そもそも「当座貸越(総合口座貸越)」とは?
銀行に総合口座を持っていると、普通預金の残高が足りなくても、自動的に融資が受けられるサービスがあります。このサービスを「当座貸越(総合口座貸越)」といいます。もともと当座貸越には、小切手や手形の決済不足資金を融資する法人向けの「一般当座貸越」、カードローンなどの貸出専用口座を開設して融資を受ける「専用当座貸越」、そして総合口座にセットされた「当座貸越(総合口座貸越)」の3種類があります。この記事で紹介するのは、3つめの「当座貸越(総合口座貸越)」です。
例えば、自動積立定期預金を活用して、給料日に普通預金から「先取り貯蓄」をするときには、普通預金と定期預金を作るため、総合口座を開設するのが一般的。このとき銀行に「当座貸越(総合口座貸越)」を勧められて、何気なく申し込んだというケースが実は多いのです。
このサービスは銀行や信用金庫、信用組合などで扱っています。主なサービスは以下のとおりです。
●代表的な銀行のサービス名と借入限度額(上限)
- みずほ銀行「総合口座貸越」: 円定期預金残高の90%または最高200万円
- 三井住友銀行「総合口座貸越」: 円定期預金残高の90%(上限200万円、国債等公共債担保は別枠)
- 三菱UFJ銀行「総合口座自動借り入れ」: 円定期預金残高の90%または最高200万円(国債等公共債担保は別枠)
- りそな銀行「総合口座の当座貸越」: 円定期預金残高の90%または最高200万円(国債等公共債担保は別枠)
- ゆうちょ銀行「貯金担保自動貸付け」: 担保定額貯金または担保定期貯金残高の90%(上限300万円)
当座貸越のメリットは、残高不足でも決済できる
当座貸越(総合口座貸越)のメリットは、例えばクレジットカードや公共料金の支払い日に、銀行口座に残高が足りなくても、定期預金を担保に自動的に融資をしてくれるという点です。つまり、うっかり銀行に入金するのを忘れていたり、給料日前で残高不足であったりしても、引き落としができないという事態を回避することができるのです。なお、自動融資を利用すると、普通預金の通帳残高はマイナスで表示されます。
当座貸越の金利と返済方法は?
このように、普通預金の残高が不足していても、定期預金に残高があれば自動的に借り入れできるのが当座貸越(総合口座貸越)の特徴です。ただし、当座貸越(総合口座貸越)を利用すると、当然のことですが借入金利がかかります。借入金利は、定期預金を担保とした場合、多くの銀行で「定期預金利+0.5%の金利」が日割りで発生します。
また、返済方法ですが返済用の専用口座は不要で、普通預金口座に入金すれば自動的に返済が完了します。なお、定期預金の満期時点で返済できていない場合は、定期預金残高から相殺されます。
損をせず、当座貸越を活用する方法は?
前述したように、担保となる定期預金の利率に金利が上乗せされて、利息が付くのが当座貸越(総合口座貸越)の特徴です。つまり実質的に、借入利息分だけ定期預金残高が目減りしているということになるのです。そのため、当座貸越(総合口座貸越)を利用するかどうかは、預け入れしている定期預金の利息と、当座貸越(総合口座貸越)の利息をきちんと見比べて判断する必要があります。当座貸越(総合口座貸越)の利息は日割りで計算されるので、少額を短期間で借り入れるのならば、利息分が高額になることはありません。ただし、貸越金額が多くなったり、返済に時間がかかったりする場合は、金利によっては定期預金を解約して返済したほうが、結果的に損をしなくて済むということもあります。
なお、定期預金を途中で解約すると中途解約利率が適用されて、当初の定期預金利率よりも低くなります。つまり、預けた定期預金の金利と預入金額によっては、急場しのぎなら当座貸越(総合口座貸越)を利用したほうがトクになるケースもあるのです。ただし、定期預金を担保にしているとはいっても借金には変わりがないので、「一時的な借り入れ」と考えるようにしましょう。
「うっかり当座貸越(総合口座貸越)を使ってしまうのが心配」だという人は、サービスをあらかじめ外しておくとよいでしょう。なお、手続き方法は銀行によって異なるので、窓口やコールセンターで相談してみましょう。