亀山早苗の恋愛コラム

名前で呼ばれときめく私は、二児の母だけど、ちょっと"危うい"

お盆で帰省したある女性に楽しかったことは何かと尋ねると、「かつての同級生男子から久しぶりに名前を呼ばれたこと」と即座に答えた。名前で呼ばれることは、そのままアイデンティティーの確認につながるのかもしれない。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

恋愛ガイド

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名前を呼ばれて久々にときめいて

ときめき

お盆で帰省したある女性に楽しかったことは何かと尋ねると、「かつての同級生男子から久しぶりに名前を呼ばれたこと」と即座に答えた。名前で呼ばれることは、そのままアイデンティティーの確認につながるのかもしれない。

 

「ママ」「奥さん」に飽き飽き

小学生の子どもをふたり連れて一家で西日本の実家に帰省したヒナさん(40歳)。かつての同級生たちが飲み会を開いてくれた。

「今でも会うとみんな下の名前で呼んでくれる。それがうれしかったですね。特に高校時代につきあっていたマコトくんが、『ヒナちゃん、元気だった?』と言ってくれたときはもう、キュンキュンきちゃいました」

結婚してから11年、ずっと「奥さん」と呼ばれ、子どもができてからは「〇〇ちゃんのママ」と呼ばれてきた。夫でさえ、いつのまにか「ねえ、ママ」と言うようになっていた。

「赤ちゃんへの呼びかけで、ほら、パパですよーなんて言っているうちに、お互いにパパママが当たり前になっちゃったんですよね。失敗したと思ったときは、もう照れくさくて名前では呼べなくなっている」

結婚記念日に改まって、夫を名前で呼んだことがある。夫は目を白黒させて、「なんだか恥ずかしいな」とつぶやいた。夫は彼女を名前では呼んでくれなかった。

「名前で呼ばないということは、結局、ひとりの男と女であることを放棄したような関係になっていくんですよね。下の子が産まれてから、うちはほぼセックスレスなんですが、パパとはしたくないですよ(笑)。夫じゃなくて“パパ”だもの。私、実家の両親をパパママと呼んでいたので、よけいになんだか肉親感覚が強くなって、夫をひとりの男としては見られなくなりました」

そんな中で、かつての恋人に「ヒナちゃん」と呼ばれれば、ときめくのは当たり前だ。

 

いつ自分がグラッときても不思議はない

今回のことで、ヒナさんは自分の気持ちが危ういと感じたそうだ。

「浮気したいというわけではないですよ。今は子どもも小さいし、家庭と仕事で忙しいから、異性に目がいくような時間もありません。だけどねえ、いろいろ想像しちゃったんですよ。数年後、子どもたちが中学生になって少し手が離れたとき、私はまだ40代だし恋はできるのかもしれないな、と。先日のマコトくんみたいに、好きな人に真正面から『ヒナちゃん』って見つめられたら、拒む勇気がありません」

実はヒナさん、別の日にマコトさんとふたりきりで会ったのだという。会って街を歩いて食事をしただけと言い張っていたが、しばらくすると「本当はキスしちゃったんです」と顔を赤らめながら言った。

「だからってこれから会い続けるつもりは、お互いにないと思う。でも、あのキスの感覚が忘れられないんです。思い出すだけで心が浮き立ってくる。マコトくんも首都圏に住んでいますし、今回、連絡先も交換しあったので、友だちとして誘われれば会うことはあるかもしれないけど」

会うつもりはないと言いながら、会うかもしれないともつぶやく。恋に落ちかけているのか、恋しかけている状態に酔っているのか。いずれにしろ、彼女自身が言うように、こういうときの女性の精神状態は危うい。ひょいと押されたらすぐに恋に落ちていくだろう。

「今は現実の日常生活に戻っています。マコトくんもそうでしょう、きっと。あれは故郷でのほんの気まぐれ。そう思うことにしたんです」

目の前の彼女の心のブレが手に取るように伝わってきた。妻であっても母であっても、やはりひとりの女性なのである。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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