個人向け国債(変動10)の利率は2年7ヵ月ぶりの高水準
日本銀行は「緩和の持続性の強化」と銘打って、量的・質的金融緩和政策の微修正を行いました。その詳細は大々的に報じられているため割愛させていただきますが、個人向け国債をはじめとする債券にとって最も影響があるのは「金利の変動幅を2倍」にしたことです。これまでは短期金利と長期金利の変動幅は±0.1%だったものが、±0.2%程度となったわけです。変動幅を2倍にしたことで、長期金利が修正以前よりもやや上方に水準訂正を行うようになりました。結果として、個人向け国債(変動10)の2018年8月募集の利率は、0.09%へ引き上げられたのです。引き上げられたとはいえ、0.09%はあまりインパクトのない利率かもしれませんが、それでも2年7ヵ月ぶりの高水準なのです。
この記事を書いている時点では9月募集の個人向け国債(変動10)の利率は決まっていませんが、長期金利の水準から類推すると0.08%前後になると思われます。ちなみに、個人向け国債には「固定3」と「固定5」がありますが、この2つは固定金利商品、かつ長期金利との連動性は「変動10」より低いようです。当面、最低保証金利の0.05%が継続すると考えられます。
9月募集の高金利の個人向けマネックス債に注目
風向きが変わったとはいえ、個人向け国債(変動10)でもなかなか0.10%以上の利率になるには今しばらく時間がかかるようです。ただ、日本銀行は概ね0.20%まで長期金利の上昇を容認すると考えれば、利率0.10%以上の実現はそんなに遠くないかもしれません。そのような環境下、マネックス証券が2018年9月10日12時より、「個人向けマネックス債 秋祭り」の販売を開始する予定です。同債券の特徴は、利率が、観測日の気温に応じて、最低年0.10%~最高年1.00%の間で決定する気温連動型債券であることです。
気温連動債券の利率は、観測地点(東京都東京)における2018年10月4日~10月12日の9日間の夏日(最高気温摂氏25度以上)の日数に応じて下記の式で決まります「0.10%+0.10%×(観測期間中の観測地点における夏日の日数」。
たとえば、観測期間中(9日間)の全ての日が夏日だった場合、年利率は「0.10%+0.10%×9=年1.0%」になり、観測期間中の夏日が3日だった場合、年利率は「0.10%+0.10%×3=年0.40%」になります。
マネックス証券では、2017年にも「第35回個人向けマネックス債夏祭り(愛称)」と銘打って気温連動債券を発行していますが、同債券の利率は年0.70%でした。また、観測期間中の気温は「真夏日(最高気温摂氏30度)」でした。
気象庁発表データによると、過去30年間の10月4日~10月12日の夏日(最高気温25度以上)の日数の平均は2.7日でした。ちなみに、2017年は4日間夏日となりました。
同債券、償還期限は1年(2019年9月18日)、申込単位は額面1万円、申込期間は2018年9月10日(月)12時~2018年9月14日(金)14時までで先着順で。の受付となります。年利率は2018年10月19日17時時点の気象庁公表データを元に決定されることになります。
最低でも年利率0.10%となるわけですから、個人向け国債や大手銀行の定期預金よりは好利率の個人向け社債。注目してよい債券と言えるでしょう。