのです。
各事業者がADSL申し込み時に「あなたの場合は12Mサービスの場合、実際の速度は○Mbpsになります。」などとはっきり言えないのは、そういう理由からで、決して事業者が隠しているわけではありません。言いたくてもわからなのです。
ですが、実際の速度が大体どれくらいになるかを調べる方法があるのです。
NTT東日本のサイト『フレッツ・ADSLおすすめタイプ診断コーナー』では、回線の伝送損失値を入力することで、実際どれくらいの速度がでているのかをグラフで表示してくれます。伝送損失が26dB~30dBで調べてみると、12Mサービスの場合、22%の人が7~8Mbps、21%の人が6~7Mbpsという結果が表示されました。5Mbps以上で接続できている人が81%ということですので、概ね5Mbps以上は出ると考えられます。
アッカ・ネットワークスでも『伝送損失によるおすすめサービス判定』というページで、伝送損失と電話番号で、推定リンク速度を表示してくれます。伝送損失27dBと入力してみると、12Mサービスの場合、2.848Mbps~9.056Mbpsと表示されました。ただ、この場合でも必ず2.8Mbps以上出るかというと、そうとは言えません。あくまで平均的な目安です。
NTT西日本のサイト『プラン選択参考ツール』では、値を入力することはできませんが、伝送損失と速度の関係がグラフでわかりやすく表示されています。自分の電話回線の伝送損失が分かれば、どのサービスに加入すればいいのかわかると思います。