結婚13年で離婚の危機!?
周囲に離婚が増えている。しかも安泰だと思われる結婚10年を過ぎてからの離婚で、ほとんど女性からの申し出だ。いったい、女性たちに何が起こっているのだろう。
離婚の決断が早まっている?
かつては、「離婚したいけど、生活が変わるのが不安。ひとりになるのも怖い」といった声をよく聞いた。ところが最近聞く離婚話は、「結婚12年くらいで離婚したいと思い始め、1年ほどで離婚を決意」といったものが多い。
「私がちょうどそんな感じです」
リコさん(42歳)はそう言う。28歳で結婚、ひとり娘をもうけたが娘が中学にあがるのを機に離婚した。
「ふと気づいたら、夫との会話がなくなっていた。それでも生活は成り立つけれど、人間として女性として、こんな充実していない生活はしたくない。そう思うようになったんですよね。ちょうど娘は中学生になる。『どう思う?』と娘に聞いたら、『おかあさんの人生だからおかあさんの好きなようにすれば』という返事。夫にすぐに離婚を切り出しました」
リコさんも仕事をしているとはいえ、夫婦ふたりで得る収入で暮らしたほうが生活は楽だ。それでも彼女は離婚を躊躇しなかった。
「ストレス源を抱えたまま生きていくほうが耐えられない。もう一緒にいる意味がないなと思いながら生活していくのはつらいですから」
現状維持でもやってはいける。だが、リコさんはそれを望まなかった。自分自身がもっと幸せな人生を送ってもいいはずだと思ったから。
「夫は『どうして離婚しなければいけないんだ』と言っていましたが、私の意志が固いと知るとひきとめはしませんでした。夫も私に興味や関心がないと認めていましたし。そういう状態で一緒にいるのは無意味だと一生懸命説明してわかってもらった感じですね」
娘と父は自由に会っている。そしてリコさん自身は娘と暮らしながら仕事に邁進することで大きな満足感を得ているという。
「嫌い」ではない、でも別々の人生を歩んだほうがいい
夫を嫌いになったわけではないけれど、別々の人生を歩んだほうがいいと思い、自ら離婚を切り出したのはユミさん(44歳)だ。同い年の夫とは13年間、生活をともにした。子どもはいない。「夫のことが嫌いになったわけではありません。ただ、結婚して12年たったとき、夫は実家に帰って農業をしたいと言い出した。当然、私もついてくると思ったようですが、私は転職して5年目、まだまだ仕事でがんばっていきたかった。離婚せず別居するという選択肢もありましたが、私はそれならお互いに人生を新たにやり直したほうがすっきりすると思ったんです」
夫は意外だという表情を浮かべた。夫婦は仲良くやってきたからだ。
「ともに人生を歩むだけが夫婦ではないと思ったんですよね。それぞれがひとりになって飛躍するべき時期もあるのではないか、と。縁があったらまた会えるかもしれない。結婚という枠に自分たちを縛りつけないほうがいい」
ユミさんがそう言うと、夫は「きみは強いね」と小声で漏らした。離婚したことを明らかにすると、友人やユミさん自身の家族からも「もうちょっと夫を支えればいいのに」「我慢できなかったの」などと言われたそうだ。
「支えるってどういうことなんだろうと思いました。夫の決断に従うのが支えるということなのか……。私はそうは思わなかった。我慢すべきという説にも、どうして私が我慢しなければいけないのかわからなかったし。私たちは平等に、お互いに敬意を持って暮らしてきた。そういうプライドがあったからこそ、ここで結婚という枠を取り払ってもいいんじゃないかと感じたんです」
離婚して1年、夫とは今、いい友人関係を築いている。「離婚」は必ずしも人間関係を断ち切ることに直結するわけではないのだ。当事者たちが望むなら。
いろいろな人間関係があっていいのだろう。そして「元夫婦」であっても「支え合う」ことはできるはずだとユミさんは考えている。今後、元恋人や元夫婦たちが織りなすさまざまな形のパートナーシップが出てくるのかもしれない。