一方、「お金よりも大切なもの」があることも事実でして。お金持ちになったところで、お金よりも大切なものを犠牲にしてしまうと、不幸になってしまう場合もあります。そこで今回は、「金持ちなのに不幸」になる2つの原因を紹介します。反面教師としてお読みいただけたらと思います。
原因1:人間関係を軽視する
人間関係を軽視すると不幸になります。筆者の身近にも、「仕事ばかりしていて家族と時間を過ごさない」「仕事仲間以外に交友関係がない」人がいます。彼らは、現役のときはよいかもしれませんが、老後の人生に行き詰まります。ハーバード大学の心理学者、ロバート・ウォールディンガーは講演(1)の中で、老後に最も幸せなのは「仕事仲間に代わる新しい仲間を自ら進んで作った人たちだ」と述べています。
また、彼によれば、人間関係をおろそかにすると早死し、不健康になり、記憶力も悪くなるのだそう。お金を持つと独立心が芽生えて共感能力が下がり、孤独になりやすい可能性もあるので注意が必要です。
致命的なのが「家族仲が悪い」ケースです。仕事ばかりを優先し、家族とのコミュニケーションを怠ってはいけません。むしろ、「家族とのコミュニケーション時間を確保する」ことを優先してから、「余った時間を仕事や趣味に当てる」という順序で考えましょう。
原因2:不摂生を続ける
不健康は不幸の源です。しかし、お金への欲に目が眩み、不摂生を続ける方も多いようです。特に、「睡眠不足はタバコよりも体に悪いかもしれない」という話もあります。また、運動習慣を持たない人はストレスが多く、不幸で貧乏になりやすいことも分かっています(2)(3)。筆者自身、働き盛りだった頃は接待のたびに暴飲暴食し、睡眠時間を削り、月に1度も運動をしない……という生活を何年か続けました。おかげで、お金は貯まりました。しかし、結果として生活の質は下がり、全く幸せにはなれませんでした。
どんなにお金を持っていても、健康を失えば楽しく使うことはできません。目先のお金を目当てに、将来の幸せを失っては元も子もありません。
まとめ
オーストラリアで看護師をしていたブロニー・ウェアによると、死を迎える人たちが人生を振り返って感じるもっとも大きな後悔の中に、「もっと友達と連絡をとればよかった」
「あんなに、がむしゃらに働かなくてもよかった」
という後悔があるのだとか(4)。1度きりの人生、死ぬ間際になって後悔するのでは遅いです。今からでも幸せな人生を送るために、変えられることがあるのではないでしょうか。
【参考文献】
- 動画:ロバート・ウォールディンガー, 2015, "人生を幸せにするのは何?最も長期に渡る幸福の研究から", TEDxBeaconStreet
- 調査:厚生労働省, 2012, "平成22年国民健康・栄養調査結果の概要"
- プレスリリース:American Psychological Association, “Stress in America Press Room”
- 書籍:ブロニー・ウェア, 2012, 『死ぬ瞬間の5つの後悔(新潮社)』