男は妻を「嫁」と呼びたい?
ゲンナイ製薬株式会社が2019年8月に行った、「夫婦の呼び方に関するアンケート調査」によれば、他人に対して、既婚男性がパートナーを呼ぶ際に最も使う言葉は「嫁」で42.8%でした。二番目に多かったのが「妻」で39.9%。私の周囲の男性にヒアリングをしてみました。
「『妻』は改まった感じで、よそよそしい」(30代既婚)
「『妻』だと冷たい印象があって、夫婦仲が良くなさそう」(30代未婚)
「『嫁』の方が相手への愛情を表現できる」(40代既婚)
等の意見が出て、「嫁」という言葉にポジティブなイメージを持つ男性が一定数いました。
しかし、ここで注目したいのは「呼ばれる方」である女性の意識。同じ調査によると、女性が「自分のことをこう呼んでほしい」と考える呼び方の1位は「妻」で、67.2%と断トツ。男性が最も使う「嫁」を希望する人はわずか21.0%しかいません。
世の中の半分近い男性が、パートナーのことを「嫁」と呼ぶのに、「嫁」と呼ばれたい女性はわずか2割。実は7割近い女性はその呼び方に不満があるという「呼び名における理想と現実のギャップ」がこの調査で明らかになりました。
実際にこんな事例が、私の主宰する「恋人・夫婦仲相談所」に寄せられたことがあります。
「まるで夫の家の所有物……」理沙さん(36歳)のケース
毎年、年末年始には夫の実家(東日本)に二人揃って帰省しているという理沙さん(仮名・36歳)。「ひとりっ子の夫の実家は大きな農家で、親戚も周囲にたくさん住んでいます。元旦に集まった大勢の叔父叔母や従妹たちと会い、翌日には、町の青年部や彼の同級生の新年会にも参加するなど、毎年多くの方と言葉を交わします。近所の人たちとも宴会をします。
しかしどこに行っても『理沙さん』と呼んでくれる人はいません。田舎の人たちには悪気はないのでしょうが、結婚して4年もたつのに、『タナカさんちのお嫁さん』か『ヒロ君の嫁さん』としか呼んでもらえません。これは、最初に夫が私のことを『うちの嫁です』と言って、名前を紹介しなかったせいだと思います。帰省中、私は夫や夫の家の所有物でしかないのかと思うと、帰省が憂鬱です」
「嫁」は女扁に家と書くように、かつての「家制度」を連想させる漢字。「〇〇家の嫁」「××君の嫁」としか呼んでもらえない付き合いは、自分の存在を認めてもらえない気がして、違和感があるという気持ちもよくわかります。とはいえ若い女性たちには、「花嫁って憧れの言葉だし、ヨメって響きがかわいい」という方もいます。印象はそれぞれです。
12~1月は各種パーティーや親戚の集まりなど、パートナーを誰かに紹介する機会も多い季節。男性は一度、パートナーに「ねえ、何て紹介すればいい?」と確認してみてはいかがでしょう。そのひと手間でグッと信頼感が深まり、あなたの隣に立つパートナーの笑顔が増えるかもしれません。
もはやお使いになる人は少ないでしょうが、「うちの愚妻が……」は現代にはマッチしないと思われます。「愚妻」と言われてムッとする昭和の妻たちの本音を散々聞いたことがありますから……。
※参考:ゲンナイ製薬株式会社「夫婦の呼び方に関するアンケート調査」(調査期間 2019年8月2日~8月6日、調査対象 既婚女性1663名)