結婚ってなに? 条件で選んでも情熱で選んでも、うまくいかない?
芸能人の結婚ラッシュが続いている。そんな話題に、「人はどうやって結婚していくのだろう」と知人のアラフォー独身女性がつぶやいていた。
「結婚」の式や披露宴はセレモニーだが、そこから続く長い時間は、「日常生活」にすぎない。結婚に過大な期待を寄せると、「こんなはずじゃなかった」になりがちだ。
結婚してから彼への思いがひたすら下がっていって困っているという女性たちに話を聞いた。
すぐに子どもができると思っていたのに……
子どもがほしく条件で選んだアリサさんの場合
子どもがほしくて結婚したというのは、アリサさん(38歳)だ。2歳年上の彼と結婚して5年、すぐに子どもができると思い込んでいたが、実際にはいまだできずにいる。「不妊治療も考えましたが、それほど経済的な余裕がない。大金をつぎ込んでやっと授かったと思ったら育てる費用がないということになりそう。夫は自然に任せればいい、と。でも、私の思い描いていた結婚は、子どもがいないと完結しないんですよね」
夫のことをものすごく好きだったわけではないとアリサさんは平然と言う。ただ、夫にするには、こういう穏やかで安定した仕事についている人がいいと判断したのだ。もちろん、嫌いなわけではないが、情熱的に恋をしたのではなかった。
「結婚は日常生活だから、それでいいと思っていました。だけど、やっぱり本気で恋した人とするべきだったと今は思う。それなら子どもに恵まれなくても、彼とふたり、愛情だけで生活していけるんじゃないかな……」
30代前半のころ、彼女には心から愛した人がいた。だが彼は非正規で働いていたため、先行きが不安だった。本当に好きだったのに、彼女は彼から去った。そのことが今も彼女自身の傷となっている。
「結婚するには今の夫がよかったのは確かだけど、あの頃の私の元カレへの情熱を思い出すと、なんだか胸が締めつけられるんです」
今が満たされていないと、人は過去にしがみつく。前を向いて生きていきたいと願いながらも、アリサさんは足踏み状態になっている。
あんなに好きだったのに……
自分からの猛アプローチで結婚したミカコさんの場合
一方、情熱さえあれば結婚生活がうまくいくかというと、そんなこともない。勢いで結婚したものの、実際には彼に対してうんざりしているのは、ミカコさん(42歳)だ。大好きな彼に自分からプロポーズ、妊娠を機に結婚した。「ちょっと卑怯だったんですが、彼にはピルを飲んでいると言いました。でも実際には飲んでいなかった。そうしたらすぐ妊娠」
彼は大学の同期生で、再会したときには恋人がいた。学生時代から彼のことが気になっていたミカコさんは、それを知りながら彼に猛アプローチをかけたのだ。偶然を装って待ち伏せたり、彼の行きつけの店にさりげなく現れたりし、彼の歓心を買った。酔ったふりをして彼の部屋に連れていってもらい、別の部屋で寝ていた彼を「襲った」という。そのとき、ピルを飲んでいるからと告げたのだが、実際には飲んでいなかったのだ。
「彼は子どもに罪はないからと婚姻届を書いてくれました。恋人とどうやって別れたのかは知りません。私は彼と一緒になれて本当にうれしかったけど、彼、結婚してもそれまでの生活を変えようとはしなかったんです」
彼の趣味は車と音楽。独身時代はそこにすべてのお金をつぎ込んでいたようだ。今はさすがにそこまではしないが、ギリギリの生活費しか渡されていない。そして週末、夫は興味のあるイベントなどにひとりで出かけてしまう。
「結局、完全なワンオペ。今は子どもが小学校に上がったからまだいいけど、小さいときは大変でしたよ。うちはシングルマザーだからと夫に文句を言ったこともあります。すると夫は『騙されて結婚したから』とつぶやいた。ああ、私のことを恨んでるんだなと思いました」
大好きだったあの気持ちはどこに行ったのか。今となっては夫に思いやりの気持ちがもてなくなっている。そしてそんな自分に苦しんでいるのだという。
どこかで軌道修正したいと思いながら、結婚して8年がたってしまった。子どもはかわいいけれど、この家庭環境は決して良好とはいえない。
騙したわけではない、本当にあなたのことが好きでどうしようもなかったのだと、彼女は夫に言いたいのだという。だがそれを言える雰囲気が、今のふたりの間にはない。そして彼女自身、夫に対して現在はほぼ「無関心」。自分のモチベーションをもう一度上げることができなければ、修復もむずかしいだろう。
どういう流れで「結婚」したとしても……
いわば彼の条件にひかれ結婚したアリサさんも、自分から猛アプローチをかけて結婚したミカコさんも、結婚から数年経った今を、満足している状況とは言えなそうだ。結婚というのは、縁と運とタイミングが重要だと聞いたことがあるが、結婚してからは思い通りにならないことを前提としておかなければいけないのかもしれない。