「乗用車」「人と荷物を載せる」という意味での「ワゴン」
「ワゴン」という自動車用語は、いろいろな意味で使われます。乗り物においては「四輪の荷馬車」(大辞林 第三版より)という意味で使われ、元々は「四輪車」「荷馬車」を指す言葉でした。自動車用語での「ワゴン」は、まず「乗用」を意味します。荷物をメインで載せる商用車や貨物車の「バン」に対して、人をメインで乗せるモデルのことを「ワゴン」と呼び分けます。車種によっては「ワゴン」と「バン」が存在することもあるので、貨物用と乗用車を区別するための使い方です。
- バン:商用車、業務用車、貨物を運ぶことを目的とするクルマ
- ワゴン:乗用車、人と荷物の両方を運ぶことを目的とするクルマ
貨物用のバンではなく、セダンやクーペのように「明らかに人を運ぶだけが目的」でもないクルマ、すなわち人も荷物も載せられるようなクルマであれば「ワゴン車」と呼ぶことが多いのです。
- ハイエースのようなワンボックスカー
- セレナのようなミニバン
- レガシイワゴンのようなステーションワゴン
- ソリオやタントのようなトール(ハイト)ワゴン
これらは「バン(商用・貨物)ではない」という意味では、ひっくるめて「ワゴン」なのです。
ワゴン車にはどんな種類がある?
■ステーションワゴンステーションワゴンは「セダンの屋根を後方まで伸ばし、トランク部分の容積を広げたワゴン車で、セダンの派生モデルとして存在していました。フロントデザイン(顔)が同じセダンとワゴンの両方があり、車高が低めのモデルを「ステーションワゴン」と呼びます。要するに「セダンに大きな荷室スペースを付けたクルマ」のことですが、セダンモデルがなく、ステーションワゴンとして専用に設計されたモデルもあります。
BMW5シリーズのステーションワゴン。こちらもセダンモデルが存在し、ステーションワゴンの代表的なモデル。
■トールワゴン(ハイトワゴン)
ステーションワゴンはセダンがベースで、全高が1400mm前後のクルマであるのに対して、1550mm以上の全高で、背が高く室内スペースに余裕があるワゴンを「トール(ハイト)ワゴン」と呼んでいます。
ソリオのようなサイズのワゴンを「トールワゴン」と呼ぶことが多い。
■軽ワゴン
トールワゴンで、軽自動車(排気量が660cc)のタイプを「軽ワゴン」と呼びます。国産車のトールワゴンは軽ワゴンの割合が高く、どのメーカーもデザインや機能を進化させて多くの車種を展開しています。
「タント」は人気のある軽ワゴン。軽自動車は車内が狭いという従来のイメージを払拭し、小さな子どもも乗せやすいモデルになった。
「ekワゴン」も軽ワゴンでは売れ続けている一台。車名にも「軽ワゴン」が入り「軽のワゴン」というジャンルの認知度を高めたモデルでもある。
■ミニバンも「ワゴン」なの?
「ミニバン」も「乗用車」で「荷物も運べる」という点ではワゴンと呼べます。ステーションワゴンやトールワゴンが2列シートであるのに対して、3列シートのワゴンがミニバンです。
「VOXY」はミニバンの代表的なモデル。3列シートのワゴン車は「ミニバン」と呼ぶことが多いが、自動車雑誌以外のメディアでは「ワゴン車」と総称で呼ばれることもある。
「ワゴン」とは幅広いジャンルのクルマを指し、街中で見かける自動車のほとんどがワゴンなのでは?と思うほど多岐に渡ります。エンジンの排気量や車両のサイズ、デザインなど、自分のニーズに合ったワゴンを見つけてみてください。