アラフォーの結婚、若い子の結婚とは何が違う?
「夫に対しては、愛情も関心も熱量も最初からあまりないんです」と、アラフォーで結婚したマリエさん(46歳)は苦笑する。アラフォーでの結婚に何が起こっているのだろうか。
「家庭」を作りたかった
大学を卒業して、キャリア街道を邁進していたマリエさんだが、35歳を目前にして婦人科系の病気を患った。
「結婚とか出産とか真剣に考えたことがなかったんですが、そのとき初めて、このままだと家庭を持つことができないと思ったんです。私の場合、子どもがいなければ『家庭』は完結しない。だから結婚して子どもを持たなければと強迫的に感じました」
すぐに結婚相談所に登録、多忙な仕事の合間を縫って婚活にいそしんだ。ところがなかなか思うような相手に巡り会えない。
「既婚の女友だちに相談したら、『私は自分が大恋愛で結婚したと思っているけど、そんなの結婚生活に何のメリットもない。結婚は現実の生活だから、むしろ条件をきちんと整理したほうがいいよ』と言われたんです。彼女曰く、恋愛感情と情熱がマックスで結婚したので、あとは下がる一方、むしろ夫の欠点ばかりが目についてケンカが絶えないって。勉強になりました」
その後、彼女は相手に求めるものを整理していった。最後に絞り込んだ要求は、「きちんと仕事をしていること、健康であること、まじめであること」だけだったという。
「おもしろい人とか気が合うとか、そういうことはどうでもよかった。家庭を一緒に作り上げていくために大事なことを備えていてくれればそれでいい。そう思ったんです」
ほどなくマッチングで出会ったのが、今の夫。当時、38歳だった彼女と同い年で、まじめな会社員だった。
「3回くらいデートして、結婚しましょうって私から言いました。彼は面食らったような顔をしていましたけど、一応OKだったので、それからはどんどん私がことを進めていったんです」
期待しないからうまくいっているのかも
結婚してすぐ妊娠、30代のうちにひとり産むことができた。「奇跡ですよね。本当にラッキーだった。2年後にもうひとり産んで、夫とは家事も育児も分担してなんとかやっています。どちらかといえば夫の負担が大きいかもしれません。私のほうが忙しいので。でも夫は文句も言わずにやってくれるのでありがたいと思っています」
上の子が小学生になり、ほっと一息ついたころ、夫の行動が不明になった時期がある。子どもたちに食事を作って食べさせ、マリエさんが帰宅すると、どこへとも知れずに「ちょっと出かけてくる」といなくなるのだ。
「もしかしたらあの時期、不倫でもしていたのかしらと思うんですが、私、夫個人に対して熱量がないので、詮索する気になれないんですよ。家事や育児などやるべきことをやってくれるなら、多少、挙動不審でもかまわない。詮索して不快なことがでてくるくらいなら、知らん顔していてハッピーな家庭生活を送っているほうがずっといいと思っちゃう」
“夫の役割”をきちんと務めてくれている彼には感謝しているが、男として個人的な興味はないし、特に期待もしていないと彼女は言う。夫のほうもそう思っているとしたら、彼女は傷つかないのだろうか。
「平気ですね。結婚という制度に則って、協力しながら子どもを育て、家庭を築いているというのが今の私の認識なんです。男女としての恋愛感情はないし、そういう意味での期待もしていません。嫉妬もしなくてすむから楽ですよ。互いに相手に迷惑をかけず、義務を放棄するようなことをしなければそれでいいんじゃないかと思っています。夫も私も子どもにはめいっぱい愛情を注いでいますし、親としては互いを尊重しあっているし……」
何か問題あります?とでも言いたげな表情だ。これはこれで、結婚生活をうまくやっていくためには案外いい方式なのかもしれない。