妻の「夫に対する疑惑」のとばっちりが……
男友だちの妻から、あらぬ疑いを受けているユウカさん(38歳)。もともと夫婦関係が不穏だったのかもしれないが、激怒した妻にビビった彼がとった行動も不可解なものだった。
親切心からしたことなのに
ユウカさんが、ある女性だけのバンドを応援するようになったのは高校時代からの女友だちの妹がメンバーだったから。音楽性のしっかりしたバンドであることも音楽好きの彼女の気持ちをかきたてた。
「だからライブのたびに行って、バンドメンバーの写真を撮ったりもしていました。行くとよく会う男性がいて、いつしか言葉を交わすようになって。彼も純粋に応援しているのが伝わってきたので、他のファンと一緒に食事をしたりすることもありました」
彼はごく稀に妻を連れてきたこともあったが、妻はバンドそのものを応援するつもりはなかったようだ。
「あるとき、彼がメンバーの写真を送ってくれないかと言い出したんです。勝手にSNSに上げたりせず、自分だけで楽しむならという約束でLINEで送ってあげました。彼はとても喜んで、大事にするねと言っていたんです」
ところが、彼のLINEを見た妻から、ユウカさんに「何をやっているんですか」と抗議のメッセージが飛び込んできた。
「そもそも夫婦間であってもLINEを勝手に見たりします? それ自体に驚いたんだけど、さらに驚くようなことが待っていたんです」
「夫婦関係を壊す気か」
彼女の猛抗議がどうしても納得できなかったユウカさんは、彼に電話をかけた。いったい、どういうことなのか、と。すると彼は、妻が激怒していて手がつけられないとわけのわからない言い訳を並べ立てる。たまたま妻がそばにいたのだろう。代わったと思ったら、ユウカさんはいきなり怒鳴りつけられた。
「あんたね、どういうつもりなの? 私たち夫婦の関係を壊すつもりなんでしょって、すごい勢いでがなりたてて。そもそも何を怒っているのかわからないんですよね。私と彼は、単にそのバンドのファンというだけのつながりだし、現場以外でメッセージのやりとりをしたこともない。彼がバンドメンバーにどういう興味を抱いているのか内心までは知らないけど、別にやましい気分でもないと思います。何かを疑われるようなことはこれっぽっちもない」
それなのにいきなり夫の知人を怒鳴りつける妻。そしてユウカさんが感じたのは、彼が妻をなだめる気配もなかったことだ。
「怖くて何も言えないのかもしれないけど、無関係の私に怒鳴りつけることをやめさせることもできないなんて、それこそ夫婦関係がおかしいですよね」
ユウカさんは、親切が仇となって返ってきたことにショックを隠しきれない。
「夫が少しでも他の女性と仲良くなると、それだけで許せない。そういうタイプの女性なんでしょうね。夫がそのバンドのファンであることも本来は許せないんでしょう。だったらはっきり夫に言って、夫婦で解決してくれよと思います。とんだとばっちりだわ」
災難ともいえる事態に巻き込まれたユウカさん。だが、確かに夫にかかわる女性すべてを疑い、難癖をつける妻は存在する。それが愛情だと思い込んでいるのかもしれないが、そういう嫉妬は愛ではない。独占欲か支配欲か。
そしてその裏には、夫自身や結婚生活への大きな不安や不満が隠れていることも多い。いずれにしても、ユウカさんが言うとおり、夫婦で解決すべき問題である。