インプラント手術は何歳まで受けられるのか
高齢者の方でインプラントを希望される方が増えています。健康寿命を延ばす上でも重要な食生活。若い頃は思いもしないかもしれませんが、年齢を重ねるうちに、家族と同じものを美味しく食べることの大切さを思われる方は少なくありません。「しっかりお肉を咬みきりたい」「大好きなアワビを食べたい……」。そんな具体的な目標を持って歯科治療を頑張られている方は、本当にたくさんいらっしゃいます。
しかし高齢になればなるほど、様々なリスクを抱えるようになることもまた事実です。若い方と同じような高いゴールを目指すことが本当に正しいのでしょうか。大掛かりな骨造成を行って100点満点を目指すことももちろん大切ですが、リスクを最小限に最大の効果を出して95点で良い場合もあると思います。
本来は患者様と担当医の目標のズレがあってはならないのですが、時々そういったことで悩んでいらっしゃる患者様とお会いすることがあります。患者様と担当医での事前の話し合いがしっかりできていなければなりませんね。
高齢者にも適した従来よりも小さいサイズのインプラントも
インプラントも進化し短いものや細いものがどんどん開発されています。以前にもご紹介した直径3.0mmの極細インプラントよりもさらに細い極細インプラントの情報が入ったと思えば、長さ6.0mmどころか4.0mmのインプラントも使用されるようになってきました。インプラントが小さいと埋入するためのスペースが少なくて済むので、骨吸収の進行した高齢者の患者様も大掛かりな骨造成をしなくても埋入することができます。また、長さ4mmでも従来の長さのものと比べても結果に何ら変わりがないというデータも出ています。もちろんすべての方に適応可能なわけではなく、ケースを選んでの使用になりますが、肉体的にも費用的にも格段に負担は少なくなるでしょう。
これらのインプラントは最初からマシンサーフェス(機械研磨面)がしっかり付与されているタイプで、インプラントと骨の結合を促進し、歯肉とインプラント体が結合しやすいという特長があります。そのため、初期固定値が高ければインプラント埋入後すぐに仮歯を装着することも可能です。
これは骨幅が狭く、骨の高さもあまりない日本人にはよいのではないでしょうか。特に、骨造成などの必要がなくなり術式がシンプルになるという点では、高齢者の義歯から固定式インプラントへの移行に使用するには最適でしょう。また何が何でも固定式ではなく現在の義歯の内部のストッパー代わりにも有効なので、入れ歯タイプのオーバーデンチャーインプラントにも良いかと思います。
インプラントの技術はどんどん進化しています。もう高齢だからと年齢を理由に躊躇している方も、まずは歯科医師に相談されてみてはいかがでしょうか。