ICO(Initial Coin Offering)の件数は右肩上がり
ビットコインに注目が集まり「仮想通貨元年」と呼ばれた2017年、仮想通貨と同様に話題をさらったのがICO(Initial Coin Offering)でした。ICOは、斬新なアイディアを持った者がその実現のために低コストかつ少額で世界中から投資を募ることができるという新しい資金調達の方法であり、数多くの意欲的なICOが開催されました。その件数と資金調達額は上昇を続けています。しかし、実際に成功している例は全体の半分にも満たないと言われており、初めからお金だけをだまし取る詐欺まがいのICOも存在している現状を鑑み、世界各国で利用者保護のための規制や基準の整備が進んでいます。
米SEC(証券取引委員会)がICOのガイドラインを公開
そんな中、11月27日にアメリカ証券取引委員会(SEC)がICOに対するガイドラインを公表しました。その内容は、米SECは一部のICOが有価証券に該当するものであるとし、米国証券法に基づき規制及び対処していくとするものでした。しかし、ICOのひとつであるエアドロップ(資金調達は行わずユーザー拡大のためにトークンを無料で配布すること)が有価証券かどうかという議論が巻き起こるなど、多様化するICOの広がりにより、規制の難しさ複雑さも浮き彫りになっています。
しかし、米SECのクレイトン長官は、新たな法律等を設けるのではなく、あくまでも既存の金融法の枠組みの中で対処していくと表明しています。
日本の取り組み
日本のICOに対するこれまでの姿勢は「注意深く見守る」というものでしたが、金融庁は投資家保護の観点から規制の方向へ舵を切りました。12月2日には、独自通貨を発行する事業者に登録を義務付け、ライセンス制を取ることを明らかにしています。有識者で構成する「仮想通貨交換業等に関する研究会」でも資金調達目的の投資型トークンへの規制は検討すべきとの意見も多く、金融庁としては金融商品取引法の改正も視野に入れ、規制のガイドライン策定へ動いていくものと思われます。