亀山早苗の恋愛コラム

絶対に許さない…夫の浮気で離婚した彼女がここまで憎悪を増殖させた理由

憎しみの感情は人を疲弊させる。抱えているだけで重くなって手放したくなるものだ。人それぞれではあるが、憎悪をため込んでいくことに不安はないのだろうか。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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憎悪の感情がバネになる⁉

執念深い女

憎しみの感情は人を疲弊させる。抱えているだけで重くなって手放したくなるものだ。ただ、中には、その憎悪の感情がバネになるという人もいるし、目標が定まるから生きていきやすくなるという人もいる。人それぞれではあるが、憎悪をため込んでいくことに不安はないのだろうか。

 

夫は浮気相手に操られている

同い年の夫の浮気が原因で離婚したというサヤカさん(36歳)。結婚して5年たった昨年、夫の浮気が発覚、彼女自身は離婚するつもりはなかったのだが、結局、離婚に追い込まれた。

「お互いに弁護士を通じての協議離婚となりました。浮気発覚後、私は夫を責めましたが、それは浮気された側としては当然ですよね。すると夫は家を出て行ってしまったんです。そこからは弁護士とのやりとりだけ。夫は『浮気以前から夫婦関係は破綻していた』と主張する。そんなことはないんです。3歳の息子と3人でその前の週もお出かけしたし。だけど夫は『それは息子のためであって、妻とは破綻している』の一点張り」

結局、今住んでいるマンションにそのまま住み続ける、夫がローンを払う、慰謝料は200万円、養育費も払うということで離婚は成立した。ところが夫はその直後に、浮気相手と同棲を始めている。それを知ったとき、サヤカさんの心の中で憎悪が生まれていった。

「浮気の件はしかたがないと思ったけど、夫の後ろで不倫相手が操っているんだとわかったときから、もう自分の感情が止めようのないくらい憎しみでふくれあがってしまいました。私を離婚させたのはあの女。私たちより10歳も年下なのに、ずる賢い策略家ですよね。そんな女に騙されて家族を失った夫もバカです」

一刀両断、ばっさりと切り捨てるサヤカさんだが、その後も彼女のことを調べ続けているという。

「SNSなども裏アカを使ってこっそり見ています。ときおり嫌みなコメントも残しているから、彼女はおそらく私が見ていることは知っていると思う」

本当は見たくない。見たくないのに覗いては、さらに憎悪を膨らませていく。仕事と子育てと家事と、フル回転でがんばっているのに、そんなことで時間を使っているのはバカバカしいと思いながら、憎悪を膨らませる行為をやめることができないのだという。

 

いつか仕返しするために

サヤカさんは、浮気相手と元夫の動向もふたりのSNSや共通の知り合いを介してじっくり見つめている。

「離婚してからふたりは楽しそうに、あちこち出かけています。元夫の友だちによれば、彼女がけっこう資産家の娘らしい。そんなことなら生活費も毎月きっちりもらえばよかった。見るたび聞くたびにいらだちが募ります。いつか絶対、大きな仕返しをしてやるつもりです」

どうしたら彼女がいちばん困るのか、悲しむのかを考えることが楽しいとサヤカさんは言う。そんなことを考えていることを不毛だと思わないのだろうか。

「思いません。私は夫を奪われた。その怒りの持って行き場がないんですよ。たとえば彼女と元夫が再婚したら、私、結婚式場に行ってやろうと思うんです。別に犯罪をおかすつもりはありません。ただ、夫と彼女がどんなにひどいことをしているか、本人たちに知らしめてやりたいんです。だって私、一度も元夫や彼女から謝罪の言葉ももらっていないんですから。夫は私との話し合いを拒否して弁護士を立てた。それもずっと頭にきているんです」

もし元夫が浮気についてきちんと妻に謝っていたら、そしてそこからふたりで話し合いを進めていたら、たとえ同じように離婚という結末に至ったとしてもサヤカさんがここまでこじれた感情を持つことはなかったのかもしれない。

人間の気持ちは、どうしても納得できないこと、ひっかかるものがあるとそこからこじれていく。サヤカさんの憎悪の感情を深く厚いものにしているのは、やはり夫が真実から逃げたからなのではないだろうか。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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