そして数日後または数カ月後、予定になかった出費や趣味に興じたいという誘惑、美味しいものを食べたいという欲求などのせいで挫折し、「貯金目標を達成できなかった……」という苦い経験をしていませんか。
そこで今回は、科学的に正しい貯金目標の立て方を紹介します。この方法を使うことで、あなたが貯金目標を達成できる可能性を引き上げることができます。ぜひ、試してみてください。
自分で貯金目標を立ててもダメ
行動経済学者のダン・アリエリーが行った研究(1)によると、「自分で設定した〆切目標は効果が薄く、他人から強制されないと目標を先延ばしにしてしまう」ことが分かりました。どれだけ「貯金したい!」「貯金目標を立てよう!」と思っても、自分で立てた目標は強制力が弱いので、何度か誘惑に負けるうちに「また来年でいっか!」と、先延ばしにしてしまうのです。
貯金目標は家族や親友に決めてもらう
「自分で決めた貯金目標は達成できない!」というのだから、できることは1つだけです。それは、「他人に貯金目標を立ててもらう」という方法です。かくいう筆者も自分で貯金計画を立てると、ついつい計画倒れになってしまいがち。失敗する未来が見えているので、奥さんに協力してもらって貯金目標を立ててもらっています。誘惑に負けないためには、周囲の協力を仰ぐのが一番ということでしょう。
目標を公開するだけで貯金ペースが1.5倍に!
とはいえ、いきなり「私のために貯金目標を立ててください!」なんて言われても、周囲の人も動揺するでしょう。そこでオススメなのが、「貯金目標を家族や親友に公開する」という方法です。ある研究(2)によると、「貯金目標を周りの人に打ち明けることで、成功する確率が高まる」ことが確認されています。この研究では、貯金目標を公表したグループは、しなかったグループと比べて貯金額が65%も増えたのだとか。
「目標を公開する」というひと手間だけで、貯金ペースが1.5倍以上に上がったのだから、ぜひ実践しておきたいテクニックですね!
まとめ:まずは無理せず、やってみよう!
「自分で目標を立てると達成できない」というのは衝撃的な研究結果ですよね。とはいえ、他人に目標を立ててもらい過ぎると、「自分で自分の人生を決めている!」という感覚が薄れてしまい、幸福感が薄れてしまう危険もあります。なので、もともと貯金に対するモチベーションが低い人がこのテクニックを使うと、ストレスが溜まってしまい、陰鬱な気分になってしまうかもしれません(汗)。まずは、ボーナスが入ったときや臨時収入が入ったときなど、「ここぞ!」というタイミングで使ってみてはいかがでしょうか。
【参考文献】
- 論文:Dan Ariely and Klaus Wertenbroch, 2002, "Procrastination, Deadlines, and Performance: Self-Control by Precommitment", Psychological Science, 13(3), pp. 219-224
- ディスカッションペーパー:Felipe Kast, Stephan Meier, and Dina Pomeranz, 2012, “Under-Savers Anonymous: Evidence on Self-Help Groups and Peer Pressure as a Savings Commitment Device" , IZA Discussion Paper No. 6311