気持ちが揺れる40代
結婚して15年、夫とは仲が悪いわけではないけれど、結婚したとたん「恋愛感情」は薄れてしまった。家庭を続けていくなら、そのほうがうまくいく。そう自分に言い聞かせてきたけれど、ときどき心の奥が疼く。そんな女性たちは少なくない。
職場で若い男性にときめいて
結婚して15年、中学生と小学生の子を抱えて共働きでがんばっているジュンコさん(43歳)。このところ、なぜか気持ちが不安定なのだという。
「プレ更年期みたいなところがあるんでしょうか。気持ちの浮き沈みがけっこうあって、自分でもコントロールがうまくできない感じ。会社の医務室に相談に行ったりしたのですが、健康上の問題はないので『過労気味じゃないですか』なんて言われました」
そんなとき、同じ部署に新入社員の男性が入ってきた。若いなあ、と思うと同時に「私にもあんな頃があった」と感じ、自分の不安定の正体がわかったような気がしたという。
「私、社内結婚なんですよ。こうやって新入社員で入ってきて、3年目に彼と知り合って3年つきあって結婚したなあと当時を思い出した。それでわかったんです。私には恋愛感情が足りていない、と(笑)。家庭は大事だし、子どもたちは無条件で愛おしいけど、恋愛感情だけどこかに置いてきてしまった。新入社員を見てちょっとときめきましたが」
新入社員を見てときめいたのは、「当時、新入社員だった頃の自分」であって、「今の自分」がときめいたわけではないと気持ちを切り替えた。
気持ちがふわふわして
一方、そんな「恋愛感情が欠如した自分」に「恋がふわりと落ちてきた」と表現する女性がいる。ユウカさん(45歳)だ。ひとり息子は、部活や友だちづきあいに忙しく、一家3人でどこかに行く機会も減った。「パート先は女性ばかり。仲良くなった人もいるので楽しいけれど、なんか潤いがなかったんです」
そんなとき、たまたま中学時代の同窓会があった。行ったことがなかったのだが、その日は息子が合宿でおらず、夫も出張中。ふらりと出かけてみた。
「当時、片思いしていた人に再会しちゃったんです。楽しかったですねえ。『ユウカちゃん、変わらないね』なんて言われて舞い上がって。みんなで連絡先を交換しあったんですが、その彼とは個人的にもやりとりしています」
これから深い関係になるとは思っていない。ただ、そんなことがあり得るかもしれないと考えるだけでワクワクする。それに実際、中年になった彼はあの頃よりもかっこよかった。
「当時と同じようにまた片思い(笑)。ただ、今回はつらくないですね。むしろ自分の日常の楽しみとしておこうかと。彼と再会してから、その前にあった精神的な不安定さはなくなったような気がします。彼とは今度、飲みに行こうねという話はしているんです。彼、今、東京で単身赴任をしているから時間は合わせるって」
ほのかに危険も感じさせるシチュエーションを、彼女は楽しんでいるようだ。
人はいつでも「ここではないどこか」を求める気持ちをもっている。「あの頃」に戻れる自分がうれしいという側面もある。
「大人ですから、そこは余裕をもってつきあっていきたいなと思っています」
それが男女としてなのか、友だちとしてなのか、まだ彼女にもわからないそうだ。