車種によって性能が異なる「自動ブレーキ」
今や新車を買う人の8割程度が自動ブレーキ付きを選んでいる。一方、自動ブレーキといっても性能を見ると車種によって違う。停止している車両にノーブレーキで接近した試験(以下【1】と略)を行うと、25km/hでも止まれない車種あれば50km/hから余裕で止まれる車種もある。以下、売れ筋の軽自動車5車種で紹介してみたい。購入時の参考にしてほしい。
日本車の標準レベルを装備 ホンダ『N-BOX』
まず、最も売れているホンダ N-BOX。このクルマに組み合わされているボッシュ社の自動ブレーキは、高額な乗用車を含めた日本車の標準的なレベルに届いているといってよい。ホンダ『N-BOX』
前述の【1】パターンだと、標準的な舗装の乾燥路面なら50km/hでも追突しないで自動停止できる性能を持つ。また、歩行者に対する回避性能も十分納得できるレベル。
ちなみに【1】の試験も歩行者に対する自動ブレーキの試験も、JNCAPという国交省の外郭団体で結果を公開している。
歩行者に対する自動ブレーキは車両の陰から歩いて出てくるケース(以下【2】と略)を考慮したもので、N-BOXは35km/hで走行中、大人のダミーを検知して自動ブレーキを掛けるから心強い。動画を参照して頂ければ解りやすい。
■N-BOXの被害軽減ブレーキ試験 CCRs50km/h(出典:独立行政法人自動車事故対策機構)
■N-BOXの被害軽減ブレーキ試験 CPNO50km/h(出典:独立行政法人自動車事故対策機構)
軽自動車で最も優れた自動ブレーキを持つ、日産『デイズ』と三菱自動車『eKワゴン』
軽自動車で最も優れた自動ブレーキを持つのが、2番目に売れている日産 デイズと三菱自動車 eKワゴン(事実上同じクルマ)。日産『デイズ』
モービルアイという企業の高性能カメラを使うシステムで、JNCAPではまだ試験を行っていないけれど、同じシステムを使った車種でいえば、【1】の実験をした場合、50km/hを出していても、また【2】の実験では40km/h以上を出していても対応できている。
赤外線とカメラで検知 スズキ『スペーシア』
軽自動車で3番目に売れているスズキ スペーシアはどうか?コンチネンタル社の赤外線とカメラを組み合わせたシステムを採用しており、【1】が45km/h、【2】で25km/hという少し劣る性能だ。興味深いことに、同じシステムを使うワゴンRは【1】50km/hの【2】30km/hという結果。このあたりはボディ重量なども関係してくるのだろう。
スズキ『スペーシア』
ステレオカメラを装備 ダイハツ『ムーヴ』
4番目に売れているダイハツ ムーヴは、ダイハツにとって第3世代となるデンソー社のステレオカメラを使ったシステムを採用している。残念ながら新世代軽自動車の自動ブレーキ性能として評価すると最も厳しい。【1】は50km/hだと思い切り追突してしまい、停止可能なのは40km/hまで。【2】も25km/hの試験を見る限り紙一重で停止している。
■ムーヴの被害軽減ブレーキ試験 CCRs50km/h(出典:独立行政法人自動車事故対策機構)
旧世代と新世代では性能が違う自動ブレーキ
参考までに書いておくと、【1】の50km/hと40km/hも【2】の25km/hと40km/hも実際の交通環境だと決定的な性能差だと考えていいだろう。加えて上で紹介したのは各社の最新世代。少し付け加えると、日産/三菱自動車は歩行者事故の70%を占めるという夜間の歩行者も検知できる性能を持つというから心強い(ガイドの取材による)。さらに問題になるのは、未だに販売されている旧世代の自動ブレーキだ。売れ行きベスト10に入っているスズキ アルトはJNCAPに試験によると、【1】は25km/hまででしか停止できない上、30km/h以上を出すとシステムは休止してしまう。対歩行者に対してはさらに厳しく、認識する性能すら持っておらず。ほとんど気休めのような自動ブレーキなのだった。
中古車として流通している軽自動車の自動ブレーキは、大半が30km/h以上になると稼働しなくなる旧世代(自動ブレーキが付いていないのと同じ)。事故に遭遇してから「自動ブレーキが効かなかった」ということにならないよう、新車だけでなく中古車を選ぶときも自動ブレーキの性能差について十分注意して頂きたいと思う。