ハードフォーク実施を目前にしたビットコインキャッシュに問題発生
2018年11月15日に機能のアップデートを目的としたハードフォークを実施予定のビットコインキャッシュに分裂の危機が訪れています。原因は2つのソフトウェアの対立です。ビットコインキャッシュもビットコインと同様に、中央集権型の意思決定機関はありません。アップデートに関しても、複数のクライアントが提案を行うことが可能であり、最終的にどのソフトウェアを採用するかはマイナーに委ねられてきました。そのためクライアント開発者には良い意味で競争が生まれ、それがコインの技術向上にも貢献してきました。
現在、ビットコインキャッシュの中で一番のシェア(ノードの約60%)を持つソフトウェアが「ビットコインABC」で、同社が今回のハードフォークに向けてリリースした「Bitcoin ABC 0.18.0」が今回の争いの発端となりました。
コミュニティ内の対立は深刻化
「ビットコインABC」が今回発表した仕様は、ビットコインキャッシュのネットワークを新しい方向へと進めようとするものでいわば革新的なものです。しかし、〝私がサトシ・ナカモトである〟と自ら発言したことで一躍注目の人となったクレイグ・ライト氏が率いるnChain社側がこれに反発。「ビットコインABC」側が行おうとしているのは本来のビットコインの思想から離れてしまうものだと反対を表明したのです。
いわば「革新」VS「原点回帰」という、「仕様」自体の方向性の違いという根深い問題が横たわり、両者の溝は深まるばかりで解決の糸口は見えない状態が続いています。
新たな仮想通貨の誕生の可能性も
ビットコインキャッシュのその他のコミュニティ、例えばシェア2位の「ビットコイン・アンリミテッド」などは中立的な立場を崩さず、マイナーの投票による多数決での解決を図ろうと呼び掛けていますが、どちらのアップデートにも参加しない第三の勢力の存在もあり、事態が収束する気配はありません。ライト氏側は、「Bitcion SV (Satoshi Vision)」というソフトウェアの開発及びリリースを実行したため、11月のハードフォークに際してビットコインキャッシュが分裂し、「Bitcion SV」という新たな仮想通貨がビットコインキャッシュから分岐する形で誕生する可能性が生まれています。
ビットコインキャッシュは時価総額第4位の仮想通貨です。11月のハードフォークがもしコイン分裂となった場合にもたらす市場への影響は小さくはないと思われ、この対立の行方に注目が集まっています。