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今さら聞けないけど…仮想通貨は買うべき?

今年の初めごろ、「仮想通貨はどうなの?」という問い合わせをしてくる方が多かったです。最近はだいぶ、落ち着きを取り戻したかのように見える仮想通貨ですが、ぼくらは買うべきなのでしょうか? 筆者なりの意見をお話ししましょう。

中原 良太

執筆者:中原 良太

エビデンスに基づく資産活用&マネープランガイド

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今年の初めごろ、「仮想通貨はどうなの?」という問い合わせをしてくる方が多かったです。最近はだいぶ、落ち着きを取り戻したかのように見える仮想通貨ですが、ぼくらは買うべきなのでしょうか? 筆者なりの意見をお話ししましょう。
 
 

いきなり結論:仮想通貨は買うべきでない! 

まどろっこしい話は抜きにして、結論から述べます。ぼくらは仮想通貨を買うべきでないと思います。これは、株式市場の法則や、投資・投機といった観点からぼくが導き出した答えです。
 
では、なぜ仮想通貨を買ってはいけないのでしょうか? これには3つの理由があります。それぞれの理由は、以下のとおりです。 
  • 理由1:新しいものほど割高になりやすい
  • 理由2:値動きが激しいものほど割高になりやすい
  • 理由3:目立つものほど割高になりやすい
この3つの理由から、ぼくは仮想通貨の取引をオススメしません。これから、それぞれの理由について、詳しくご説明します。
 
 

理由1:新しいものほど割高になりやすい

金融専門誌「ジャーナル・オブ・ファイナンス」に掲載された論文(1)によると、「新しいものは割高になりやすい!」という傾向が見つかっています。
 
これは株式投資の場合の話なのですが、「新規公開株は割高で、公開されてから5年間は値上がりしにくい!」なんてことが分かっています。これは、経済学用語で「オーバープライシング」と呼ばれています。
 
ぼくは仮想通貨についても同様のことが言えると考えています。最近は「ICO」というものが取りざたされていますが、これは仮想通貨での「新規公開」のようなものです。新しいものほど失敗する可能性が高いと思いますので、手を出さないのが無難かと思います。
 
 

理由2:値動きが激しいものほど割高になりやすい 

これまた「ジャーナル・オブ・ファイナンス」に掲載された有名な論文(2)がありまして。「値動きの激しい株式は、そうでない株式と比べて、投資をしても利益につながりにくい!」ということが分かっています。
 
日本株で言えば、「テーマ株」だとか「流行株」と呼ばれているものがあります。こういった株式は、一時的には盛り上がるのですが、中長期で見ると株価が下がってしまう可能性が高いのです。
 
仮想通貨の場合も、きっと同じことが言えるでしょう。とくに仮想通貨は、国定通貨と比べて、値動きが激しい傾向があります。ですから、普通に円やドルを買うよりも、値上がりしにくい可能性がありますので、手を出さない方が無難かと思います。
 
 

理由3:目立つものほど割高になりやすい

株式投資においては、「目立つ株は買うな!」という鉄則がございます。
 
専門誌「ファイナンシャル・アナリスト・ジャーナル」に掲載された論文(3)によれば、「目立つ株式ほど株価があがりにくい!」という傾向が確認されています。これもまた、仮想通貨にも通用する原則かと思います。
 
たとえば、「最近CMが増えてきた」とか「雑誌で取り上げられた!」とか「有名人が持っている!」とか。こういった話が出てきたら要注意です。割高である可能性があります。
 
「みんな持ってるんだよ!」と言われると、ついつい気になってしまうのが人間としての性です。ぼくも、周りの友人がスマートフォンを使い始めたのをきっかけに、iPhoneを買いました。
 
「周りから取り残されたくない!」というのはぼくらの本能ですから、こういった本能に惑わされないように気をつけないといけませんね。
 
 

まとめ 

ここまで、「仮想通貨を買うべきでない」いろんな理由をお話ししてきました。ぼく自身も仮想通貨は買っていませんし、知人や友人、家族にも、「買わない方がいいよ!」と言っています。
 
あくまで仮想通貨は、競馬やFXと同じ「投機」です。投資ではありません。
 
そうと分かって買うのはいいでしょうが、純然たる「投資!」と勘違いして手を出すのはよろしくないので、止めておいた方がよいと思いますよ。
 
 
●参考文献
 
  1. 論文:Loughran, Tim, and Jay Ritter, 1995, “The New Issues Puzzle,”Journal of Finance 50, pp. 23- 51
  2. 論文:Andrew Ang, Robert J. Hodrick, Yuhang Xing, and Zioayan Zhang, 2006, "The Cross-Section of Volatility and Expected Returns", The Journal of Finance, 61(1), pp. 259-299
  3. 論文:Craig G. Beard and Richard W. Sias, 1997, "Is There a Neglected-Firm Effect?", Financial Analysts Journal, 53(5), pp. 19-23
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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