多くの大人が無知によって損をしたり、失敗をしたりした経験があり、お金に関する知識の有無が豊かさに影響するということを実感している証拠ですね。今回は経済的自立のために、知っておきたいお金のルールについてお伝えします。
ルール1:大切なことは「大きな失敗」をしないこと
「人は失敗からしか学ばない」といっても過言ではありません。小さな失敗と成功を繰り返しながら、金銭感覚を身に付けていくものです。しかし、お金のことでの「大きな失敗」は、その後の人生をとても生きにくくします。お金を失うだけではなく、周囲からの信用や信頼を失い、人間間関係がスムーズにいかなくなれば、仕事や日々の社会生活にも影響が出ます。お金に関することは、できるだけ「小さな失敗」に留めておくべきで、そのためにもお金に関する知識はとても大切なのです。
一般的な高校生の金銭感覚は、数千円から2~3万円でしょう。自分のお小遣いやお年玉で買える金額くらいでしか、まだお金の価値を測ることができません。しかし、進学や就職で親元を離れて暮らすようになると、毎月の生活費や給料など、金額が10~20万円と一気に跳ね上がります。
金銭感覚がまだ育ってない状態では、いろんな失敗をするでしょう。例えば、心配でお金が使えないという人もいれば、調子にのって使い過ぎたという人など……。
ルール2:親と一緒に予算立て
親元を離れ一人暮らしをする前に、必ず行ってほしいのが「予算立て」です。毎月生活するには何にいくら位かかるのか? を項目ごとに予算立てていきます。高校生はまだ生活観念が身に付いていませんので、この作業は親と一緒に行う必要があります。家賃や水道光熱費、食費、交通費など、想定できるものは全て書き出していきましょう。そして純粋なお小遣いがいくらなのか目処が立てば、毎月〇〇円までは自由に使っても大丈夫と安心できます。
ルール3:先取り貯蓄の習慣づけ
学生でも貯蓄の習慣は必須です。しかし、余ったら貯蓄しよう……という考えでは、決して貯まりません。お金はあればあるだけ使いたいのが人間の性なので、生活用口座でお金を貯めるのではなく、毎月一定額が自動で天引きされ、別口座に管理される「定期積立」を生活用口座と同様の金融機関で始めましょう。貯蓄の目的は色々ありますが、まずはもしもの時のお金「緊急予備金の確保」です。学生とはいえ、急な出費で赤字になってしまうこともあるでしょう。そんな時に、借金という選択肢を取らせないためにも、毎月一定額を先取り貯蓄していきます。
例えば、毎月1万円貯蓄すれば4年間で48万円貯まります。緊急予備資金以外にも、就職活動費には約20万円かかるといわれています。また、卒業旅行にも行きたいでしょう。親は学費と仕送りだけで精一杯なので、それ以上の負担をかけないためにも学生自身で貯めていきましょう。
若い時代にこの「先取り貯蓄」の習慣が身に付けば、お金に困ることは少なくなり、豊かな人生を送ることができるでしょう。
ルール4:生活費の確認
実際に一人暮らしが始まったら、毎月何にいくらかかっているのか、改めて親子でチェックしてみましょう。最初に立てた予算と現実にかかっているお金の差を確認し、大きなズレがある場合は、その原因を確認する必要があります。このように、生活費を調整したり、何にいくらかかるのかを本人が把握したりすることで、一歩ずつ経済的な自立に近づいていきます。
仕送りや奨学金の借入額をいくらにするのか? も親としては、悩ましいところでしょう。それぞれ、家庭の経済事情も違いますから正解はありませんが、次のことを意識しましょう。
ルール5:仕送り額は初任給の手取り額を超えないこと
大卒の初任給は20万円程度です。それから社会保険料と税金を差引くと、手取り額は16万円というのが一般的な金額になります。例えば学生時代に15万円の仕送りを受けていたのに、就職後16万円の手取りで、そこから奨学金の返済2万円が加わると実質14万円となり、学生時代より貧しい生活を送ることになります。そうなると仕事に対するモチベーションも下がり、離職してしまったり、楽して稼げるといった詐欺話にも引っ掛かりやすくなったりします。毎月一定額の仕送りがあるにもかかわらず、「お金が足りない!」と連絡して追加でお金を送ってもらっていては、「収入の範囲内で生活をする術」が身に付きませんので注意が必要です。
学生時代に少ないお金で生活できる術を身に付けておくことは、一生の宝となります。自分の子どもには不自由な生活はさせたくないという親心はあっても、学生時代に多くのお金を与えすぎないように配慮することは、経済的自立を促す大事な要素となります。