憎み合う前に別れたい
タレントの川崎麻世さんとカイヤさん夫妻が、互いに相手のDVを訴えて離婚裁判となっている。これほどドロ沼になる前に、冷静に話し合うことはできなかったのだろうか。
早めに離婚を考えようと決意
このニュースが流れて、「私は早く離婚しようと思った」と言うのは、ヒロコさん(46歳)だ。2歳年上の男性と結婚して18年、ひとり息子は高校生となった。
「夫は職人なんです。周りからはいい職人さんだと評価されているようですが、とにかく女性にだらしない。しかも外面がいい見栄っ張り。自分の親戚に何かあると大盤振る舞いするんです。生活費は私がほとんどパートで稼いで補填してきました」
都内の一軒家に住んでいるが、夫の両親が建てた家で築50年以上になる。あちこちガタがきているが修繕費用がないので、夫の友人の大工さんがときどき無償で直してくれるのだそう。
「結婚したときは夫の父はもう亡くなっていました。義母は厳しい人でしたけど、最後は『ヒロコさん、ありがとう』と言ってくれた。それですべて報われた気がしました」
一生懸命、家族のために尽くしてきた。だが、夫への気持ちはどんどん冷めていくばかりだ。
「川崎麻世夫妻を見ていて、いつか私もこうなると思ったんです。私自身も過去に夫に殴られたことがあります。もちろん殴り返しましたけど。うちもDVもあればお金の問題もある。夫の女性問題も。裁判になったらドロ沼と言われる要素がたくさんあります」
そして決定的なのは、と彼女は続けた。
「私自身がもう夫に愛情をもっていないんです。今では夫に女性の影がちらほらしても、お金を使いすぎなければ帰ってこなくていいから、と思ってしまう。そんな関係が悲しいです」
タイミングを考えて……
夫が家にいるときも、夫婦の会話はあまりない。もともと家では無口な夫だし、ヒロコさんからあえて話題を提供することもなくなった。「たまに息子と夫が、ぽつりぽつりと話していますね。離婚しても父親と息子の関係は変わらないでしょう。タイミングを考えると、やはり息子が就職したりして独立できる時期になりそうです。最短であと5年。それまで夫を憎むところまでいかないよう、自分の気持ちをコントロールしていこうと思っています」
夫を憎みたくないから、あえてあまりしゃべらない。夫と接点をもたないようにしているというヒロコさん。それはそれである意味で尋常ではないのだが、「憎しみ」に心をつぶされるよりはマシだと考えているそう。
「ふとした瞬間、夫にイラッとする自分がいるんです。これが積もるとすぐ憎悪になっていく。それがわかっているから避けたい。実は離婚した友人が、『夫を殺して私も死のうと思ったことがある』と言っているのを聞いて、他人事じゃないと思ったので」
人を憎む自分が怖い。その気持ちに共感する人は多いのではないだろうか。それによって自分自身が病んでいくのだ。
「だからなるべく外に出て仕事をして、友だちも作るようにしています。地域の公民館でコーラスもやっています。大きな声で歌うとストレス発散できますから」
自分をコントロールするのはむずかしいことだ。あえて平常心を保とうとしているヒロコさんの苦しい心情が伝わってきた。