ライフスタイルの多様化で庭、外構の種類も豊富に
住友林業緑化 東京中央営業所 マネージャー 岡野和義さん
まずは、あらためて庭、外構の役割をおさらいしておきましょう。
「庭、外構は、住宅に面した道や隣家との境界を区切り、プライバシー確保や防犯面での効果で安心、安全をもたらす場所。と同時に、その家が含まれる街並みの一要素となり、景観を豊かにする役目も担っています。
家族のプライバシーを確保しつつ、街並みにあわせて家の外観を華やかにするのが外構の役割のひとつです。
これまでの13年間を振り返ってみると、お客様のライフスタイル、家族構成、好みなどの多様化に伴い、建物や庭、外構に使われる部材や間取りのバリエーションはかなり増えてきたと感じています。その事に応じて、庭、外構に対するさまざまなご要望をいただくようになりました」(岡野さん、以下コメントはすべて同じ)
日々の暮らし、生活動線から理想の庭が見えてくる
では、庭づくりのプロセスを見ていきます。住友林業緑化では、住宅の外観デザインや使用する建材、間取りなどが決まると、お客様専属の担当者が付き、庭づくりの計画がスタート。お客様からご要望がある場合、建物契約前の段階でも、ある程度イメージを固めていただくために複数の施工例写真などとともにプレゼンすることもあるそうです。
外構計画はその家ごとに大きく異なってきます。たくさんの実例を見ながら、イメージを固めていくと良いでしょう。
「いずれにせよ、まずはお客様のご要望をうかがうことから始まります。例えば、花木が豊富な欧風ガーデン、和風の庭園、家庭菜園、ガーデニングを楽しみたい、パーティなどもできるウッドデッキをつくりたい、お子さんが安全に遊べる芝生が欲しい、などの理想をお聞きして、それに近い施工例の写真をお見せしたり、ご要望に基づいてその場でスケッチを描いたりしながら、イメージを固めていきます」
お客様のご要望に合わせて描くスケッチ。完成後の庭をイメージしやすくなります。
その際、お客様の家族構成はもちろん、普段の暮らし、生活動線などを細かくヒアリングすることが大切なのだとか。
「例えば、共働きで平日は忙しい、子どもがまだ小さいファミリーなどの場合、庭にそれほど手間がかけられないので、植栽はそれほど世話がかからないタイプにしたり、植栽の種類を絞ったりする対応が考えられます。
また、通勤に使う駅がある方向によって、帰宅した時の目線がある程度決まってくるので、目がいきがちな部分のつくり方に配慮することも。あるいはクルマを頻繁に使う方なら、車種もしっかりお聞きして、リアハッチの寸法も踏まえたスペースを確保しつつ、家からのアクセスがスムーズになる動線を確保します」
帰宅したときに、どのような角度で家を眺めるかを想定してプランニングを進めていきます。
ちなみに車では、この先需要が高まりそうな電気自動車用の充電器設置を提案することもあるそうです。
「初期設計の段階から考えておけばあまり目立たないように設置して、美観を損ないません。ほかにも、お子さんの名前や誕生月にちなんだ記念樹をシンボルツリーとして植える、庭先と室内をつなぐコンクリート打ちの部分に入居時のお子さんの手形を入れるなど、家を建てた際の記憶をとどめておけるような提案も行っています」
ハウスメーカーのグループ企業で庭をつくるメリットとは
庭と家は一体の関係。一緒に計画をしておくと、デザイン面で調和がとれるだけでなく、機能面でも使いやすい外構計画ができます。
住友林業緑化は住友林業グループ企業ということもあり、やはり住友林業の木造住宅の庭づくりが中心とのこと。
「私たちは木造住宅に適した庭づくりを熟知していますし、これまでに住友林業がつくってきた約30万邸の注文住宅のビッグデータに基づいた多くの選択肢をご提案できます。住宅設計と早く意思疎通ができ、何か変更等が発生した場合はすぐに対処できることも強みだと考えています」
そして、この“二人三脚”のもうひとつのメリットが、資金計画の立てやすさ。
「建物と庭、両方の資金を諸経費も含めた一本のローンにまとめることができ、お客様の負担感を減らすことができます。建物をつくった会社と庭づくりをする会社が違う場合、当然支払いを別々にしなければなりませんし、まれに、建物にお金をあてすぎて庭の内容を妥協せざるを得なかったという話も聞きます」
さらに資金以外でも、建物と庭づくりの会社が違う場合、住宅の外観意匠と微妙に調和がとれない、建物が竣工しても庭づくりの工事が始まるまで少しタイムラグが生じ引っ越しまでに時間がかかる、といった場合もあるそうです。そもそも自力で庭、外構をつくる会社を探すこと自体が大変かもしれません。
良い庭の基本は「奥行き感」と「シンプルさ」
さまざまな要素がからむ庭、外構づくり。例えば住環境、季節によって変化する日光の当たり方、風、空気の流れ方、その地域で異なる暑さ、寒さ、降雨、降雪量、隣家の窓の高さや道路を歩く通行人の目線を遮る配慮、室内からのアクセスや水道、電気などの検針のしやすさなどなど……。もちろん、岡野さんはこうした諸要素を鑑みてできるだけベストに近い提案をしています。ご家族が室内から庭を眺めたときにどう見えるのか、ということが重要。
「そうした諸条件に加えて、室内から見た時の印象も非常に大切です。庭、外構はつい『外からどのように見えるか』に意識がいきがちなのですが、接する時間が最も長いのは、いうまでもなくその家に暮らすお客様。そのため、リビングでソファに座って庭を眺めた時、高さが足りない場合には盛り土して視界に入りやすくする、キッチンで料理中の方の目線にも入るような位置に植栽を配置する、といった工夫をします。
さらに、家の正面からだけでなく、住まいのフォルムや敷地形状によって見る角度が変われば印象もガラッと変わるため、異なる方向からの樹木や塀のバランスや、ライトアップすることで夕方~夜間にどう見えるか、などにも注意しています」
良い庭、外構の基本は「奥行き感」と「シンプルさ」にありますと岡野さん。
「植栽などの工夫で奥行き感が出ると家がさらに立体的になり、住まい全体が際立つ効果が生まれます。また、木造住宅に合いやすい石や花木などの自然素材を、種類を絞って使うことで庭、外構はシンプルな印象になり、長く暮らしても飽きがこなくなると思います。石やタイルなどはカットサンプルだけではなく、実際にそのタイルが貼られたサンプルを作成し、お見せしたりすることもあります。完成時のイメージにかなり近づくので、入居後のギャップが生じにくいのです」
自然素材で彩った庭は、時の経過とともにかわる表情も楽しむことができます。
庭を構成する重要な要素、植栽もリアルな状態で見ていただくことが多いそうです。
「ご希望の方には、近郊で実際に植栽を栽培している農園にお出かけいただき、地面に生育している状態を見ていただくことも。家が建つ場所とは異なりますが、それでも写真などよりもはるかに具体的にイメージしていただけます」
お客様の理想をできる限り叶えて、なおかつ住宅本体と調和のとれた庭、外構が完成した時、最もこの仕事のやりがいを感じるという岡野さん。住まいの総合的な魅力を向上させる庭、外構は下記サイトのほか、お近くの住宅展示場でもご覧いただけます。ご参考になさってください。
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