相続・相続税

相続税と譲渡税では要介護認定の判定基準が違う?

空き家譲渡の特例や相続税の小規模宅地等の特例において、被相続人が老人ホームに入所していた場合でも、条件によっては特例の適用が可能です。今回はその条件のうちの「要介護認定等」について詳しく解説します。

小野 修

執筆者:小野 修

相続・相続税ガイド

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被相続人が老人ホームに入所でも税の特例が受けられる

 
要介護認定の有無だけでなく、認定された時期がポイントに。

要介護認定の有無だけでなく、認定された時期がポイントに。


相続した空き家を譲渡した場合の3000万円の特別控除において、2019年4月1日以降は被相続人が老人ホームに入所していた場合でも適用ができるように緩和されました。また相続税における小規模宅地等の特例においては従来より被相続人が老人ホームに入所していた場合でも特例の適用が可能です。ただしどちらも一定の条件がありますが、この条件のうち、特に「要介護認定等」に注意が必要です。
 

要介護認定=要件を満たしている、とは限らない?

相続した空き家を譲渡した場合の3000万円の特別控除、また相続税における小規模宅地等の特例のどちらにも「要介護認定等」の要件があります。ですが重要なのは要介護認定等の有無でなく、実は要介護認定等の認定時期が判定基準になります。厄介なのは、空き家譲渡の特例と相続税の小規模宅地等の特例ではこの判定基準が異なるという点です。それぞれのケースの違いを確認しましょう。(要介護認定等以外の要件は満たしているものとします)
 

空き家譲渡の場合の要介護認定等の判定基準

まずは相続した空き家を譲渡した場合の3000万円の特別控除における要介護認定等についてです。「相続開始直前において要介護認定等を受けており老人ホーム等に入所していること」が要件のひとつですが、要介護認定時期の判定基準は『老人ホームへの入所の直前』になります。言い換えれば、老人ホームに入所した時は要介護でなく、入所後に要介護となってそのまま老人ホームに入所のまま相続開始となったようなケースは、空き家譲渡の3000万円の特別控除は受けられない、ということになります。2019年4月1日以降は適用ができるように緩和されたし要介護認定だったから安心、ではありません。適用可能かどうか、認定時期の確認を必ず行いましょう。
 

小規模宅地等の特例の場合の要介護認定等の判定基準

空き家譲渡とは違い、相続税における小規模宅地等の特例における要介護認定等については判定基準が異なります。「相続開始直前において要介護認定等を受けており老人ホーム等に入所していること」が要件のひとつということは同じですが、要介護認定時期の判定基準は『相続開始の直前』になります。したがって、老人ホームに入所した時は要介護でなくても入所後に要介護となってそのまま老人ホームに入所のまま相続開始となったようなケースは、小規模宅地等の特例が受けられる、ということになります。
 

適用可能なら税務署に申告しよう

空き家譲渡の特例や相続税の小規模宅地等の特例は、税務署に申告することで認められます。よって要介護認定等の認定時期についても要件を満たしている場合は、必ず税務署に一定の証明書類を添付等したうえで申告書を提出するようにしましょう。
 
今回は要介護認定等の認定時期・判定基準について解説しました。要介護認定なので空き家譲渡の特例が大丈夫と思っていたが実はダメだった、元気なうちに老人ホームに入ったので小規模宅地等の特例はダメだと思っていたが実際は特例が受けられた、といったことがないようにして下さい。またどちらも税額への影響が大きいため、要介護認定等は早めに行うようにしましょう。特にこれから老人ホームに入居する人は、事前に要介護認定等を受けてから入居するとよいでしょう。

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