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帰省先で経験したホロ苦体験

ほろ苦体験

お盆時期に帰省した人の中には、何ともいえないせつない体験をした人もいる。とある男性が語ってくれたそんな体験とは。

 

かつての片思いの女性が……

40代も後半になると、お盆の時期も家族それぞれが別々に過ごすことも増えていくようだ。

高校生のひとり息子をもつタクミさん(49歳)の場合は、息子は短期語学留学のためアメリカへ、そして妻は自分の実家へ帰ることになった。

「今年は私も珍しく1週間休みがとれたので、久しぶりに高齢の両親が暮らす実家へ戻ってみました。妹一家も数日間来ていてにぎやかでしたね」

中学や高校の同級生たちがプチクラス会を開いてくれ、夜はそれらに出かけていった。なかでも高校時代、片思いをしていた女性との再会はタクミさんの心に「ときめき」をもたらした。

「彼女は結婚して遠方にいると聞いていたので、まさか会えると思わなかった。うれしかったと同時に、他の女性たちに比べてちょっとやつれているのが気になりました」

連絡先がわかったので、プチクラス会のあと、すぐに彼女に連絡をとり、翌日ふたりでランチへ。彼女が夫の両親の介護で疲れきっていること、夫婦関係もぎくしゃくしていることなどを聞いた。

「前日戻ってきたばかりなのに、これから帰ると言う。せめてあと1日いてほしい、気分転換にドライブにでも行こうと言ったけど、彼女は帰らないといけないって。痩せて青い顔をしている彼女を何とかしてやりたい。本当にそう思いました」

当時の片思いは実らなかったが、今なら何か手助けができるはず。彼は真剣にそう思ったという。

 

いざとなったら受け止めきれなくて

ランチを終えて店を出て、ふたりはブラブラと歩いた。彼女が最終の新幹線で帰るまで、あと5時間はある。

そのとき彼女が言った。

「一瞬でいいの。何もかも忘れたい」

これは当然、彼女からの誘いだ。はめをはずしたら、いつもとは違う自分になれる。そうすれば昨日までとは違う力がわいてくるかもしれない。女性の心の叫びではないだろうか。だがタクミさんは、彼女の思いに気づかなかった。

「私はその言葉を聞いて、ものすごく混乱してしまったんです。彼女が何もかも忘れるためにはどうしたらいいのか、思いもつかなくて黙り込むしかなくて。そのまま彼女の家の近くまで歩いてきたら、彼女が『ランチありがとう。楽しかった。じゃあね』って」

彼も実家に戻り、ひとりでごろんと畳に寝転んだ。うとうとすると、彼女の寂しげな顔が夢に出てくる。その瞬間、はっと目が覚め、あのとき黙ってホテルへ連れていくべきだったのだと気づいた。

「あわてて彼女にメッセージを送りました。今晩ひと晩、僕に時間をくれ、と。だけど30分後、彼女から『新幹線に乗りました』とひと言。鈍感だった自分に腹が立ちました。でも同時に、彼女が望んでいることをわかっていながら気づかないふりをしようとしていたのかもしれないとも思った」

一度でも関係をもってしまったら後ろめたい人生を送ることになると思ったわけではない。むしろ、そうなったら歯止めがきかずに自分の家庭を崩壊させる方向へ走り出すだろうと予測できたからだと彼は言う。最大限、想像をふくらませ、たとえ紆余曲折を経て彼女と一緒になったとしても、うまくいくとは限らない。

「自分の義侠心みたいなものがわっと出たけど、それとホテルは結びつかなかった。女性がそんなふうに望むとも思えなかったから。でももし彼女から誘われているとはっきり読めたとしても、やはり私には決断できなかったような気がします」

防衛本能としてとっさに「何の決断でもできない」という決断を彼はしたのかもしれない。だがそのことで、今、彼は複雑な思いを抱えている。

「私ももういい年です。彼女への高校時代からの思いを遂げてもよかったのではないかという気持ちがある一方で、無難に過ごすためにはこれでよかったんだという気持ちもある。あれから彼女に連絡をとりましたが、返信は来ません。私の度胸のなさに失望したのかもしれませんね」

タクミさんはなさけないような笑みを浮かべた。
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