貯蓄

iDeCoが損になる5パターン【専門家が動画・音声で解説!】

iDeCoは(多分)日本でも最もおトクな節税制度の1つです。ですが、素晴らしい節税制度も、使いようや状況によって損をする可能性もあります。そこで今回は、iDeCoの悪い面に目を向けて、iDeCoで損する代表的な5パターンをご紹介しましょう。

中原 良太

執筆者:中原 良太

エビデンスに基づく資産活用&マネープランガイド

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iDeCoは(多分)日本でも最もおトクな節税制度の1つだと思います。
 
これまでぼくは、iDeCoのよいところを中心に取り上げてきました。ですが、素晴らしい節税制度も、使いようや状況によって損をする可能性もあります。そこで今回は、iDeCoの悪い面に目を向けて、iDeCoで損する代表的な5パターンをご紹介しましょう。


 

復習:そもそもiDeCoって? 

そもそも「iDeCoって何?」という方は、過去に何度か取り上げてきましたので、それぞれの記事をご参照下さい。
 
●iDeCoに関わる記事一覧 iDeCoとは「個人向けの確定拠出年金」を指します。平たく言うと、「自分のために、自分で貯める年金」みたいなものです。最近は「じぶん年金」という言葉が流行っていますが、iDeCoは「じぶん年金」を作る上でも魅力的な制度です。
 
iDeCoは「節税をしながら貯金ができる」有利な制度です。具体的な節税効果としては、「積み立てしたお金は所得控除できる!」「運用で利益を出したら非課税にできる!」「受け取るときも控除対象にできる!」と、三段構えの節税効果が得られます。
 
iDeCoの制度に関する説明については分かりやすいシリーズ記事があるので、そちらをご参照いただけたらと思います。
 
iDeCoの復習が終わったところで、本題へ移りましょう。これから、iDeCoで損する典型的な失敗を5つご紹介しましょう。
 

iDeCoで損するパターンその1:二重課税

1つ目は、「二重課税」によって税金面で損をするパターンです。会社員の方は年末調整で、自営業の方は確定申告で、拠出金額を申告し忘れてしまうと、所得控除を受けることができません。
 
iDeCoは、給与に対する所得税や住民税の支払いを「退職金」または「年金」として、税金を先送りにする制度です。よって、退職金が豊富な方、年金が豊富な方は、受取時に課税される場合があります。
 
仮に拠出時の所得控除をし忘れると、トータルで見たときの節税効果がマイナスになる可能性があります。そうならないためにも、年末調整や確定申告のときには、「iDeCoでの所得控除を忘れない!」と、注意しておきましょう。
 

iDeCoで損するパターンその2:手数料負け 

2つ目は、「手数料負け」によって、節税効果以上のコストがかかってしまうパターンです。
 
iDeCoでは月々5000円からの拠出が可能です。とはいえ、所得税や住民税の課税が少ない方の場合は、拠出額を最小限にとどめると節税額以上に口座維持に手数料が取られる可能性があります。
 
それこそ、iDeCoでは「拠出時」と「受取時」に、それぞれ手数料がかかります。拠出回数が多い人、受け取りを複数回に分けた人ほど、手数料がかかります。
 
手数料負けが不安な方は、「年単位拠出を使う!」「退職金として一括で受け取る!」といった手段を選んだ方が、手数料負けしにくくなるので対策を練った方がよいでしょう。
 

iDeCoで損するパターンその3:投資信託の選別ミス

3つ目は、「投資信託の選別ミス」によって、手数料負けしてしまうパターンです。
 
iDeCoで拠出したお金は、主に、投資信託に積み立てることになります。とはいえ、一部の投資信託は経費率が高く、手数料負けにつながる可能性がある点に注意が必要です。
 
投資信託を選ぶときには、「コストの安いものを選ぶ!」のが鉄則です。プリンストン大学の名誉教授である、バートン・マルキール氏による(1)と、「手数料が安い投資信託ほど成功しやすい!」「売買回転率が低い投資信託ほど成功しやすい!」という傾向があるようです。
 
「プロの投資家の多数は、市場平均にすら勝てていない!」という調査(2)もありますので、ファンドマネージャーの腕に頼ることなく、とにかくコストにこだわって選ぶのがよいでしょう。
 

iDeCoで損するパターンその4:節税制度の選別ミス

4つ目は、「節税制度の選別ミス」によって、損をしてしまうパターンです。とはいっても、このパターンは、「ベストな節税制度を選べないから、相対的に損!」というだけで、被害が少なめです。
 
iDeCoの対抗馬として有名な節税制度としては、「つみたてNISA」が有力です。定年間近の方や所得の少ない方は、iDeCoよりもつみたてNISAの方が節税効果が高い可能性があります。
 
「自分の場合、つみたてNISAとiDeCo、どっちを選んだ方がトクなのだろうか?」と気になる方は、過去につみたてNISAとiDeCoの選び方を解説した記事をアップしておりますので、本記事と併せてご参照いただけたらと思います。
 

iDeCoで損するパターンその5:特別法人税の復活する可能性

5つ目は、「特別法人税が復活する」ことで損をする可能性です。特別法人税とは、年金積立金に約1%ほど課税されていた税金です。特別法人税は1999年度から凍結されており、少なくとも2023年(令和5年)3月31日までは課税が凍結されています。
 
特別法人税が復活した場合は、年金を積み立てるほど課税されることになるので、iDeCoの旨味が大幅に損なわれると考えられます。この特別法人税が復活する可能性を不安視して、iDeCoへの加入をためらっている方も多いようですね。
 
所得が多く、所得税+住民税の税率が高い方は、特別法人税が復活しても、基本は損をすることは原則ないと思います。とはいえ、現状は凍結されているだけで、復活したり、さらに税率が上がったりする可能性もゼロではありませんから、不気味である点は否めません。
 
将来のことは読めませんので、特別法人税が復活するか否かはなんともいえません。可能性がゼロとは言えない以上、念のため動向に注意しておくべきでしょう。
 

まとめ 

もともとiDeCoは「税金の支払いを少なくする!」「コストをカットする!」ための制度です。しかし、優れた制度も、使いようによっては(あるいは状況が変わると)、損してしまう可能性があります。本記事の内容を踏まえて、iDeCoで損をしないように注意してくださいね。

【関連記事をチェック!】 ●参考文献
  1. 記事:Burton G. Malkiel, 2004, "Can Predictable Patterns in Market Returns be Exploited Using Real Money?", The Journal of Portfolio Management 30th Anniversary Issure, 30(5), pp. 131-141
  2. 調査:S&P Dow Jones Indices, 2016, "SPIVA U.S. Scorecard"
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