2人きょうだいは夫婦全体の54.1%
半分以上は2人きょうだい
子育てガイドとして、アラフォーママのリアルを調べていくうち、ちょっと意外な事実を見つけました。国立社会保障・人口問題研究所がほぼ5年ごとに行っている出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)の第15回、平成28年のレポートによると、少子化の現在ですが、夫婦のきょうだい数のデータでは、子どもはひとりという夫婦は18.6%。子どもが2人いる夫婦は54.1%、3人いる夫婦は17.8%にのぼるということ。
つまり圧倒的多数は2人きょうだい、その次に僅差でひとりっ子という事実でした。
私のまわりには、ひとりっ子より2人きょうだいがやや多い、くらいだったのですが、これには地域差もあるようです。
というわけで今回は、昔と今のママ(妻)の、子ども数に対する意識を読み解いていきたいと思います。
女性1人あたりの生む数は減っています
いったん先ほどの表の22年前、1997年の数値を見てください。2人きょうだいは53.6%とほぼ同じ、かわりにひとりっ子は9.8%、3人きょうだいは27.9%となっています。
当時と比べて現在は、ひとりっ子が約2倍に増え、3人きょうだいが約半分に減り、その傾向は今後も続くと推測されます。
いっとき「母が子を生む数は30年前からほぼ変わらない」という記事がバズり、そのとき私も納得してしまったのですが、少なくともこのデータからは、既婚女性が生む子の人数は、確実に減っているということが分かります。
もちろん出生数が少ない原因のひとつに、未婚率の上昇もあるでしょう。日本の約98%の赤ちゃんは結婚している夫婦から生まれるため(※)、未婚率の上昇はそのまま出生数の低下を物語ります。※OECD 「society at Glance 2009」から
生まない理由は「お金がかかる」からなのか?
ではどうして女性が生まなくなったのか。一般的にいわれているのは、未婚既婚に関わらず、女性の高学歴化、育児より仕事に打ち込みたい女性の増加、結婚しない・産まない選択の自由化、育児負担の回避などなど……総じて「子を生むメリット」が感じられなくなった結果のように思えます。が、結婚している女性を対象にした冒頭の資料の中に、興味深い回答がありました。
上記の表は2015年に調査された、妻からみた「理想の子ども数をもたない理由」、つまり理想としていた数より実際生んだ人数が少なくなったワケです。
(ちなみに理想の子ども数は、1982年で2.62人、1997年が2.53人、2015年が2.32人。ゆるやかに低下していますが、1人台まで低下しているわけではありません)。
世代間でボリュームは異なりますが、ダントツに多い理由は総数の56.3%を占める「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」。生活費のほか、結局どのくらい必要になるか読みにくい教育費が懸念材料になるのでしょう。
次に多いのは「高齢で生むのはいやだから」。39.8%となっていて、母体や生まれてくる子どもへのリスクを考えてのことと推察されます。ほかには「育児の負担に耐えられない」、「夫への育児協力が得られない」と続きます。
さて次に、先ほども比べた22年前、1997年の同調査の結果を見ていきます。項目が少し変わっていますが、バブル崩壊後のせいか同じく経済的理由が68.4%とダントツで(子育て費+教育費の2項目合計)、次に「高齢で生むのはいやだから」33.6%が続きます。なるほど、22年前も妻の気持ちに大きな変化はないようです。
(ちなみに当時はそもそも「育児の負担に耐えられない」、「夫への育児協力が得られない」という項目がなく、調査側が想定していなかったことがうかがえます)。
もしかして、もっと前からそうなのでしょうか。今から37年前にあたる1982年にさかのぼり、同調査の結果を見てみました。
すると、ここでも経済的理由が第1位(合計46.3%)にあがっています(残念ながらそれ以前のデータには同質問がありませんでした)。
その後調べた結果、バブルに沸いていた1992年(58.4%)を含め、2002年(62.9%)、2005年(65.9%)、リーマンショック後の2010年(60.4%)もすべて「子どもにお金がかかるから」であることが分かりました。
パーセンテージの上下は、なんとなく日本経済の困窮と連動しているようにも思えますが、共通していえるのはアラフォー世代が生まれた37年前から「子育てを終えていない妻たちは、常にお金の心配をしている」ということです。
では反対に夫婦が「子どもを持つ理由」は何なのかといえば、どの年代でも「子どもがいると生活が楽しく豊かになるから」が第1位になっており、子にきょうだいが欲しい理由は「成人後、助け合えるから」「子どもの成長に好ましいから」が大多数を占めています。
これらから読み取れることは、夫婦は子どもは生活を豊かにすると感じてはいるが、新時代へ向かう子どもたちの未来を案じるがゆえに、定かではない教育費への不安があり、生活の質を担保する責任があるというインサイトです。
また妻には、将来ひとりで子どもを育てなければいけなくなったことを想定した経済的懸念もあるかもしれません。
それらの結果、理想とするきょうだい数は2~3人であり、実際生み育てるのは2人きょうだいになる、ということなのでしょう。