賛否両論あるモンキー125
1961年、東京都日野市にホンダが運営するテーマパークとしてオープンした「多摩テック」。そのテーマパークの乗り物として開発されたモンキーは、1967年に公道を走る事ができるモデルとして設計が見直され発売されました。70kg前後の超小型軽量ボディや小径ホイールを採用している事などから公道を長時間走るのには適していませんでしたが、シンプルな車体の構造などからカスタムするユーザーも多く、原付免許を取得したばかりの高校生から大人まで夢中になりました。
しかし、厳しくなる排気ガスの規制や50ccクラスの人気の低迷などを受け、モンキーのカタログ落ちが決定。2017年7月21日から最終モデルとなる「モンキー50周年スペシャル」の商談受付を開始。500台の限定生産で43万2000円(税込み)という強気の価格設定ながら、申し込みが殺到し最終的に抽選となりました。
惜しまれつつもカタログ落ちしてしまったモンキーですが、ホンダは2017年3月24日から3日間開催された東京モーターサイクルショー2017でモンキー125のコンセプトモデルを発表。そしてついに2018年7月12日にモンキー125の販売を開始したのです。
モンキー125は原付二種クラスですが、一人乗りです!
モンキー125は排気量的には原付二種クラスになるので二人乗り可能なのですが、二人乗りに必要な物が装着されていません。
シートはひとり乗りにしては大きいので詰めれば二人座れそうですが構造的にタンデムステップをつけるのは難しそう。今後アフターパーツメーカーがモンキー125用二人乗りキットを販売してくれるかもしれませんが、ユーザーが簡単な改造をして二人乗りにするのは難しそうです。
モンキー125の装備や価格をチェック
デザインはモンキーを踏襲しているものの、豪華装備を纏っています。まずブレーキは前後ともディスクブレーキを装備。フロントは2ポッドキャリパーを採用しています。ブレーキのロックを緩和するABSは有り無しを選択可能。販売価格はABS無しは39万9600円(税込み)。ABSありは43万2000円。差額は3万2400円と決して小さくはありませんが、安全の為にもABSを選択しておきたいところ。
最終型のモンキーが43万2000円(税込み)だったことを考えるとABS付のモンキー125が同額ですのでお値打ち価格のような気もしますが、ホンダの125ccスクーターPCXが34万2360円(税込み)。同じくホンダの4速マニュアルギア付バイクであるグロムが35万1000円であることを考えると、割高な印象も受けます。なおこの3台は全てタイ生産のバイクです。
ヘッドライトは丸型ヘッドライトの周りをポジションランプが囲んだLEDタイプを採用。オーセンティックなデザインの中にも最新の装備を盛り込んでいます。灯火類はテールランプやウインカーなどもLEDです。
メーターはシンプルな機能を備えたデジタルメーターが採用されています。大きく時速が表示されるメーターは視認性にも優れていますが、最近のバイクにしてはシフトポジションや平均燃費、回転数、時計なども表示されないシンプルなもの。日常使いがメインになる125ccなので、時計ぐらいは表示できても良かったのではと思います。
モンキー125のタイヤサイズは前後共に原付二種クラスでは一般的な12インチを採用していますが、タイヤパターンはモンキーでも採用されたオフロードバイクなどに装備されるブロックタイプです。
ブロックタイヤの選択肢はありませんが、ロードタイプのパターンならいくつか選択肢があるので、タイヤ交換の際にはロードタイプに換装しちゃうのもありかもしれません。
モンキー125の燃費や足つき、収納性は?
モンキー125のシートはボルトで固定されているので、シート下を収納スペースとして使うわけにはいきません。しかし左足側のサイドカバーは鍵で開閉が可能な収納スペースになっています。ただあまり広いスペースではないので自賠責保険などの証書の書類入れとして使うと良いでしょう。
モンキー125のシート高は775mmと高くはありませんが、実際に跨ってみると足つき性が良好とは言えませんでした。原因としては足を降ろす際に車体に跨って左側はサイドカバー、右側はマフラーカバーが足に当たるので、若干足を外側に降ろす形になってしまうのです。
ただ身長165センチの筆者でも両足のつま先は設置しますし、片足はべた足。加えて車重も107kg(ABS付の場合)と軽量なので不安はありません。なおシートはフカフカなので座ると若干沈み込みます。
燃費に関しては一週間の試乗で200km程度走行してみたところ、なんとカタログ値よりも優れた79.29kmでした。燃料タンク容量は5.6L。モンキー125の連続航行距離は計算上は444kmという事になります。200km走行した時点で燃料系のメモリが6段階中3になっていたの79.29kmという数字は間違ってはいないようです。
モンキー125の最高速は100km/hを超えるが、トコトコ走るのがベター
モンキー125の空冷4ストロークOHC単気筒エンジンは既に販売されているグロムのエンジンがベースになっています。変速比や減速比などは全く一緒なのですが、グロムの9.8PS/7000rpmより若干低い9.4PS/7000rpmとなっています。ガソリンを噴射するインジェクションを含むコンピューターのセッティングやマフラーやエアクリーナーなどの吸排気などが異なる事で数値が異なっているのでしょう。
実際に走り出してみると、アクセルのあけ初めから勢い良くエンジンが回り加速していくグロムに比べて、モンキー125の方がゆったりと加速していく印象です。ただし低いギアで高回転まで回せば力強く加速する事も可能で最高時速は100km/h以上に到達します。
ですが前後のサスペンションはストローク量が大きく柔らかいので、ゴリゴリのスポーツライディングには不向き。またブロックタイヤなのでコーナリング時のタイヤの設置面積が少なく、ややフワフワした感触です。オンロードでの走行性能を重視するならタイヤ交換のタイミングでロードタイヤに変えちゃうのもありかもしれません。
ABS付のモンキー125はフロントブレーキのみABSが採用されておりリアブレーキは無し。がっつりリアブレーキをかければ後輪はロックします。車重が軽いのでブレーキは良く効きます。エンジンブレーキの効きも良いので制動能力には全く不安がありません。
モンキー125は最高のお散歩バイクだ!
モンキーは走りを楽しむというよりはカスタムを楽しむ用途が強い印象でした。しかしモンキー125は街中をまったり流すには最高の一台です。前後の足回りのセッティングやエンジンのセッティングが乗り心地重視でスポーティーに走るのには向いていませんが、まったり景色を楽しみながら走ったり街中であちこち立ち寄りながら走るのに適しています。
ひとり乗り仕様なのでタンデムはすることが出来ませんが、リアキャリアとリアボックスを装着して下道ツーリングに出かけたくなる一台です。
そのままでも充分魅力的なモンキー125ですが、カスタムしたら走りが激変しそうな感じもします。リアサスペンションを変更してタイヤをロードタイヤにし、インジェクションコントローラーで燃調を少し濃くしたら走りが変わりそう。
モンキー同様に車体を見ているだけでも色々カスタムしたい気持ちになりますが、そのままでも街中をゆったり楽しめるので魅力が増したようにも感じました。確かに車体を前にするとモンキーに比べて2まわりぐらい大きい感じがするので「こんなのモンキーじゃない」という人の気持ちもわかりますが、個人的には街中を走るなら最高の相棒になる一台だと感じました。