記事の内容が気になる方のために要点を説明すると、お金に強い子どもは「数字に強い」「自制心が強い」といった特徴がある(1)(2)のです。
この記事では子どもをお金持ちにするために、「やった方がよいこと」を紹介しました。一方、子育てには「やらない方がよいこと」もあります。そこで今回は、子どもを貧乏にしてしまう“余計な世話”を紹介しましょう。
子どもを貧乏にする“余計な世話”とは?
やればやるほど子どもが貧乏になる“余計な世話”。それは、過度な経済的援助です。要するに、「子どもを経済面で甘やかせば甘やかすほど、どんどん子どもは貧乏になっていく」ということです。たとえば、「子どもに自分名義のクレジットカードを渡す」とか、「お年玉をたくさん渡す」とか、お金絡みで甘やかすとロクなことがありません。
億万長者研究の第一人者であるトマス・J・スタンリーの著書(3)によれば、経済的に甘やかされた子どもは、4つの側面から見て貧乏になりやすくなることが分かっています。その4つの側面とは……。
- 「節約しなくても親からお金を貰えばよい」という甘えた考えを生む
- 「親の金=自分の金」と考えるようになる
- 借金癖がつく
- 資産運用(投資)への意識が下がる
少なくともトマス・J・スタンリーの研究では、ポジティブな影響はほぼ見つかりませんでした。「お金で甘やかすことは、百害あって一理なし」といってよいでしょう。経済面で子どもを甘やかしてよいのは、「せいぜい成人するまでのお小遣いと教育費ぐらい」と考えておくと無難です。
まとめ:経済的な甘やかしは、子どもを貧乏にする
たまに、「子どもに自動車をプレゼントする」「子どもに家をプレゼントする」など、過度に甘やかしている親の話を耳にします。彼らは善意(または子どもに好かれたい気持ち)で子どもにプレゼントをしているだけなのでしょう。しかし、過度な経済的援助は、子どもの将来からすれば「余計な世話」です。
「魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えなさい」
これは老子の言葉です。子どもに「経済的援助」を与えるのではなく、「経済的に苦労しない能力や気質」を培う教育をすることが、親がすべき“必要な世話”ですよ。
【参考文献】
- 論文:Catalina Estrada-Mejia, Marieke de Vries and Marchel Zeelenberg, 2016, “Numeracy and wealth”, Journal of Economic Psychology, 54, pp. 53-63
- 論文:Walter Mischel, Ebbe B. Ebbesen, and Antonette Raskoff Zeiss, 1972, "Cognitive and Attentional Mechanisms in Delay of Gratification", Journal of Personality and Social Psychology, 21(2), pp. 204-218
- 書籍:トマス・J・スタンリー, ウィリアム・D・ダンコ, 2013, 『となりの億万長者 成功を生む7つの法則(早川書房)』