台風の夜、ついに問題が明らかに
自然災害があると、それまで抱えていた夫婦の曖昧な問題が顕在化することがある。先日の台風19号のときも、ある女性がひとつの決断を下した。
前から怪しいと思っていたけれど
2歳年上の男性と結婚して7年、5歳のひとり娘がいるミオさん(40歳)。東京郊外のマンションに一家3人で暮らしている。妊娠中に夫の浮気を疑ったことはあるが、夫は「あり得ない」と断言。そのときは子どもも生まれることだし、と追求しなかった彼女だが、ここ1年くらい、また夫の行動が怪しいと感じていた。
「夫はけっこう不定期なシフト制で働いているんですよ。一応、時間は決まっているものの、あとのシフトの人が遅れたり欠勤したりすることもあるし、急な案件で残業もある。それはわかっているんですが、急であっても連絡くらいできるはず。実際、以前は連絡してくれたんです。でもこの1年くらい、ときどき何の連絡もなく帰宅が深夜になることがあって。ついには保育園に娘を迎えに行くはずが、連絡なしに行ってくれず、保育園から電話がかかってきて私があわてて行くようなこともあったんです」
そのたびに夫は、とってつけたような言い訳を並べた。怪しいなと思いながらも、本当のことを知ったからといってどうなるものでもなく、日常生活を優先させるしかなかったとミオさんは言う。
「浮気しているとしても、彼が家庭を壊さないつもりなら、それでいいかな、という気持ちもありました。我慢するという意味でもなくて、夫との間の男女の関係より娘を育てていくほうに関心が向いていたんでしょうね」
ところがこの台風で事態は変わった。
妻子より大事なものがある
土曜日の夕方、首都圏に台風が近づいてきたころ、夫が妙にそわそわしはじめた。「職場を見に行ったほうがいいかなと言いながら、ちょっとコンビニに行ってくると出ていって。ちょっとシャワー浴びてくるとバスルームに行ったすきに、携帯を見ちゃったんですよね。そうしたらちょうど女性からメッセージが来たところでした。『怖いから早く来て』って。なんだか脱力しましたよ。家族がいるのを知ってて、こういうメッセージを送ってくる女性にもがっかりだし、それを気にしてうろたえている夫にもうんざり」
バスルームから出てきた夫に、「さっさと職場に行ったほうがいいんじゃない?」と言ってみると、夫は目を泳がせながら「いいの?」と言った。
「もうダメだな、この男はと思いました。どうぞどうぞ、あなたには家族以上に大事なものがあるみたいだから、行ったほうがいいわよと言ったら、夫は妻の許可が出たと思ったんでしょうか、本当に出かけてしまったんです」
彼女からのメッセージが既読になっていることに、夫は気づいたのかどうか。
そして日曜の朝、帰ってきた夫に「大変だったわね」と言いながら迎えたミオさん。
「夫は娘を抱きしめながら、『パパが仕事で一緒にいてあげられなくてごめんね』って。ふざけるなよと思いながら見ていました。ちゃんと証拠はつかんでいますからね。あとはいつどういうタイミングでとっちめるのか、あるいは突然、離婚をつきつけるのか。これからゆっくり考えるつもりです」
いずれにしても夫への評価はがた落ち。もう今後、いっさい信頼はできないとミオさんは呆れながら言った。