性欲の話はTPOをわきまえて
人間の三大欲求と言えば「食欲」「睡眠欲」「性欲」。にもかかわらず、「性欲」の話に限ってのみタブー視されているといっていいでしょう。グルメ情報やは言うに及ばず、快眠グッズ、快眠アプリなど世間では何かと話題になるものですが、”性に関する充実情報”となるとシラっとしてしまう。特に「女性の性欲」の話は、ほとんどNGワード扱いです。
「英雄色を好む」という言葉があるように、男性の性欲はその人の持つバイタリティに例えられ、「デキる男はプライベートでも王様!」と笑って許せる話題となります。しかし女性の性欲の話になると「淫乱」だとか「尻軽」とか、どうもネガティブなイメージを持たれがちです。
先日、お話を伺った女性が「大失敗しちゃいました」と言っていたのも、まさに女性の性欲の話でした。
◆美栄さん(仮名・40歳)がママ友コミュニティで犯した大失敗
「何人かのママ友とお茶してる時に、ひとりが 『最近、食欲がすごくってさぁ、どうしたらいいかしら?』と言ってきたので、『食欲なら、好きなものを食べて自分で解消できるからいいじゃない。私の方は、最近性欲がすごいのよ。でも一人じゃなかなか解消できないし、マジどうしたらいいかな』と軽く返したら、場が固まりました」
と語る美栄さん。
美栄さんとママ友仲間とは「斎藤工ってエロいよねー。エッチ上手そう」とか「西島英俊の、あのマッチョな胸に抱かれてみたい」とか、軽めの下ネタトークは普通にしていたので、自分の性欲の話をすることに、あまり抵抗がなかったそうです。
ところが、その日のママ友たちの拒否反応は想像以上。
「その場の会話はそこで不自然に終わっただけでなく、その後、私が『欲求不満で、男性を見る目が物欲しそう』『やたら胸元を強調する服が下品』などの陰口を言われるようになりました。そのうちに中傷がエスカレートして、『他人の夫にやたらと声をかけてLINE交換を迫るらしい』『〇〇さんの夫に二人で飲みに行こうと誘って断られたらしい』など、根も葉もないことを言いふらされるようになりました」
そして美栄さんは、結局そのママ友グループからは抜けることになったそうです。「性欲の話を軽々しくしてはいけないのだとわかりました。今はホンネで話せるママ友を探しています」と笑っていました。めげない美栄さん、メンタルも強いと感じました。
人生100年時代の今、女の性欲は重要課題
たぶん、美栄さんのママ友がたは、「性欲の話=人に言ってはいけない恥ずかしいこと」と考えていたり、これまで自分の性欲について意識すらしたことがなかったのかもしれません。確かに我が国ではスタンダードです。奥ゆかしさは美徳です。とはいえ、40代は性に対するスタンスが二極化する年代。医療が進歩し、健康意識の高まる昨今。人生100年と言われ、まだまだ人生の折り返し地点の手前に位置するこの時期に「もう性欲とはオサラバ」するのか、「あと30年はセクシャルな高揚感を楽しみ続ける」のか、これは実は重要課題です。
話していい場と悪い場をわきまえ、本音を言い合うのはOKです。話せるママ友も必ずいます。そこの見極めが物を言います。そしてもちろん、寝室では夫と性について話し合えるのが理想です。
性欲の有無あるいは大小の個人差は、あって当然。妻の立場で欲求がある場合、それを押さえつけたり、手放してしまうのは自然の流れに反すること。つまり、プチストレスにつながるのです。
性機能も使われぬまま閉経に向かい老年期に突入。受け止めてくれるはずのパートナーとの間に温度差が生じ、今やセックスレス夫婦が年々増加中なのですから。
40代女性たちが「食」と「健康」と「美」に向けるお金やエネルギーを少しでも「性欲」に向けて上手に発散できれば、乾きがちな毎日が潤って、気持ちもカラダも活力がみなぎると信じています。スルー状態になっている夫の方々には、「妻に話題を振ってみて」と、お願いするばかりです。