歯科インプラント

高齢者のインプラント手術……リスクと効果の考え方

【日本口腔インプラント学会専門医が解説】インプラント手術は外科処置が伴い、治療期間も必要ですので、高齢者の方はリスクなどを考えて躊躇されるかもしれません。しかし従来より負担を抑えたインプラント手術も受けられるようになってきています。インプラント手術をお考えの方は参考になさってください。

梅田 和徳

執筆者:梅田 和徳

歯科医 / 歯科インプラントガイド

インプラント手術は何歳まで受けられるのか

インプラントで噛む喜びを

インプラントで噛む喜びを取り戻す事は、心と身体の健康にも繋がります。

高齢者の方でインプラントを希望される方が増えています。健康寿命を延ばす上でも重要な食生活。若い頃は思いもしないかもしれませんが、年齢を重ねるうちに、家族と同じものを美味しく食べることの大切さを思われる方は少なくありません。

「しっかりお肉を咬みきりたい」「大好きなアワビを食べたい……」。そんな具体的な目標を持って歯科治療を頑張られている方は、本当にたくさんいらっしゃいます。
 

しかし高齢になればなるほど、様々なリスクを抱えるようになることもまた事実です。若い方と同じような高いゴールを目指すことが本当に正しいのでしょうか。大掛かりな骨造成を行って100点満点を目指すことももちろん大切ですが、リスクを最小限に最大の効果を出して95点で良い場合もあると思います。

本来は患者様と担当医の目標のズレがあってはならないのですが、時々そういったことで悩んでいらっしゃる患者様とお会いすることがあります。患者様と担当医での事前の話し合いがしっかりできていなければなりませんね。
 

高齢者にも適した従来よりも小さいサイズのインプラントも

6.5㎜X直径5.0㎜のショートインプラント。

6.5㎜X直径5.0㎜のショートインプラント。(写真左)

インプラントも進化し短いものや細いものがどんどん開発されています。以前にもご紹介した直径3.0mmの極細インプラントよりもさらに細い極細インプラントの情報が入ったと思えば、長さ6.0mmどころか4.0mmのインプラントも使用されるようになってきました。

インプラントが小さいと埋入するためのスペースが少なくて済むので、骨吸収の進行した高齢者の患者様も大掛かりな骨造成をしなくても埋入することができます。また、長さ4mmでも従来の長さのものと比べても結果に何ら変わりがないというデータも出ています。もちろんすべての方に適応可能なわけではなく、ケースを選んでの使用になりますが、肉体的にも費用的にも格段に負担は少なくなるでしょう。
 

これらのインプラントは最初からマシンサーフェス(機械研磨面)がしっかり付与されているタイプで、インプラントと骨の結合を促進し、歯肉とインプラント体が結合しやすいという特長があります。そのため、初期固定値が高ければインプラント埋入後すぐに仮歯を装着することも可能です。
 

これは骨幅が狭く、骨の高さもあまりない日本人にはよいのではないでしょうか。特に、骨造成などの必要がなくなり術式がシンプルになるという点では、高齢者の義歯から固定式インプラントへの移行に使用するには最適でしょう。また何が何でも固定式ではなく現在の義歯の内部のストッパー代わりにも有効なので、入れ歯タイプのオーバーデンチャーインプラントにも良いかと思います。
 

インプラントの技術はどんどん進化しています。もう高齢だからと年齢を理由に躊躇している方も、まずは歯科医師に相談されてみてはいかがでしょうか。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※当サイトにおける医師・医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする方は、適切な医療機関での受診をおすすめいたします。記事内容は執筆者個人の見解によるものであり、全ての方への有効性を保証するものではありません。当サイトで提供する情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、各ガイド、その他当社と契約した情報提供者は一切の責任を負いかねます。
免責事項

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます