■無料額が約2分の1なのは不公平!
次に不満なのは、ISDNユーザーの場合、ADSL導入に関する費用が全額無料にならない点です。ISDNユーザーがADSLを利用するための費用は最低でも合計5,800円かかります。なのに、不成功時に無料になるのは、わずか2,000円。アナログ回線と比べ、費用は1.5倍かかるのに、完全無料にならず、費用の約35%しか無料にならないのはどうしてでしょう?
この点を広報に尋ねてみました。「ISDNユーザーがADSLを利用するには2つの手続きが必要です。1つはISDN回線をアナログ回線にする工事。次にアナログ回線をADSL回線にする工事です。今回の工事費見直しにより無料になるのは、『アナログ回線をADSL回線にする工事』に関するものなので、ISDN回線をアナログ回線にする費用は無料にならない」とのこと。
確かにNTT側のプロセスを考えると、ISDN回線をADSL回線にするには、2つのステップを踏んでいるのでそういう理論が成り立つのでしょう。しかし、ユーザー側にそのような認識はあるのでしょうか?2002年9月18日現在、NTT東西のホームページでは、ISDNユーザーの場合「一度アナログ回線に戻してからADSL回線にしなければいけない」という明確な記述は見あたりません。
一般ユーザーの視点で考えると、ISDN回線をADSL回線にするための費用として必ず5,800円はかかるわけですから、NTTの言う「DSLサービス開通に係る工事費等の諸費用」に相当すると考えられますが、あくまでNTTは、それは「アナログからADSLにしたときの諸費用」と言い張ります。ならば、ADSLはアナログ回線だけに提供されるサービスであり、ISDNユーザには提供できないサービスであるということの周知を徹底させるべきではなかったのでしょうか?
総務省のデータによると、平成13年度末時点でISDNは約1,000万回線、アナログは約5,000万回線でした。ADSLを申し込む6人に1人はISDNユーザーという計算になります。200~250円の値上げが「安心料」であるなら、ISDNから申し込むユーザーにとっては、ほんの気休め程度のものでしかないと言えます。アナログユーザーの場合、3,850円が無料になるのに対し、ISDNユーザーの場合は、2,000円しか無料になりません。同じ「安心料」を徴収しておきながら、いざというときの補償額が約2倍も違うというのは不公平ではないでしょうか?
ADSLのリンクが確立しなかったときの無料額の比較
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アナログ→ADSL
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ISDN→ADSL
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■超低速でもリンクが確立したら無料にはならない
ところで、ADSLの工事をして、たとえばISDNよりも遅い超低速でリンクが確立してしまった場合はどうなるのでしょうか?実はこの場合、たとえ回線品質が満足できずキャンセルしたとしても、工事費は無料にはならず、全額負担しなければいけません。
このような状況で、「より多くのお客様が安心してDSLサービスをお申込みいただけるようになる」(NTT東日本)のか、非常に疑問です。
アナログユーザーでも、超低速でリンクが確立してしまったときは何の救済措置も無いわけで、工事に関する不安要素は依然残っているのです。