ずっと住むつもりで建てたけど…
間取りや設備機器、インテリア、エクステリアに自分の好みを反映できる注文住宅は、長く住むことを前提に建てられる方が多いものです。しかし、どのような方でも、転勤やライフスタイルの変化などの諸事情により、やむを得ず売却する、または一定期間だけ賃貸にするという可能性はあるでしょう。売却や賃貸を検討するとき、家族が思いを込めて建て、大切に住んできたマイホームを適正な価値・価格で評価して欲しいのは誰もが持つ望みです。そこで今回は、建てる前に知っておきたい制度を2つご紹介しましょう。
【売却するとき】家の価値を明確な基準で評価する「スムストック」
従来の査定方式では、こだわって建てた戸建住宅でも、一般的に築20年を経つと査定評価はほとんどゼロになってしまいます。したがって、築後20年以降に売却する際には、売却価格=土地価格というケースが多くなるのです。しかし、協議会加盟の大手ハウスメーカー10社の住宅で、一定の基準を満たすものなら、何年経っても適正な価格で評価してくれる制度があります。
これは、優良ストック住宅推進協議会の会員企業が運営している「スムストック」という認定制度です。
1:新耐震基準レベルの耐震性能があること
2:新築時の図面、リフォームやメンテナンス履歴を保有すること
3:築後50年以上の長期点検制度・メンテナンスプログラムの対象となっていること
という3つの原則を満たすと、認定を受けることができます。
この制度は、家を売却する人、購入する人、双方にメリットがあります。
売却する人のメリットは、建物本来の価値が正しく評価されること。耐用年数の異なる「スケルトン(構造躯体)」と「インフィル(内装や設備機器)」を別々に査定することで、適正な価値の査定ができます。
また、これらの査定や販売は、様々な試験や研修をクリアした「スムストック住宅販売士」が行うため、安心して依頼でき、査定結果も信頼できる点が特徴といえます。
一方、購入する人も、大手ハウスメーカー10社の丈夫な構造躯体を持つ住宅であることに加え、適切にメンテナンスされてきた記録の残っている住まいなので安心です。その建物の価値についても、前述のスムストック住宅販売士が詳しく説明してくれます。
スムストック住宅販売士は不動産と建物のプロ。建物の知識が豊富だからこそ、建物の価値を適正に評価することができるのです。
【賃貸するとき】借り手がいない時でも家賃収入が得られる「マイホーム借上げ制度」
思いがけない転勤や両親の介護などにより、一定期間だけわが家を離れるというのは誰にでも起こり得ることです。このようなとき、移住・住みかえ支援機構(JTI)が実施している、「マイホーム借上げ制度」を活用するとよいでしょう。「マイホーム借上げ制度」とは、JTIが借り上げて転賃し、一人目の入居者が決定した後は空室時でも安定した賃料収入を保証するというもの。これにより自宅を売却することなく、住みかえや老後の資金として活用することができます。また、入居者とJTIの間は定期借家契約なので、貸す側がマイホームに戻りたいときには比較的スムーズに戻りやすいといえます。
通常は50歳以上の方を対象にした制度ですが、JTIが定める外部の耐久・耐震性基準を満たし、長期にわたるメンテナンス体制を備えた新築住宅なら、50歳未満の方でも「マイホーム借上げ制度」を利用できます。これが「かせるストック」(正式名称:移住・住みかえ支援適合住宅)という認定制度です。年齢制限がないので、例えば転勤時にも家を「資産」として活用することができます。
「かせるストック」制度を利用するには、JTIの協賛社員・事業者で、充分なメンテナンス体制を備えている住宅メーカーで家を建てる必要があります。協賛社員・事業者は2018年12月現在で住友林業グループをはじめとする18社/グループ。これから家づくりをされる方は、このように家を離れないといけなくなるケースも想定しておきましょう。
さらに、一定の条件を満たせば、新築から50年目まで「借上げ最低保証家賃」を設定できます。例えば、新築時に最低保証賃料が5万円と設定されれば、数十年後に募集賃料が5万円を下回ったとしても、5万円の収入が確保できます。こちらも、安心できる生活設計に役立つ仕組みですね。
制度の活用で、資産価値の高いマイホームを
優れた耐震性を確保しながら、設計の自由度を飛躍的に高めている住友林業の「ビッグフレーム構法」。
また、これらの制度が利用できるのは、長く安心して住むことのできるしっかりとした構造躯体があってこそ。これからの家づくりは、「安心できる構造の家を建て、適切に手入れをしながら、住み継いでいく」という視点も重要になりそうです。
<関連サイト>
一般社団法人 優良ストック住宅推進協議会「スムストック」
「マイホーム借上げ制度のご案内」