相続・相続税

リバースモーゲージの仕組みとは?老後資金対策になる?

リバースモーゲージとは、自宅不動産を担保にして借入を受けて、契約終了後、つまり死亡時などに、担保とした自宅不動産を売却するなどの方法により借入残高を返済するという制度です。最近では、人生100年時代と言われていることもあり、老後の資金対策として注目されているようです。今回は、その仕組みについて解説したいと思います。

坂口 猛

執筆者:坂口 猛

初心者のための相続税・税金ガイド

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リバースモーゲージとは?

リバースモーゲージとは、自宅不動産を担保にして借入を受けて、契約終了後、つまり死亡時などに、担保とした自宅不動産を売却するなどの方法により借入残高を返済するという制度です。最近では、人生100年時代と言われていることもあり、老後の資金対策として注目されているようです。今回は、その仕組みについて解説したいと思います。
リバースモーゲージ

リバースモーゲージの仕組みとは?

 

自宅を担保にして老後のお金を借りるということ

要するに、自宅を担保にお金を借りるということになります。不動産を担保にお金を借りる仕組みとしては、昔から、不動産担保ローンがありますが、その主な違いは、リバースモーゲージでは、月々の元金返済は不要であるという点です。原則として利息のみ毎月支払うケースが多いのです。

なお、取扱金融機関等によっては、月々の利息の支払いを要せず、借入金に加算する方法もありますが、利息の複利効果で返済すべき金額が増えてしまうため、注意が必要です。
 

リバースモーゲージは、どんな人に向いているのか?

イメージとしては、財産的価値のある自宅不動産(例:評価額2,000万円) を将来の売却を約束して、今、お金に替えている(借入している(例:1,000万円))ことになります。

そして、借入金(例:1,000万円)に対する利息を毎月支払う(例:年利率3%だと月2万5千円)、ことになります。

リバースモーゲージを利用するのに向いている人は、以下のような人といえそうです。

①相続人になるであろう人がいないため、将来相続財産を遺す必要がない場合
②相続人になる人はいるが、将来相続財産を遺さないことに全ての人が同意している場合
③事情により資金が必要であるが、自宅不動産に住み続けたい場合

 

リバースモーゲージのデメリットは?

リバースモーゲージのデメリットとしては、担保価値の下落金利の上昇などによる、融資限度額超過があげられます。

契約によっては、融資限度額を超過してしまった場合、その超過した分をすぐに、あるいは数か月以内に返済しなければならないケースもあります。また、リバースモーゲージは比較的条件が厳しいため、利用できる人は限られているようです。
 

税金等は?

契約時には、印紙税や登記費用等(根抵当権設定登記など)が発生しますが、重要なポイントとしては、不動産を売却したときに発生する譲渡所得です。契約内容にもよりますが、多くの場合、契約者が亡くなった後に、相続人が、担保不動産を売却するか、現預金などを用いて返済するか、が必要になるのです。

担保不動産を譲渡(売却)する場合、「被相続人の居住用財産の譲渡所得・3000万円の特別控除」の要件に該当するかということや、被相続人の取得価格を引き継ぐため、取得価格等の明細の有無等により、思わぬ納税が発生する可能性もあるため、注意が必要です。
 

相続税への影響は?

相続税においては、資産である当該不動産と負債である借入金を相続したものとして対応することになります。
 

将来の価値が増加しているか?

そもそも、リバースモーゲージは、借入金であり、借り入れた元金の返済を将来(原則として亡くなった後)に一括して行う、という仕組みですので、第一としては、利率が低い方が良いことになります。

また、将来の自宅不動産の売却を前提とした借入金である点から、現在の価値よりも将来の価値の方が増加している可能性が高い場合には有利になるケースも多いでしょう。逆に、将来の価値の方が減少する可能性が高い場合には現時点で売却した方が有利になるかもしれません。※物件の価値以外の要素(税制や手数料など)は考慮対象外とします
 

住宅ローンが残っている人の場合はどうする?

住宅ローンとの違いは、月々の元金返済が不要になる点です。住宅ローンの返済に困っており、そのままだと、強制執行等の恐れがある場合には、状況にもよりますが、住宅ローンの借り替えとして活用するメリットがあるかもしれません。

しかし、そのようなケースにおいても、まず住宅ローンの借入先金融機関との返済方法の変更の相談を行うことを優先すべきです。一般的には、住宅ローンの方が金利が低いケースが多いためです。
 

代物弁済契約には注意を!

金融機関によっては、担保とした不動産をそのまま代物弁済にあてる契約内容としているケースもあります。代物弁済になると、代物返済時の借入金の残高と担保とした不動産の評価額に差額が生じることがあります。(多くのリバースモーゲージでは、融資限度額を50%~80%程度としているため差が生じやすくなります)

この差額を別途精算されるかどうかにより、損得や納税の有無にも影響が出てしまうため、契約内容の精査が非常に大切となります。なお、代物弁済をした場合にも、原則的には譲渡所得の対象となります。(非課税の例外あり)


リバースモーゲージは、金融機関等によって、メリット・デメリットが異なりますので、それぞれの特徴を理解した上で、自分に合った金融機関等を選択するようにしてください。また、リバースモーゲージによる借り入れにより、現預金が増えて、豊かになったように感じる場合もありますが、あくまでも、借入金であるため、無駄遣いにならないよう、留意することが大切です。
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