亀山早苗の恋愛コラム

「セカンド」という立場、悔しいけど居心地は悪くない……

彼に恋人がいるとわかっていて、それでも好きだからつきあっている「セカンド」という立場。悔しさはあるけど自分がいちばんでなくてもいいと考える女性の心理とは。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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36歳、恋人のいる人を好きになってしまった……

セカンド

彼に恋人がいるとわかっていて、それでも好きだからつきあっている「セカンド」という立場。悔しさはあるけど自分がいちばんでなくてもいいと考える女性の心理とは。

 

 

「つきあっている人がいる」と断られたけど

大好きな人ができたものの、彼につきあっている女性がいることが判明。それでもどうしてもあきらめきれなかったというのはユウコさん(36歳)。

「転職した先の先輩なんです。彼は20代で1度結婚して離婚してからは、もう結婚するつもりはなさそう。明るくていい人なんですよ。見かけは普通だけど、職場も彼がいるから雰囲気がいい。上からも下からも愛されるタイプです」

明るいだけではなく、さりげなく気配りしてくれる彼を見ているうちに、ユウコさんはこんな人とつきあいたいと彼への好意が増していった。

「職場の飲み会があったとき、彼のそばに座っていろいろ話しました。それでますます好きになってしまって。数日後、食事に誘って告白したんです」

ところが彼の答えは、「職場の人とつきあいたくない、それに実はつきあっている人がいる」というものだった。

「ショックでした。でも、どうしても私は彼をあきらめられなかった。セカンドでいい、職場でもし私が不審な言動をしたら、それを限りに別れる。だからつきあってほしいと懇願したんです。優しい彼なら断らないだろうと思っていました」

彼は「友だちとして」という条件をつけた。男女の仲にはならないということだ。それでもいいと彼女は思った。

 

 

何度も会っているうちに

最初のうちは、ときどき食事をしたり飲みに行ったりするだけの関係だった。もちろん割り勘。楽しかったが、ユウコさんは、だんだん物足りなくなっていく。

「もっと彼と一緒にいたい、できれば深い関係になりたい。好きだからそういう気持ちになっていきました。そんな思いが募って、あるとき、彼と食事をしながらひどく悪酔いしてしまって。彼が、しょうがないなあと言いながら一緒にタクシーに乗ってくれたんです」

彼を騙すつもりはなかった。確かに悪酔いしていたのだが、彼女の頭の隅は妙に冴えていた。彼が彼女のひとり暮らしの部屋まで送ってくれ、ベッドに寝かしつけてくれたとき、彼女はそのまま酔ったフリをして彼に抱きついた。

「彼は笑いながら、『ほら、ちゃんと寝て』って。私、それを聞いて号泣してしまったんです。『お願い、抱いて』とつぶやきました。彼はしばらく黙っていたけど、私をそうっと抱きしめてくれた。そしてついに男女の仲になったんです」

それから1年、今もときどき彼は彼女の部屋に寄っていく。まれに朝まで一緒にいることもある。

「彼に恋人がいてもいなくても、もういいんです。セカンドかもしれないけど、私は彼が好き。そして彼は、適当な距離でつきあってくれている。友だちからは『都合のいい女やってるだけだよ』と言われるけど、それでもいいんです。彼にとって私がいちばんでないことは寂しいし悔しいけど、セカンドって案外、居心地がよかったりもするんですよ」

特に結婚願望のない彼女だからこそ、言えるセリフかもしれない。

「恋人という地位を確保したら、絶対に彼にとっていちばんになれるわけでもないと思う。
彼にとっては仕事がいちばんかもしれないし」

そういう言い方自体が「逃げだ」と友人に非難されることもあるが、彼女は決してめげていない。

「ずっとつきあっていたら、いつか粘り勝ちということもあるかもしれないし、私自身が彼から卒業できるかもしれない。先のことはわからないけど、今が満たされていればいいんじゃないか。最近はそう思うんです。もちろん、親しい友人以外には言えない関係ではあるけど」

好きな人と、一緒に歩いている感覚はないがともに過ごす時間があればいい。はたからみるとせつないような関係だが、彼女が「彼と過ごす時間があればいい」と思うなら、それは誰にも非難できない。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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