1年前のマイホーム購入以来、まったく貯蓄ができず悩んでいます

 皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、昨年マイホームを購入したばかりの38歳の専業主婦。月々の家賃よりも住宅費が減って家計が楽になると思っていたのに、一向に貯蓄ができず、ローンの支払いは夫が76歳まで続いて老後はどうなるやら……。迷える相談者にファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください(相談は無料です)

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家賃よりも安く住めると思って住宅を買ったものの

家賃よりも安く住めると思って住宅を買ったものの




■相談者
きゃろっとさん(仮名)
女性/専業主婦/38歳
持ち家(一戸建て)
 
■家族構成
主人(42歳)、子ども2人(6歳・4歳)
 
■相談内容(原文まま)  
以前、家賃が毎月8万円のアパートに住んでおり、それよりはマイホームを購入して、毎月のローン額を家賃代より低く設定した方が生活が楽になるかなと思い、新築に住み始めて半年経ちますが、生活は楽になるどころか、貯金もできず困っております。
 
新築購入時(ローン契約時)に貯金を全て使ってでも、借りる額を減らしたほうがいいと、義両親に言われ、500万円ほど頭金で使ってしまい、今ある貯金は、主人の会社で毎月貯めている財形50万円、ボーナスより貯金の100万円、子どもの児童手当を貯金している150万円のみです。
 
この他にも、子どもには学資保険として貯めていますが、正直、今の生活が大変なのに、大変な思いをしてまで将来のために貯金を優先したほうがいいのか、どのくらい貯金があれば安心できるのか、高い買い物(家購入)をしてしまったのか、毎月のやりくりが下手なのか、悩みが尽きません。
 
今度は固定資産税も払っていかなければならず、どこから払ったらいいか分かりません。4月から、上の子が小学校入学、下の子も幼稚園入園なので、もう少し落ち着いたら、私も短時間でもパートに出て収入を増やそうとは思っています。主人も、40歳を過ぎてから35年ローンを組んでしまったので、私もいずれはフルで働いて、少しでも早くローンは返済しようとは思っています。毎月のやりくり、貯金を貯める方法、保険等の検討などアドバイスしていただけると助かります。よろしくお願いします。
 
■家計収支データ
相談者「きゃろっと」さんの家計収支データ

相談者「きゃろっと」さんの家計収支データ



 
■家計収支データ補足
(1)住宅費について
・借り入れ時期: 2018 年
・物件価格: 3500万円
・諸費用:  200万円
・頭金:  700万円  
・借り入れ金額: 3000万円
・借り入れ期間: 35年
・固定資産税 年間額 : 8万2000円
 
(2)車両費について
所有台数:2台。ローンは完済。現時点で車の買い替え予定はないが、2台とも新車で購入してから10年以上経ったので、壊れたら買い直す予定。予算は明確に決まっていないが、現在所有している車(ミニバン1台、軽1台)と同様の車種を新車で購入したい。
 
(3)加入保険について
本人/死亡保険(終身タイプ、払込48歳まで、死亡保障500万円)=毎月の保険料1万5000円
妻の死亡保険&第1子の学資保険。48歳まで支払うと、返戻率が100%を超えるため、第1子の学費にあてるつもり。その時点の解約返戻金は300万円程度。
 
第2子/学資保険(15歳払込満了、17歳から毎年50万円ずつ計4回=200万円)=毎月の保険料1万円
 
本人/医療保険=毎月の保険料5000円
 
夫/個人年金=毎月の保険料1万3000円
 
夫/障害保険=保険料4000円(年1回)
 
夫/終身保険=毎月の保険料1万3000円
 
夫/団体保険(終身タイプ、死亡保障100万)=毎月の保険料630円
※上記2つは給料天引き、他、車2台分の保険も給料天引き。
 
(4)貯金について
財形50万円、ボーナスより貯蓄の100万円、子どもの児童手当を貯めている150万円。財形は月1万5000円。ボーナスから2万円。年間20万円。
 
(5)支出について
習い事は、まだ2人ともしていない。本人が何かをやりたいと言ったらやらせる予定。保育料は 、第2子の幼稚園が公立幼稚園のため、月3000円ほどで済んでいるが、その他PTA会費や小学校の給食費、教材費等で年間18万円かかる計算なので、その分をボーナスから貯蓄している。
 
児童手当をそれぞれ定期預金にしていて、2022年1月の満期で第1子が150万円、第2子が100万円になる予定。満期を迎えても、同じような定期預金に加入して、できる限り児童手当は手を付けずに貯めていきたいと思っている。学資保険は、児童手当とは別に貯めていて、第1子が300万円、第2子が200万円になる予定。子ども2人とも大学まで進学予定。小学、中学、高校は公立校へ進学を予定している。
 
(6)夫の勤め先について
退職金制度があり、800万円程度とのこと。定年は65歳だが定年後も、再雇用制度があるので、働けるまで働くつもり。

 
■FP深野康彦の3つのアドバイス
アドバイス1 今は貯められない時と割り切って。徐々に貯蓄ペースを上げていこう
アドバイス2 余裕はなくても家計はまわる。妻の働き方次第でワンランクアップも
アドバイス3 子どもが小さいうちは定期保険で十分な保障を確保しよう
 

アドバイス1 今は貯められない時と割り切って。徐々に貯蓄ペースを上げていこう

マイホームを買ったばかりで、お子さんも小さい今は、貯められない時期なのだと割り切りましょう。そうはいっても、頭金をたくさん払った後でも300万円の貯蓄があり、きちんと財形を続けているし、児童手当を積み立て、家計も赤字にならずにまわっています。苦しい時期ではありますが、しっかりと家計管理されていると思いますよ。
 
ご自身がおっしゃるとおり、これから下の子が幼稚園に上がって時間ができたらパートに出て、少しずつ貯蓄ペースを上げていけば大丈夫でしょう。財形で毎年20万円の貯蓄を守りつつ、月5万円程度のパート収入から始めれば、下の子が小学校に上がるまでは年間で80万円、3年間で240万円貯められます。3年後、きゃろっとさんが41歳になった頃にパート収入が年間で100万円ほどになれば、財形と合わせて毎年120万円貯まります。60歳になるまでの19年間で2280万円貯まる計算です。
 
これに今ある貯蓄の300万円と、夫の退職金800万円、学資保険200万円、終身保険300万円、児童手当の250万円を足せば、60歳までに4130万円貯まります。
 
次に出ていくお金を見てみましょう。教育費は、公立の中学・高校で計300万円、大学400万円として、二人で1400万円を見積もります。車の買い替えが現在と同程度の車として450万円、次の買い替えは子どもが巣立っているでしょうから小さめに買い替えて300万円、合計750万円とします。
 
教育費と車の買い替え費用の合計2150万円を差し引くと、きゃろっとさんが60歳の時点で1980万円の老後資金が残ります。夫が再雇用、ご自身もパートを続けて夫婦二人で働いていけば、家計はまわっていくでしょう。
 

アドバイス2 余裕はなくても家計はまわる。妻の働き方次第でワンランクアップも

ただし問題は、夫が76歳になるまで住宅ローンの返済が続くことですね。これはかなり厳しいです。時期にもよりますが、トータルで1000万円程度を繰り上げ返済して、60歳代半ばでの完済を目指しましょう。その場合、60歳時点での老後資金は約1000万円になってしまいます。
 
決して余裕があるとはいえませんが、二人で働きながら上手に創意工夫していければ家計はまわります。先にもお話ししましたが一番のポイントは、きゃろっとさん自身がパートに出るということです。
 
もし正社員として働くことができれば、経済面で老後をワンランクアップさせることができます。収入がぐっと増えることはもちろん、厚生年金に加入すれば老後の年金が増えますし、退職金の可能性もあり、老後資金の足しにできるはずです。厚生年金などの制度がきちんとあるのなら、派遣社員でも構いませんよ。少しシビアな言い方になってしまいますが、きゃろっとさん自身の働き方次第で、老後はいかようにも変わってくるということです。
 

アドバイス3 子どもが小さいうちは定期保険で十分な保障を確保しよう

最後に保険についてです。割り切れるのであれば、夫の終身保険と団体保険を解約して、下のお子さんが20歳になるまでの15年間、掛け捨ての定期保険で2000万円ほどの死亡保障を確保することをおすすめします。
 
夫が現在加入している終身保険は特約がたくさんついているタイプで、少し割高なのではないかと推察します。団体保険も月々630円と聞くと安く感じますが、死亡保障は100万円だけです。1000万円の死亡保障が6300円だと考えると割高です。
 
掛け捨てで2000万円程度の定期保険に入りなおせば、月々6000~7000円ほどの節約になると思います。終身保険にこだわらなければ、「子どもが小さい時期」=「本当に保障が必要な時期」のみ、手頃な保険料で手厚い保障を得ることができます。小さいお子さんが二人いますから、現在の死亡保障では少ないです。団信で住宅ローンは相殺されることを考慮して、2000万円はお子さん二人の養育・教育費として確保しておければ安心です。
 
今は少し悲観的になっているかもしれませんが、きゃろっとさんがパートに出ることで、家計も生活もガラリと変わってくるはずですから、心配する必要はありません。家計管理がきちんとできていますから、これから収入が増えればその分だけ、貯蓄ペースもグッと上がっていくでしょう。がんばりすぎずに楽しみながら、ここからどうやって家計を改善していくか、前向きに家計管理を続けていってくださいね。
 

相談者「きゃろっと」さんから寄せられた感想

先生からのアドバイス、大変参考になりました。「今は貯められない時と割り切って」とのことなので、それだけで心が軽くなった気がします。私が、パートに出て収入が増えれば、老後の心配もなくなるときいて、正直ホッとしたのと同時に、私の働き方次第で、老後の生活が変わるときいて、がんばろうと仕事に対する意欲も出てきました。保険についても、主人と相談して、見直していきたいと思います。一番の悩みだった、私の家計管理についても、きちんとできているとおっしゃっていただいたので、これからも安心して家計管理していきたいと思います。今回、先生にアドバイスいただき、自信がつきました。これからは、楽しみながら、前向きに家計管理を続けていきたいと思います。ありがとうございました。


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教えてくれたのは……
深野 康彦さん
  
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/長島美樹


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