資産運用

つみたてNISA初心者にオススメ!金融庁が主催する「つみップ」をリポート

All About貯蓄ガイドの中原良太さんが、つみたてNISAについて意見交換する交流イベント、「つみたてNISA Meetup(通称:つみップ)」に取材にいきました!その様子をリポートします。

執筆者:All About 編集部

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All About貯蓄ガイドの中原良太さんが、つみたてNISAについて意見交換する交流イベント、「つみたてNISA Meetup(通称:つみップ)」に取材にいきました!その様子をリポートします。

2018年から始まった「つみたてNISA」は、長期、積立、分散投資が特徴で、きまった金額でコツコツと続けて投資することで、リスクと手間を減らすことができ、投資の初心者でも始めやすいといえます。
 
実は、つみたてNISAを立ち上げた金融庁は、より多く人が投資を始めやすいよう、つみたてNISAについて意見交換する交流イベント、「つみたてNISA Meetup(通称:つみップ)」を2017年から実施しています。例えば投資初心者向けのイベント「つみップRookies」や、子供を連れて参加できる「つみップ ママ部」など、色々なイベントの形で、日本各地で開催されているんです。
 
そこで、去る2018年11月2日、ぼくは人生で初めて金融庁に足を踏み入れ、開催されていた女性投資家向けの「つみップ女子部」 を取材してまいりました。

この日の「つみップ女子部」は、投資未経験の方から投資経験3年目くらいの一般女性が約30名参加し、つみたてNISAに関する様々な疑問、困りごとなどをゲストの投資の専門家に質問するといった内容なのですが、その出演者の豪華さにまず仰天!

 
豪華ゲストにまずは驚きました

ファイナンシャルプランナーで、All Aboutガイドでもある岩城みずほ氏や、確定拠出年金アナリストの大江加代氏、経済評論家の山崎元氏、「ファンド情報」編集長の岡田篤氏、日本経済新聞社編集委員の田村正之氏など、著名人がずらり


この日のゲストは、ファイナンシャルプランナーで、All Aboutガイドでもある岩城みずほ氏や、確定拠出年金アナリストの大江加代氏、経済評論家の山崎元氏、「ファンド情報」編集長の岡田篤氏、日本経済新聞社編集委員の田村正之氏など、著名人がずらり。また、投資に詳しい方ならおなじみ、インデックス投資に詳しい人気ブロガーの、虫取り小僧氏や、吊ら男氏、水瀬ケンイチ氏の姿もありました。個人的にも、学生の頃からずっと追っかけてきたブロガーの吊ら男氏や、長年ファンだった山崎元氏に会えたので、冒頭から感動しきりでした…!
 

 つみップ女子部:当日の内容

さて、気になるイベント内容はというと、金融庁 総合政策局 総合政策課の今井氏からつみたてNISAの制度説明があった後、今回は女性向けイベントということもあり、フィナンシャルプランナーの岩城氏から、「人生100年時代、一生お金に困らないために、今からできること」と題するプチセミナーがありました。また、確定拠出年金アナリストの大江氏からはiDeCoの制度説明があり、投資をはじめるにはつみたてNISAかiDeCoが適していることなどが話されました。

 
金融庁 総合政策局 総合政策課の今井氏によるつみたてNISA制度説明

金融庁 総合政策局 総合政策課の今井氏によるつみたてNISA制度説明

 
ファイナンシャルプランナーの岩城氏による女性のためのマネーセミナー

ファイナンシャルプランナーの岩城氏による女性のためのマネーセミナー

 
確定拠出年金アナリストの大江氏によるiDeCo制度の説明

確定拠出年金アナリストの大江氏によるiDeCo制度の説明



 

何より面白かったのは、Q&Aタイム

このイベント、とにかく面白かったのがQ&Aタイム。制度の説明については、書籍やインターネットで調べられるような内容が中心でしたが、Q&Aタイムには、これから投資をはじめようと思っている方からの、率直な疑問や質問が飛び交います。これらの質問に対し、豪華なゲスト陣が中立的な立場でわかりやすく真摯に回答してくれるんです。投資初心者も、投資経験者もなかなか見応えのある内容だったと思います。
 
投資をする上でも大変参考になるので、ぼくの解説も含め以下に紹介します。
 
(参加者からの質問)つみたてNISAやiDeCoの口座はどこで開設すると良いでしょうか?
 
・山崎氏の回答:iDeCoに限って言えば、給料が振り込まれる銀行は、口座情報を知りすぎている側面があるので、オススメしません。また、窓口で購入できる投資商品は手数料が高いことが多いので、止めておいた方が良いでしょう。ぼくはネット証券に勤めているので、この点については割り引いて考えていただきたいのですが、全体的に見て、ネット証券だと手数料が安く、オススメです。
 
・虫取り小僧氏からの回答:具体的には、SBI証券や楽天証券が良いと思いますよ。
 
・大江氏からの回答:ネット証券では手数料が安いのは確かなのですが、サポートの充実という点では、別のところが良いかもしれません。iDeCoナビというウェブサイトで細かく比較できますから、ぜひそちらでご確認頂けたらと思います。
 
 
「資産運用の成功は口座選びで決まる!」というのがぼくの見解です。コストの高い口座を開設すると、それだけで投資の旨味が薄れてしまうので、注意が必要です。

つみたてNISAやiDeCoの本来の目的は「節税によるコスト削減」です。ですから、ぼく個人としては、この目的から逸れないよう、「コストが安いところ」を選ぶのが一貫していると思います。専門家の間でも出てきた「SBI証券」や「楽天証券」といった、メジャーなネット証券を選ぶのが無難であり、今のところのベストチョイスだと思います。
  
(参加者からの質問)つみたてNISAが終わった後、どうすれば良いの?
 
・今井氏からの回答:一部の方は「売らないと節税できないのでは?」と勘違いなさっているようです。しかし、非課税期間が終了したときに自動的に枠を移し替えますので、何もしなくても節税効果はあります。

(参加者からの質問)iDeCoを使いたいのだけど、会社都合でできないみたい…
 
・専門家一同の回答:一般に、iDeCoは企業年金をあまり受け取れない方のための制度です。企業年金を多く受け取れる方は、iDeCoが必要ないので、枠が受け取れない場合もあります。とはいえ、iDeCoが使えないということは、企業年金が充実している証拠と言えます。ですから、プラスに受け取って良いのではないでしょうか。
 
「iDeCoが使えないと損!」と考える方も多いようです。たしかに、iDeCoでは節税効果が大きいので、枠が小さいと損をした気分になるのも分かります。とはいえ、専門家の方々も言っているように、「iDeCoの節税枠が大きい=企業年金を受け取れない人」ということですから、節税枠が小さい人は、福利厚生がしっかりしている良い企業に勤めているとも解釈できるでしょう。
 
(参加者からの質問)iDeCoって、定年になったら本当に受け取れるの?
・大江氏からの回答:公的年金とは違う(ので大丈夫かと)。むしろ、長く積み立てるほど得なので、もっと長く積み立てられるようになる方向には動くかもしれません。
 
「iDeCoで積み立てたお金は本当に受け取れるの?」と不安な方も多いようです。その背景としては、1999年から凍結されている「特別法人税」の存在を不安に思っている方もいるようです。特別法人税とは、「確定拠出年金などの年金の積立金全体に年率約1%課税される税金」です。
 
特別法人税は、2020年3月31日まで「凍結」され、課税は延長されていますが、復活した場合は、節税をするはずが、実際のところは損になるのでは…?という可能性も不安視されています。
 
復活する可能性は「ゼロ」とは言い切れません。この点が心配な方は、iDeCoに手を出すのは控え、つみたてNISAを選んだ方が無難と言えるでしょう。
 
とはいえ、正直な所「どちらに転ぶかは誰にも分からない」ので、どうしても不安な場合は、どちらの可能性にも備えて、たとえば、「iDeCoの積立は月1万円」、「つみたてNISAの積立も月1万円」のように、半分半分でお金を積み立てていくのが、賢いやり方かもしれません。
 
 
(参加者からの質問)投資信託の手数料が安いものと高いものがあるのは何故?

・山崎氏からの回答:企業努力の差もあると思います。あとはインデックスの使用料などもあるので、利用しているインデックスによって差が出てくるかもしれません。さいきん、米国では手数料ゼロの投信が出てきましたね。
・田村氏からの回答:手数料の安い投信を運営するために、あえて手数料の高い投信を作り、そちらの利益を手数料の安い投信の運営費に回す…という可能性も考えられます。基本は手数料の安い投信を選んだ方が得でしょう。
・今井氏からの回答:「高いから良い!」ということは無い、コストは安いほうが良い。
 
プリンストン大学の名誉教授、バートン・マルキール氏の研究によれば、「投資信託を選ぶときには、コストの安いものを選ぶと上手くいきやすい!」という話が有名です。コストは安いに越したことはないでしょうから、安いところを選ぶのが鉄則です。
 
投資信託には「アクティブ型」と「パッシブ型(インデックス連動型)」の主な2種類があります。基本は後者の方が、前者よりも手数料が安く、当たりであることが多いので、後者を選ぶ方が良いかと思います。
 
なお、投資信託を選ぶときには、「債券」または「株式」に連動するものがオススメです。それ以外の「金」など、現物資産と連動するものは、投資(プラスサムゲーム)というよりも投機(ゼロサムゲーム)です。安定した利回りが期待できませんので、選ばない方が良いでしょう。
 

(参加者からの質問)読むべき雑誌とかはありますか?

・山崎氏からの回答:雑誌は広告との兼ね合いもあり、内容があまり良くないので、オススメできるものはありません。
・吊ら男氏からの回答:本の方が体系的に学べるのでオススメです。理屈重視のものが好みな方は山崎さんの本が良いと思います。一方、理屈っぽいものが苦手な方は水瀬ケンイチさんの本が、体験談など混じっているので読みやすいかもしれません。
 
「マネー誌に載っている銘柄は株価が上がりにくい!」なんて話もあるぐらいなので、ぼくとしても「雑誌を買うよりは書籍を買う方がお買い得」だと思います。
 
初心者にオススメな書籍としては、山崎元氏の「難しいことは分かりませんがお金の増やし方を教えて下さい!」やチャールズ・エリス氏とバートン・マルキール氏の共著である「投資の大原則」あたりが、初心者にとっては読みやすいと思います。
 

今すぐ「つみたてNISA」と「iDeCo」を使おう!

いかがでしょうか?つみたてNISAは「とくにコストを掛けることなく、手軽に節税効果が得られる」点が魅力だと思います。ぼく自身、NISAやiDeCoなどの制度は去年から使い始めました。節税額の大きさを見て、「もっと早くから使い始めれば良かった!」と後悔したことをよく覚えています。月々数万円単位の節税ができることもあるので、この記事をきっかけに興味を持っていただけたら嬉しく思います。
 
最後に。
 
個人的な思い出話をひとつ。ぼくは個人的に、経済評論家の山崎元さんの大ファンでして。イベントでは、嬉しすぎて握手を求めてしまいました(笑) ふだんは芸能人を見かけても「握手したい!」とは思わない筆者でありますが、山崎さんだけは別格。懇親会では、山崎さんの新著にサインもいただくことができ、一緒にお酒を飲むというこの上なく楽しい時間を過ごし、この日は特別な思い出に残る1日になりました(山崎さん、ありがとうございました!)
 
そう、この「つみップ」は意見交換会の後に参加自由の懇親会もあるのです。(会費は2000円、開催地によって内容は異なります。)参加者同士の情報交換はもちろん、専門家の方々と直接話して意見を伺うこともでき、こちらも学びの場としてはこの上ない場だと思います。
 
「つみたてNISAやiDeCo。制度そのものは気になるんだけど、本当に大丈夫?」と気になっている方は、ぜひつみップに参加してみてはいかがでしょうか。気になることは全て答えてもらえるし、回答してくれる人は皆さん、どなたも優しく賢い方ばかりです。
 
ぼく自身、つみップがあまりに楽しかったので、もう1度、参加したくなってきました…! 機会があれば、また行きたいな…。
 

●参考文献
1.     資料:金融庁会議室, "つみたて NISA Meetup 女子部(平成30年11月2日)"

執筆/中原 良太(エビデンスに基づく資産活用&マネープランガイド)

 
 

 

慶應義塾大学理工学部卒。在学中にYahoo!株価予想達人に抜擢される。同サイトで100名超のアナリスト集団の中から「ベストパフォーマー賞」「通算最高勝率者賞」受賞(2016年1月)。四季報オンラインにて連載を経験。資産運用に関する「正しい知識」を広めることをモットーに活動。
 
 
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