小さく動き出すことで、埋もれていた欲求や本当の感情に気づく
老後不安を招く原因は、“他人と自分を比較して幸せを判断する「他者中心」の考え方”が招いていると、心理カウンセラーの石原加受子さんは指摘します。2回目となる今回は、“心の癖”を直して収入を上げる方法について伺いました。(第1回『心理カウンセラー石原加受子さんが教える!年金不安に負けない「心」の作り方』から続きます)将来のお金不安をラクにする方法
――他人や世間を基準に幸せを判断する「他者中心」の考え方をやめて、自分の感情を大切にしてやりたいことに素直になる「自分中心」になることが、将来不安を打ち消す方法だと伺いました。ですが、“自分が本当にやりたいことがわからない”という人は、どうすればいいのでしょうか。
石原加受子さん:自分の心が何を求めているかがわからないのは、他人や世間といった“外側”にばかり関心が向き、自分に対して無関心になっている証拠です。自分の本心や感情が、埋もれて見えない。そうした「心の癖」を持ったまま、“やりたいことは何だろう?”と、いくら頭の中で考えたところで、答えは出てきません。それどころか、不安がさらに大きくなるだけです。“どうしたいか”ではなく、“どうすべき?”“どう立ち回ればトク?”と、心にブレーキをかけながら考えてしまうせいで、心が望むことからどんどん遠のいてしまうためです。
では、どうすればいいか。まずは、一歩を踏み出して行動に移すことです。動き出すことで、埋もれていた欲求や本当の感情に気づくことができる。行動するのが不安なら、小さく踏み出せばいいんです。退路を絶って引き返せない状況にするのではなく、「仮」のことから始めてみることで、心の負担も少なくて済むのではないでしょうか。また、やりたいことがわからない場合は、“やりたくないこと”から考えるのもひとつの手ですよ。
――確かに、やりたいことを問われると返答に詰まってしまうけれど、“やりたくないこと”ならスラスラ出てくるというのはよくありますね。
ブラック企業の社員が、愚痴を言いながらも辞められない理由
石原さん:無意識の自分自身は、自分らしく生きることを心から望んでいます。では、今より稼げる自分になるには、どうすればいいのか。もちろん、スキルを身につけて、それをきちんとアピールする力は必要です。けれども、もっと大事なのが、「心の状態」なんですよ。――「心の状態」をどうしたらいいのでしょうか?
石原さん:大事なことは、自己肯定感を高めることです。自己肯定感が低いと、不利な条件を提示されたり、パワハラじみたことを言われても、“自分はこの程度の人間だから我慢するしかない”とか“ここを辞めたら行くところがない”と考え、悪条件を受け入れてしまう。ブラック企業で愚痴を言いながらも辞めない人というのは、このパターンに陥っています。本人も責任を取るのが怖いから、上から言われたことをやるだけの方がラク。自分でその場所を選び、そこになじんでしまっているんです。
でも、自己肯定感が高く、自分を大事にできる人は、理不尽な要求にきちんとNOを言えます。自分に与えられた責任はきちんと全うするけれど、責任が取れないと思ったらきちんと断れる。必要な時に言うべきことを伝えられるから、仮に交渉が決裂しても、“それなら仕方ない”“自分がとどまる場所ではない”と、前向きな気持ちで次に進むことができるんです。考え方ひとつで、行動が大きく違ってくるんですね。
★第3回『心理カウンセラーが伝授!「ランチの予算をあげれば収入も上がる」ワケ』に続きます
教えてくれたのは……
石原 加受子(いしはら かずこ)さん
心理カウンセラー。「自分中心心理学」を提唱する心理相談研究所「オールイズワン」代表。心理学校メンタルヘルス学会会員、厚生労働省認定「健康生きがいづくり」アドバイザー。独自の心理学で性格や対人関係、親子関係などの改善を目指すセミナー、カウンセリングを28年以上続け、老若男女にアドバイスを行う。『誰にも言えない「さみしさ」がすっきり消える本』『「あの人とうまく話せない」がなくなる本』『「自己肯定感」の高め方 「自分に厳しい人」ほど自分を傷つける』などのベストセラーも。
取材・文/西尾英子
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