ビットコインのドミナンスが回復傾向
2017年の初め、ビットコインのドミナンス(仮想通貨市場全体の時価総額に占めるビットコインの時価総額の割合)は約80%と圧倒的でしたが、2018年の1月には36%となり、仮想通貨における「基軸通貨」(取引において基準とされる通貨のこと)がイーサリアムやビットコインキャッシュに変わっていくのではないかという声が現実味を帯びる状況にまで減少しました。このビットコインのドミナンス減少には、仮想通貨市場自体の冷え込みやネガティブなニュースの連続、ビットコインの持つ問題点(スケーラビリティや送金などトランザクションにおける処理遅延など)など、要因は様々に考えられますが、その後ビットコインのアップデートによりライトニング・ネットワークという課題解決のための技術実装へ道筋ができたことなどから、じわじわとドミナンスは回復を見せ、2018年8月現在では48%まで回復しています。
ハッシュレートでもビットコインは上昇中
ハッシュレートを見てみると、今年初めには16エクサハッシュ毎秒(1秒間に1600京の計算回数)だったところ、7月初めには40エクサハッシュ毎秒(1秒間に4000京の計算回数)と2.5倍以上になっており、上昇が継続しています。※ハッシュレート(Hash Rate)とは仮想通貨のマイニング(新規発行や取引承認に必要となる計算作業)での計算力のパワー・計算速度のことで、ビットコインのアルゴリズム「プルーフオブワーク(Proof of Work)」で利用されるハッシュ計算を一秒間に何回繰り返すことができるかの指標です。
ネットワークのハッシュレートの増大は、それだけマイニング参加者が多いということであり、ビットコインのハッシュレートの上昇は、ビットコインのネットワークが依然として価値のあるものであることを示しています。
マイニングコストとビットコイン価格
しかし、ハッシュレートが高くなると、マイニングにかかるコストも上昇します。いくつかの情報によると、現在の世界の平均的マイニングコストは7,000ドル(約780,000円)といわれ、現在のビットコイン価格とほぼ同額にまで上がっているのではないかと推測されています。昨年まではビットコイン価格の高騰により、マイニングコストは利益を生み出す投資でしたが、現在は利益という面では難しい状態にあります。利益が上がらない状態では設備投資もおさえられ、ハッシュレートもゆるやかな上昇となることが予想されますが、マイニングコストが市場価格に近くなっているのではないかというのは重要な点です。
今後もコストと価格のもみ合いは続くと予想されますが、各国のメーカーのマイニング用の半導体開発と、それがもたらすマイニング技術の革新は、次のビットコイン価格上昇への呼び水となる可能性があります。