亀山早苗の恋愛コラム

40代の男女を惑わす「同窓会不倫」のリアル

40代も後半に入ると、中学や高校のクラス会、同窓会が急に増えるという話を聞く。子あり既婚者は、子どもから少し手が離れてホッとする時期だし、未婚のままアラフィフを迎える人たちも、離婚や死別で再独身になった人たちも、どこかで半世紀を生きてきた感傷を、当時の仲間たちと分かち合いたくなるのかもしれない。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

恋愛ガイド

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本当にあるの? 同窓会不倫

同窓会不倫

40代も後半に入ると、中学や高校のクラス会、同窓会が急に増えるという話を聞く。子あり既婚者は、子どもから少し手が離れてホッとする時期だし、未婚のままアラフィフを迎える人たちも、離婚や死別で再独身になった人たちも、どこかで半世紀を生きてきた感傷を、当時の仲間たちと分かち合いたくなるのかもしれない。

中高時代といえば13歳から18歳。いちばん多感な6年間をともに過ごしてきたのだ。そこから30年たっても会えば当時に戻ってしまうのが同窓会の楽しいところ。だが会っていない時間が長い分、当時との違いも発見しやすい。そしてそんなとき、するりと恋が入り込むことも少なくないのだ。

 

友情が恋心に変わるとき

実際、同窓会で再会したクラスメートと恋に落ちたユキコさん(47歳)。結婚18年、16歳と13歳の子どもがいる。2年前、中学時代の同級会に初めて出席した。

「夫は悪い人ではないんだけど、無口なタイプ。こんなもんだと思いながら生活していたんですが、たまたま夫が出張で、子どもたちは合宿だキャンプだと誰もいない日に同級会があるという報せがきた。子どもがいるとどうしても夜は出づらいし、私も仕事をしているので、それまでは余裕がなかったんです。行ってみたら、みんなオジサンオバサンになっているんだけど、話してみると変わらない。楽しかったですねえ」

当時、モテモテだった野球部のキャプテンが話しかけてきた。ユキコさんはバレンタインデーに彼にチョコレートを渡したことがあったと彼に言われて思い出す。

「そんな話もしながら盛り上がって。やっぱりローティーン時代を一緒に過ごした人たちはお互いの本来の性格をわかり合っていたよね、なんて言い合って。だけど帰り道、ふっとああ、あれから30年。私の生き方は正しかったんだろうかなんて考え込んじゃったんですよ」

そこへ野球部の彼が後ろからトントンと肩を叩いてきた。このまま帰るのもなんだかもったいない、もうちょっと話さない?と言われ二次会へ。二次会ではカラオケに行き、当時のヒットソングでますます盛り上がった。

「ユキコちゃんって、ビスケットが好きだったよね、なんて言われて。どうしてそんなことを覚えているのかと聞いたら、友だちみんなで彼の家に遊びに行ったとき、私がひたすらビスケットを食べていたんですって。なんだか、その瞬間、恋に落ちちゃったんですよ」

彼から見ればふと思い出しただけのことかもしれない。だが、「当時の自分の些細なクセを覚えていてくれた」ことで、彼女の心に火が灯ったのだという。


 

急には進めない、でも後戻りもできない

それ以降、ときどきグループで、あるいは彼とふたりで会うようになった。「昔の友だち」だから、特にやましい気持ちにはならなかった。恋心が燃えていても、実際、何らかの行動に移すつもりはなかったからだ。

「かっこよかった彼がちょっとメタボのオジサンになってる。でも話せばやはり熱いものをもっている。人は変わるけど、根っこは変わらない。私は今の彼がいいなと思っている。それが徐々に明らかになっていったんです。彼のほうも同じようなことを言っていました」

だが、お互いに臆病になっていた。恋をしたらどうなるのか、予測がつくようでつかない。自分がどうなってしまうのかもわからない。だいたい理性で恋などできないのだから。

「急には進めなかった。でも少しずつお互いの距離が縮まっていく。1年近く友だち関係が続いて、ある日、彼が『もうどうにでもなれって気分なんだ』と笑ったんです。そこで男女の関係になってしまった。お互い我慢ができなかったんです」

行ってはいけない場所に足を踏み入れてしまったという自覚はあった。だが、もう引き返すこともできない。

それ以来、ユキコさんは彼とときどき会っている。食事だけで引き揚げることもあるし、時間のやりくりをしてホテルへ行くこともある。いけないとわかっているからこそ、ドキドキするのだという。

「ただ、ドキドキしたいだけで会っているわけではありません。彼と一緒にいると自分を肯定できるんです。生き方に迷いを感じなくてすむというか……。若い時期に知り合っているからなのかな、お互いの根っこを肯定しあえる気がするんですよね」

同級生なら誰でもいいわけではない。彼だったから恋に落ちたのだ。この先、どうなるのか、どうするつもりなのかはまったく見えない。ただ、今は無口な夫に不満はなくなった。自分が少し寛容になっているとユキコさんは感じているという。

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