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木造住宅・木の家/木を活かした空間づくり

森林国・日本の未来を担う「木化事業」とは?

「日本が森林の多い国」であることはご存じの方も多いでしょう。具体的な数字を見てみると、国土の3分の2にあたる約2500万ヘクタールが森林に相当しており、そのうち人工林は約1000ヘクタール。森林資源は人工林を中心に毎年増え、現在は約52億立法メートルにおよんでいます(2019年2月林野庁調べ)。世界的に環境重視、温室効果ガス削減が叫ばれる中、我が国がこの潤沢な森林資源を有効活用しないのは、それこそもったいない話。そんな時代の要請に応えて、住友林業が取り組んでいるのが「木化事業(MOCCA)」です。

提供:住友林業
若狭 悦哉

執筆者:若狭 悦哉

木造住宅・木の家ガイド

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世界~日本の潮流「木造化・木質化」に貢献

住友林業

住友林業 住宅・建築事業本部 木化推進部 シニアマネージャーの原 元さん

「木化事業(MOCCA)」について説明する前に、住友林業がこの事業を進める背景を見ていきましょう。住友林業 住宅・建築事業本部 木化推進部 シニアマネージャーの原 元さんに聞きました(以下コメント同じ)。

「木造の建築物といえば従来は住宅が主流でした。しかし2010年10月1日に『公共建築物における木材の利用促進に関する法律』が施行され、非住宅建築の木造化・木質化はいわば国策となりました。また、2024年度からは国民皆で森林を支える仕組みとして、『森林環境税(仮称)』が徴収され、森林資源の活用、林業の人材育成、木材利用促進などの財源に充てられることが決定しています」
 
住友林業

世界有数の森林国・日本の森林資源。人工林の半数が一般的な主伐期である50年生を超えている

さらには2016年のパリ協定発効、遡って2006年に国連が提唱した「ESG投資」によって、環境保護、持続可能な取り組みを進める企業への投資が進んでいるといった世界的な情勢も深く関わっていると原さんは続けます。

となれば、100年を超える歳月をかけて森づくりを行い、世界中の様々な木の特性を熟知し、有効活用した住空間を創ってきた住友林業が、この潮流に参画するのは必然といえます。

「私たちが木化事業に進出したのは2011年のことです。以来、非住宅建築の木造化・木質化を提案し続けています」
 

子どもたちの五感に訴えかける
「保育園の木化」が育む豊かな心

いま住友林業の木化事業では、大きく3つの”MOCCA”を推進しています。

まずは、高齢者施設と教育施設。次に宿泊施設。最後がオフィスビル、商業施設です。特にオフィスビルについては、2041年を目標に、高さ約350mの木造超高層建築物「W350計画」構想が進められています。

この記事では、保育園・小学校などの教育施設と、医療・高齢者施設の事例を中心に見ていきましょう。いわば、日本のこれからを担う世代と、担ってきた世代の方が使う施設です。

「まずは教育施設です。2017年4月1日時点の厚生労働省の調べによると、待機児童は日本全国で2万6081人であり、そのうち東京都は8479人を占めていました。そこで都内の多くの自治体は認可保育所を新規に開設する事業者を募集し、注目を集めています。

というのも、この事業には、施設整備費の最大16分の15を補助するなど、多額の補助金を出す自治体が多く含まれているからです。したがって、今後2020年4月をメドに都内で認可保育所が増えることが予想され、それに伴い、待機児童数の減少も期待されています」 

どうやら2019年の上半期あたりまで、都内では“認可保育園の建設ラッシュ”が続く気配。そこで原さんが提案するのが森を育てる住友林業ならではの「保育園の木化」です。

「同じ生物として、人と木は相性がとてもよく、木の手触りや温もり、暖かさ、そして木の香りに包まれた空間は、大事な成長期の子どもたちの五感へ直に訴えかけます。そして自由に走り回り、寝転び、のびのび過ごせる環境は、きっと鮮明な思い出を育むことでしょう。
 
住友林業

【実例①:保育園(東京都狛江市)】周辺環境に配慮したレンガ造りの堅牢な外観と、木のぬくもりあふれる個性的で明るい室内。豊かな心を育む保育所が生まれました。 施工:住友林業(株)

 
住友林業

【同上】保育室の構造体を隠さずに見せ、樹木の形状や調弦梁、丸太、ルーバー、集成材と部屋ごとに異なる個性を演出。間仕切りの腰上はガラス張りで、スタッフの視線が行き届くようになっている。 施工:住友林業(株)

 
また、ある調査結果では、鉄筋コンクリート造の校舎に比べ、木造校舎では、木ならではの調湿機能などによってインフルエンザによる学級閉鎖が少ないことも判明しています。木の保育園や学校は、子どもたちの心と身体へのサポートなどの点で、他の園と差別化を図ることが期待できます。
住友林業

鉄筋コンクリート造の校舎でのインフルエンザによる学級閉鎖の割合は、木造校舎に比べると約2倍におよぶ
出典:「木造校舎の教育環境」橘田紘洋著、(公財)日本住宅・木材技術センター

保育園を現在ご検討中の事業者様や設計事務所様には、ぜひ弊社の"MOCCA"の思いを取り入れていただきたいですね」

木化実例:のびのびと育てる、木とレンガのコラボ。/保育園(東京都狛江市)
 
住友林業

【実例②:小学校(宮城県東松島市)】 木化事業として最大規模の施設となる、木造小学校校舎。有事の際は避難所になり、東松島市の「復興のシンボル」にもなるという大きな役割を持ったプロジェクト。東北産材を中心に活用することで地域林業の活性化にも寄与している。 施工:住友林業(株)

 
住友林業

【同上】約2,000本の木材を使い、床面積898.10平方メートル、天井高約10m、25m四方の木造大空間を実現した「屋内運動場」。美しく堅牢な構造体により、森の中の広場のような巨大な空間を生み出している。 施工:住友林業(株)

 

木化実例:子どもたちが開く、「木化×未来」の扉。/小学校(宮城県東松島市)
ストーリー:未来への想いが詰まった木造校舎。
 

医療・高齢者施設の木化提案では
事業サポートを含めたコンサルティングも

次に、医療・高齢者施設について聞きました。

「高齢者の方の多くは、子供や孫などご家族と一緒にご自宅で過ごしたいと思っているでしょう。しかし、諸般の事情がおありになって老人ホームやリハビリ施設、病院などで暮らすわけです。

そんな入居される皆様に、私どもは日本の良き木の住まい、どこか『懐かしさ』と『新しさ』が調和されたMOCCAの住まいと、施設をご提案しています」

医療・高齢者施設の社会的な役割から見れば、木化建築は趣旨に沿う場合が多く、賛同いただく運営事業者様も多いそうです。既存の事例では、木化したリハビリ施設で、リラックスして床に座ってくつろぐ方もいる等、従前の無機質な印象の施設では見られなかった光景もあったとのこと。

「また、運営事業者様は"経営"の観点からも厳しく事業化を検討されています。私共は"建物のMOCCA"をご提案するだけではなく、中長期的な視点からのデータ収集、分析、提案、そして持続的、継続的な安定事業のご提案を行っております。

教育施設も高齢者施設も、MOCCAされた建物を建てていただきご経営される方と、そのMOCCA建物を使う方、そのすべての方々に幸せになっていただくため、これからもMOCCAは挑戦し続けていきます」

木化実例:木のノウハウで、高齢社会に寄り添う。/介護付き有料老人ホーム(東京都目黒区)
ストーリー:木の持つ治癒力を、最大限に生かした病院。
ストーリー:木の家に暮らす高齢者施設。

<関連サイト>
住友林業の木化事業

<関連記事>
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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