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好景気には「高収益企業」の株価が上がりやすい?

今回は、収益性の高い会社を見極める具体的な2つのステップをご紹介します。この記事をきっかけに、あなたが良い投資先に巡り合えたら嬉しく思います。

中原 良太

執筆者:中原 良太

エビデンスに基づく資産活用&マネープランガイド

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経済学者のKenneth R. Frenchのデータライブラリ(1)によると、ここ10年間の日本株市場では、「たくさん利益を出している会社ほど株価が上がっている!」のだとか。
 
リーマン・ショック前までは、「高収益な会社の株を買っても、大して利益につながらないのでは?」という見方が優勢だったのですが、ここ最近になってから、収益性の重要性が再認識されているようです。
 
株式投資では「たくさん利益を出している会社に投資をする!」というのが鉄則です。投資の神様、ウォーレン・バフェットも投資先の収益性を重視していることを明らかにしています。また、彼が師事している投資家のフィリップ・フィッシャーも、「高収益な株」を好んでいたことが知られています。
 
高収益の会社は、高いブランド力を持っていたり、幅広い知名度を持っていることが多いです。また、余ったお金を企業投資や広告に回すこともできます。これから成長する可能性が高いとも期待できるので、注目に値する企業だと言えるでしょう。
 
そして何より、「利益を出していない会社は投資家に利益を還元することすらできない!」という点も忘れてはいけません。そう考えると、高収益企業への投資は、株式投資における原点とも言えるでしょう。
 
そこで今回は、収益性の高い会社を見極める具体的な2つのステップをご紹介します。この記事をきっかけに、あなたが良い投資先に巡り合えたら嬉しく思います。
 

ステップ1:売上高営業利益率で高収益株を見つける

まず、「売上高営業利益率」を使って高収益株を見つけます。売上高営業利益率は、「営業利益÷売上高」で計算できる、収益性を表す指標です。営業利益率の高い会社は、「売上規模の割に、たくさんお金を余らせている(=利益を出している)」と言えます。
 
経済学者のKenneth R. Frenchのデータライブラリ(1)によれば、直近10年間においては、「売上高営業利益率が上位30%に該当する日本の高収益企業は、売上高営業利益率が下位30%に該当する日本の低収益企業よりも株価が上がった!」ことが分かりました。
 
つまり、「たくさん利益を出している会社ほど株価が上がった!」ということです。よって、ぼくらが高収益株を見つけたいときには、「営業利益率の高い会社」を探して、その会社への投資を検討するとよいでしょう。
 
四季報オンラインのスクリーニング機能を使って調べてみたところ、売上高営業利益率上位30%の銘柄は、売上高営業利益率が約7%を超える銘柄群でした。よって、高収益な会社を見つけたいときには、「今期予想の売上高営業利益率が7%を超えているかどうか?」を目安に考えて、この数字を上回っている株を買うと考えると分かりやすいでしょう。
 

ステップ2:会計発生高で「質の高い」高収益株を厳選する 

次に、「会計発生高(アクルーアル)」と呼ばれる指標を確認することで、質の高い高収益株を厳選します。会計発生高とは、利益の質を確かめるときに使われる指標です。会計発生高は、粉飾決算を見抜く指標として使用されることもあります。
 
会計発生高は、「小さければ小さいほど良い!」と考えます。Contemporary Accounting Researchに掲載された論文(2)を含め、さまざまな研究で「会計発生高が小さな会社ほど株価が上がりやすい!」という傾向が確認されています。
 
会計発生高は「税引き後経常利益−営業キャッシュフロー」で計算することができます。目安としては、「会計発生高がゼロ未満になる会社」への投資を目指すのがよいと思います。会計発生高が低い高収益企業へ投資することで、粉飾決算の疑いの薄い、安全性の高い会社へ投資できると期待できます。
 
 

まとめ

これまでの話をまとめると、
 
手順1:「売上高営業利益率」が7%を超える高収益企業を見つける
手順2:「会計発生高」がゼロ未満の、財務健全性が高い企業を厳選する

 
という2つの手順で、質の高い高収益企業を見つけられると期待できます。冒頭でもお話ししたとおり、「高収益企業への投資は株式投資の原点!」ですから、ぜひ実践してみてはいかがでしょうか。
 
とはいえ、「高収益企業に投資をすれば100%うまくいく!」という保証がない点にも注意が必要です。高収益企業は下落相場では株価が上がりにくい傾向があるので、割安株投資などと組み合わせて、賢く投資先企業を見つけたいものですね。


【関連動画をチェック!】 



 
●参考文献
 
  1. ウェブサイト:Kenneth R. French, "Data Library", 2018年11月16日時点
  2. 論文:Baruch Lev and Doron Nissim, 2004, "The Persistence of the Accruals Anomaly", Contemporary Accounting Research, 23(1), pp. 193-226
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