ぼくら人間は、新しいものが大好きです。「新発売!」とか「新発表!」などと言われたら、思わず耳を傾けてしまいますよね。そんな新しいもの好きなあなたへ。

もし、あなたが新しいもの好きの投資家なら、一度は「IPO株」という言葉を耳にしたことがあるのでは?「IPO」はInitial Public Offeringの略で、日本語に訳すと「新規公開株」という意味です。つまり、新しく上場した企業の株式を指します。IPO株は、ぼくら個人投資家の間でも人気が高く、多くの方が注目しています。
 
そこで今回は、数々の論文で得られた知識を組み合わせて「科学的に正しいIPO株の買い方」を考えてみます。IPOをやったことがない方にも理解できるよう、わかりやすく解説していきます。楽しみながら読んでいただけたら、嬉しく思います。
IPO株

数々の論文で得られた知識を組み合わせた、科学的に正しいIPO株の買い方とは? 分かりやすく解説します!

 

IPO株を買う、ベストなタイミングとは? 

一般的に、IPO株を買うタイミングは2種類あります。
 
1つは、「上場前(公開価格)で買う」という方法です。この方法は、高い確率で利益を出せたことが分かっています。Loughranらの研究(1)によると、米国のIPO株は、上場前の公開株価と比べて初値が高く形成される傾向があったのだとか。
 
つまり、「上場前(公開価格)で買って、上昇直後(初値)に売ったら、高確率で儲かった」ということです。この現象は、専門用語で「アンダープライシング」と呼ばれています。上場前の株式は安めの価格で設定されがちです。だからこそ、公開価格でIPO株を買うことで、利益を出せると期待できるでしょう。
 
また、日本のIPO株については、上場の時期がパフォーマンスを左右することも確認されています。辰巳らの研究(2)によると、1月に上場したIPO株は、初値パフォーマンスが高リターンとなる傾向が見られました。よって、これからIPOを始めようと考えている方は、年初に上場する株に注目すると良さそうです。
 
ただし、上場前にIPO株を買うには抽選に申し込み、当選を得る必要があります。しかも、抽選の倍率は非常に高く、大型の上場でもない限りは、なかなか買うことができません。ですから、10回でも20回でも、諦めずに申し込む精神力がある方にこそ、オススメの手法です。
 

上場後に買う場合は、注意が必要

「抽選に申し込む気力がない……」という方は、上場後にIPO株を買うという方法もあります。ただし、この方法はタイミング選びや銘柄選びの難度が高いことから、初心者向きとは言えません。
 
IPO株を避けた方が良い理由としては、Loughranらの研究(1)が参考になります。彼らによると、IPO株は、上場直後から5年間は株価が上がりづらい傾向があるのだとか。IPO株は初値が過度に高くなる傾向があります。この現象は、専門用語で「オーバープライシング」と呼ばれています。
 
つまり、新規公開株だからといってむやみやたらに株を買うと、高い確率で損をすることになります。このような理由もあって、株式投資を始めたばかりの方は、上場後のIPO株を買うのは、避けた方がよいでしょう。
 

「それでも買いたい!」という方は……

しかし、人間は、理屈でどうこう考えられる生き物ではありません。感情の生き物です。「買っても利益にならないよ!」と言われても、どうしても買いたい株が現れることもあるでしょう。そのような場合は、どのように対処するのがよいのでしょうか?
 
どうしても上場後にIPO株を買いたい場合、考えられる方法は2つあります。1つは、「少なくとも上場して5年が経過してから、株を買う」という方法です。Loughranらの研究(1)では、IPO株が上がりづらくなったのは、あくまで上場後の5年間でした。
 
だから、5年経った後であれば、損をする可能性は低くなっているはずです。早まる気持ちを抑えて「5年後、株価が落ち着いてきたときに買おう」と決めるのは、賢い選択でしょう。
 
あるいは、上場時の初値によっては、すぐに買ってもよい場合も考えられます。辰巳らの研究(3)によると、公開価格と比べて初値が安くついた株は、(その他のIPO株と比べて)その後3年間にわたって高リターンになったことが分かっています。
 
ここまでの話をまとめると、どうしても上場後のIPO株を買いたい場合は、「上場してから5年が経つまで待つ」か、「公開価格と比べて、初値が安かった株」に注目するとよいでしょう。
 

まとめ

かくいうぼくも、新しいものが大好きです。IPO株には、夢のある会社がたくさんあります。日本の将来を背負っていく姿を想像すると、ワクワクします。
 
しかし、投資家は夢を追うだけでなく、実利も追求しなければなりません。新しいものを追いかけるのは楽しいことですが、「利益を出す」という投資家としての本来の目的を、忘れないようにしないといけませんね。
 
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【参考文献】
 
  1. 論文:Loughran, Tim, and Jay Ritter, 1995, “The New Issues Puzzle,”Journal of Finance 50, pp. 23- 51.
  2. 論文:辰巳, 桂山, 2004, “IPO初値乖離率の月効果とジャスダック市場のアノマリー分析”, 学習院大学 経済論集, 41(3), pp. 247-263
  3. 論文:辰巳, 桂山, 2005, “IPOリターン・リバーサル 初取引日前後IPOパフォーマンスのアノマリー分析”, 学習院大学 経済論集, 42(3), pp. 197-208
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