亀山早苗の恋愛コラム

男尊女卑!? 女性が無意識に抱えている「女は男よりも…」の潜在意識

男尊女卑について語り合う小さな集まりに行ってみた。話し合ううちに気づいたのは、女性たちが心の中に「男より前に出てはいけない」と知らず知らずのうちに刷り込まれている事実だ。まだまだ刷り込まれたものは大きい。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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女性たちが抱いている「一歩引く」潜在意識

男尊女卑の擦り込み

男尊女卑について語り合う小さな集まりに行ってみた。話し合ううちに気づいたのは、女性たちが心の中に「男より前に出てはいけない」と知らず知らずのうちに刷り込まれている事実だ。

かつては、「おとうさんには他の家族よりおかずを一品多く」とか、「母と娘たちは、父や息子たちよりお風呂があと」など、家父長制に基づく明確な差別があった。今はさすがにそういう家は少なくなっているだろうが、まだまだ刷り込まれたものは大きい。

 

 

「男たちに任せよう」と言いだす女性……
女は一歩下がった方がいい!?

社会人になってから知り合った趣味の仲間がいるヨウコさん(32歳)は、最近、びっくりするような光景に出会った。8人ほどのグループの中で、ひとりの男性の態度が仲間の不興を買い、みんなで解決策を話し合っていたときのこと。

「ひとりの女性が、『こういうことは男たちに任せようよ』と言い出したんです。私は、『は? なにそれ。本人も含めたみんなで話し合うのが筋でしょ』と思ったし、そう言いました。すると他の女性たちも、『そうだよ、これは男に任せたほうがいい』って。意味がわからなかった。別の女性は、『女がでしゃばることでもないしね』と。もうびっくりです。だったら、誰か女性が問題を起こした場合は、女性だけで解決するのかと聞いたら、『それはみんなで話し合うけど、最終判断は男性たちに任せる』という返事。今どき、こういう女たちがいるのか、と愕然としました。もちろん、私は仲間づきあいをやめましたよ、やってられないもの」

 

■一歩引いて歩く女性たち
それ以来、ヨウコさんは街中でも友人との飲み会でも、一歩引く女性たちが多いことに気がついた。たとえば彼女の友人カップルは、いつでも男性が前を歩き、女性がついていく形。どうしてなのか聞いてみると、「別に意味はないけど、彼が歩くのが速いから」という答えだった。

「それなら並んで歩こうと提案すればいいと思うんですよね。並んで歩きたいのにどうして先に行くのか尋ねてみればいい。男性も気づいていないだけかもしれないから」

言わなければわからない男性にも問題があるのかもしれないが、女性側がつい「一歩引いてしまう」ことにも問題があるとヨウコさんは言う。

「エレベーターで降りるとき人とかちあうことがあるでしょ。私は別に相手が誰であっても一歩引きますが、私の友人は相手が男性だと引くんですよ。私と一緒のときは自分からさっさと降りるのに。それも聞いてみたけど、『なんとなく、相手が男だと引いちゃう。私はせっかちだから、本当は真っ先に降りたいんだけど』と」

結局、誰も彼も明確な理由などなく、女は一歩引いておいたほうがいいと思い込んでいるようだ。

 

 

男性たちに否定されるのが怖い!?
「男より前に出るな」と言われて育った女性も

仕事の場面でも同様のことがある、と話してくれたのはマリナさん(35歳)。彼女は相手が男性であろうと女性であろうと、自分からどんどん意見を言うタイプだが、ふと気づくとチームの中で発言していない女性がいる。

「大勢の中では言いづらいこともあるかと思ってあとから聞いたら、『男性たちに否定されるのが怖い』と。否定されたら私が論理的に説明するから、意見を言ってほしいと頼んだんですが、なかなか自分から言いづらいみたいです。男より前に出るなと言われて育ったから、と彼女はあとからこっそり教えてくれました」

■女性たちが抱え込んでいる「抑圧」
地方にもよるが、いまだに「女は大学に行く必要はない」と祖父母に言われたと話す若い女性たちがいる。こうしたある種の悪い習慣は打破していくしかない。そのためにも女性たちが、自らの中にそういう「抑圧」を抱え込んでいないか自問してみる必要もあるだろう。

「飲み会の席などで、私はお酌撤廃を叫んでいるんです。まあ、最初の一杯は隣同士でつぎあってもいいけど、女性にお酌をさせるのは、うちの会社では撤廃しました。『お願いだから一杯だけついでくれる?』と言ってくるかわいい部長がいるので、その人にはつぎますけど(笑)。こういうのって人間関係なので、女性だからつぐとか男性はついでもらうものだとか、そういう思い込みから撤廃していかないといけないんですよね。唯々諾々と従っていたら、自分の中の違和感にも気づかないままかもしれない」

社内ではセクハラまがいのことがあると、マリナさんが相談役になっているという。そんな彼女でも、やはりここは男性に譲ったほうが自分が女らしいと思われるのではないか、と一瞬、思うこともあるらしい。

「本当は誰もが、男女およびノンセクシャルを問わず、自分らしく生きられるのがいちばんなんですけどね、なかなかそうはいかない」

女性たちを縛っている根源は、根深いものがあるのかもしれない。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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