キューバ

キューバの治安2018 旅の注意点や治安の悪いエリア

カリブ海の島国キューバは、音楽、スポーツ、葉巻などが有名ですが、現地の街中の様子などはあまり知られてなく、旅行するのを躊躇している方もいらっしゃるようです。そこで、「日本人が観光で訪れるにあたり安全面で問題はない?」「女性の一人旅は大丈夫?」「ほかの国々と違った注意点は?」といった疑問を、少しでも解消できるような情報をまとめてみました。

松尾 よしたか

執筆者:松尾 よしたか

キューバガイド

キューバは安全?それとも危険?

オビスポ通り

ハバナ旧市街のオビスポ(Obispo)通り(Googleマップ)。ここは昼夜にわたり観光客も地元の人も多く行き交い、危険を感じはないのですが、脇の路地に入ると途端に人通りが少ないことがあり、注意が必要です。

キューバは治安がいいのか悪いのか。これはよく質問されることなのですが、ひとことでは答えられません。

治安のよさは中南米ではトップクラスと言われ、確かに旅行者が命に関わるような凶悪犯罪の被害に遭うことはきわめて稀ですが、その一方で所持品の盗難は非常に多く発生しています。
つまり、治安がよい面と悪い面があるのです。

なぜ旅行者が狙われるのか?

キューバの治安について具体的な話に入る前に、なぜ旅行者が犯罪のターゲットになるのか、ということを考えてみましょう。

まず頭に入れておかないといけないのは、キューバは現在も社会主義国家で、経済が長期にわたり低迷しているということ。教育や医療などが無料で、食料品や日用品の配給制度もある一方で、国民の平均月収は2000円程度だと言われています。そんな人たちから見ると、遠い国から自費でキューバへ旅行し、しかもスマートフォンやカメラを持っている観光客は、全員億万長者なのです。

このような背景から、「観光客から所持品を奪えば、間違いなく大きな収穫がある」と、犯罪者たちは認識しています。

スリと置き引きに用心を!

これはキューバに限った話ではありませんが、旅行における基本中の基本として、スリや置き引きには十分な注意が必要です。「バッグを地面に置いて手を離したら、瞬時に誰かが走ってきて奪われる」というのも決してオーバーな表現ではありません。背中や肩に掛けるバッグはしっかりと口を閉めていないと、混雑した場所ですぐに中の物を抜き取られます。

また、旅行者はあまり利用しないでしょうが、ハバナ市内の混雑した路線バスは、スリが相当多いそうです。
ハバナ中央駅

ハバナ旧市街のはずれにある鉄道のバナナ中央駅(Googleマップ)。このように地元の人がたくさん滞留している所は、スリや置き引きが多いので、所持品には特に注意が必要です。
 

強盗事件もある!

キューバでは近年、住宅、自動車、携帯電話の個人による購入が解禁されるなど、経済自由化の方向へと動きはじめました。このことがお金や物に対する欲求を高め、「盗む」という犯罪行為につながります。

具体的な統計は発表されていないのですが、観光客の犯罪被害は増加傾向にあるとともに、強盗の事例も聞かれるようになっています。置き引きやスリだけでなく、暴力を用いて無理やり所持品を強奪するケースが増えてきたのです。

2018年になってから日本人が被害に遭った犯罪の事例が、外務省の海外安全ホームページに掲載されています。注意点を含め詳しく紹介されているので、これは必読です。

犯罪が多いエリアはどこ?

キューバにおいて治安のいいエリアと悪いエリアは、あまり明確に区分できませんが、基本的に観光地スポットから離れ、地元の人しか行かないエリアは避けるのが無難です。

これは言いかえると、観光客向けのホテルに泊まって観光スポットを回っていれば、それほど危険なことはない、ということになります。
ちなみに、キューバにとって観光産業は大切な外貨獲得手段で、国家として観光客の安全対策にも力を入れています。観光地で警官をよく見かけますが、それは犯罪を防ぐためです。

つまり、警官は観光客の強い味方というわけで、筆者も何度か話したことがありますが、フレンドリーな人が多いです。
ハバナの警官

ハバナ市内で見かけた、オートバイ(日本と違って白くありません)に乗った警官。交通違反の取締りだけでなく、観光客の所持品を奪って逃げる犯人を追いかけてくれることもあります。

問題は、カサ・パルティクラル(Casa Particular)と呼ばれている個人経営のいわゆる民宿を利用する場合。住宅を宿泊施設としているので、当然観光スポットから離れた住宅地の中にあるケースが多くなります。この場合、最初は人通りが多く明るい昼間のうちに行って宿泊の手続きをし、家主さんに近隣でどのあたりが危ないかなど、安全上の注意点をしっかり聞いておきましょう。

時間帯や時期による注意点は?

当然ながら犯罪は夜間の方が多く、店や街灯がなく暗い場所、人通りが少ない場所へ単独で行くのは避けるべきです。ただし、普通に観光する分には、これに該当する所へ行くことはほとんどないので、それほど神経質になる必要もないでしょう。
ハバナの住宅地

地元の人しか来ない住宅地は、昼間から危険ということはまずありませんが、夜間は街灯が少なく真っ暗になるケースが多いので、無闇に行かないのが無難です。写真はハバナ市内、ベダード(Vedado)地区の一角、比較的安全と言われている住宅地です。

夜のカテドラル広場

夜9時近くのハバナ旧市街、カテドラル広場(Googleマップ)。日没からかなりたっていますが、人通りが多く安全な印象です。しかし、暗い脇道には入ることはお勧めできません。

ここで、地元の人から聞いた話を紹介します。キューバで観光客の所持品を盗む犯罪者は、遊ぶためのお金が欲しい若い人が大半です。そして、クリスマス、地域のカーニバルなどの時期になると、遊ぶ機会が多くなるのでお金も必要になり、犯罪が増える傾向にあるそうです。

女性の一人旅は大丈夫?

キューバへ行くと、いろいろな国から一人で来た女性の旅行者をよく見かけ、日本人もいます。普通に観光スポットを回る程度でしたら、女性の一人旅だからといって、特に危険なことはありません。

ただ、単独行動の女性に寄ってくる地元の若い男性がいるので、これには注意が必要です。いわゆる「ナンパ」で、単に交流するだけの「いい人」もいますが、中には親しくなって油断したところで所持品を奪うなど、悪いことを企んでいる人もいます。南国の旅の開放感で気分が盛り上がることもありますが、常に冷静に行動しましょう。

キューバのテロ事情

1997年にハバナ市内のホテルで、爆弾によるテロがありましたが、それ以降キューバにおけるテロの実行例はなく、計画段階での摘発が何件かあっただけです。ちなみに、これらのテロはキューバの反体制派によるもので、当局が厳しく監視しているため、活動がかなり制約されていると言われています。

また、アメリカへの亡命を企てたキューバ人による、航空機や船舶の乗っ取り事件が2003年にありましたが、それ以後同様の事例は報道されていません。キューバにおけるテロと誘拐についても、外務省の海外安全ホームページで解説されています。

改めてまとめると、「キューバの観光では常識的に行動していれば基本的に安全ですが、いつでも油断は禁物」ということになるでしょうか。
是非、適度な緊張感を保ちながら、楽しい旅をしてきて頂ければと思います。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※海外を訪れる際には最新情報の入手に努め、「外務省 海外安全ホームページ」を確認するなど、安全確保に十分注意を払ってください。

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