ニンジャ250の2018年モデルの進化とは?
今最も熱い排気量のクラスといえば250ccクラス。各社特徴的な250ccバイクをリリースしています。もともと250ccクラスは車検などがないので人気の排気量ではありました。その人気に火をつけたのは10年前の2008年4月にリリースされたニンジャ250Rでした。
カワサキはニンジャ250Rの他にもモタードバイクのDトラッカーXやオフロードバイクのKLX250を連続リリース。250ccクラスの選択肢を増やし幅広いユーザーの需要にこたえました。
特に人気だったのはニンジャ250R。フルカウルを纏ったスポーティーなデザイン。セパレートハンドルを採用しながらポジションはアップライト。しかもシート高は775mmと足つき性も抜群だったことからエントリーユーザーを中心に人気が爆発しました。その後ニンジャ250Rはフルモデルチェンジして名前も“R”が抜けてニンジャ250に。
リリース当時は他のメーカーを見てもフルカウルスポーツモデルは存在せず、ニンジャ250R一強という形でしたが、今やホンダはCBR250RR、ヤマハはYZF-R25、スズキはGSX250Rと、各社ラインナップしていきています。
しかし、他メーカーのフルカウルスポーツモデルはまだ1代目。それに対してカワサキのニンジャ250は2回のフルモデルチェンジをはたしており、今回3代目となりました。
2代目も1代目と比べて熟成されており、特に扱いやすさは他メーカーと比べても優位性を感じましたが、3代目はどのように進化したのか?今回も都内の通勤で一週間試乗してインプレッションしてみました。
ニンジャ250、2018年モデルの装備をチェック
カワサキが他社から先駆けて採用していた装備としてアシストクラッチ&スリッパーがあります。この機構はクラッチ操作を軽くし、ギアダウン時にリアタイヤがロックしてしまうのを緩和するもの。
カワサキの資料によれば2017年モデルに比べて20%クラッチ操作が軽くなったそうですが、実際に使ってみると正直良くわかりません。というのも2017年モデルの時点で恐ろしくクラッチ操作は軽かったからです。ただ少しでも軽く!と進化をやめない技術者の執念を感じます。
シートは前後セパレートタイプ。リアシートは鍵で脱着可能、フロントシートはリアシート下にあるワイヤーを引っ張ると外れる仕組みです。リアシート下は余裕がありETCは余裕で納まりそう。資料によればETCと同時にU字ロックも収まるそうです。コンパクトになるレインウエアぐらいであれば押しこめそうです。
エントリーモデルとしては気になるシート高ですが、2018年モデルは795mm。2017年モデルと比べると10mm。初代と比べると20mm高くなっています。ただ165cmの筆者が跨っても片足はべったりついたので不安感は皆無でした。シート先端がスリム化されたこと、足をおろした際にステップなどが干渉しないことが足つき性を良好にしています。
二眼のヘッドライトはLED化されました。視認性はもちろんですが高級感も感じさせます。2017年モデルまでは有り無しが選択できたABSは標準装備に。ブレーキング時にタイヤがロックするのを緩和させる装置なので標準装備は歓迎したいところです。
最後に気になるお値段はどれぐらい変わったのかというと、2017年モデルのABS付赤・黒塗装モデルは62万460円(税込み)。それに対して2018年モデルの赤・黒塗装モデルは64万440円(税込み)なので差額は約2万円。
エンジンとフレームが一新されLEDのヘッドライトも採用していますので、このぐらいの差額であれば受け入れられる範囲といえるでしょう。装備が一新されたのに値上げ幅が小さくすんだのは恐らく生産国の違いです。2017年モデルのニンジャ250は国内生産でしたが、2018年モデルはタイ生産となったことが要因といえます。
ニンジャ250、2018年モデルの新型エンジンはどうだ?
ニンジャ250の2018年モデルがリリースされるにあたって注目されていたのが馬力です。2013年に発売された2代目ニンジャ250のエンジンスペックは31PS/11000rpm。2014年に発売されたヤマハのYZF-R25は36PS/12000rpm、2017年にホンダから発売されたCBR250RRは38PS/12500rpm。ライバルメーカーが最高出力を更新してきたことから、新型ニンジャ250は39PSにしてくるのではないかと言われていました。
しかしニンジャ250の2018年モデルの最高出力は37PS/12500rpm。ホンダのCBR250RRには1馬力及びませんでした。ですが、以前試乗して感じたニンジャ250の魅力は圧倒的な扱いやすさ。出力競争の結果、スポーティーになりすぎて扱いにくくなってしまうのはもったいないと思っていました。
それでは、2018年モデルのニンジャ250に試乗してエンジンのポテンシャルを確かめてみましょう。まず走り出して感じたのは低中速域でのトルクアップです。もともと2017年までのニンジャはアクセルの入力に対して車体がマイルドに反応する感じで、7000rpm以降になるとパワーバンドに入り加速が元気になる印象でした。
ところが、2018年モデルのニンジャ250は低回転域から高回転域まで元気に加速します。ですが、アクセルに対する反応はシビアではないので扱いにくさは感じません。むしろ低中速域でトルクに厚みがでた分、減速時にギアをガチャガチャと下げる必要がなく、以前に比べると一速上のギアで交差点に入っていける感じです。
2017年モデルに比べると明確にこの回転域から一気に加速が伸びるという感じではなく、低回転から高回転まで比較的よどみなく加速するので加速に谷を感じなくなりました。
ニンジャ250、2018年モデルは足回りがスポーティーに。
賛否両論になりそうだと感じたのは足回りのセッティング。2017年までのニンジャ250は前後サスペンション共に柔らかめ。スポーツ走行には少し不向きなセッティングなのかもしれませんが、私レベルなら不満は感じませんし街乗りでも乗りやすい印象でした。まさにエントリーユーザー向けのセッティング。しかし2018年モデルのニンジャは若干前後共にサスペンションのセッティングが硬くなりました。走行中に段差による突き上げが若干増えてコツコツと細かい段差の衝撃を拾うようになっています。
コーナリングもなんとなく曲がれた2017年モデルまでに比べて、しっかりと荷重移動して曲がるようなセッティングになっています。ただリアサスペンションはプリロードのセッティングができるようになっており、工場出荷時は1段階かかっているので違和感があればサスペンションのセッティングで調整することはできそうです
2018年モデルのウィークポイントはガソリンタンクの容量
2017年モデルまでは容量が17Lだったガソリンタンクは14Lに減ってしまいました。燃費は実燃費に近いWMTCモードで比べると2017年モデルは25.7km/L。それに対して2018年モデルのニンジャは26.2km/Lとなっています。馬力が上がっているのに燃費が向上しているとはさすが新型エンジンと賞賛すべきところですが、ガソリンタンクの容量減の影響で連続航行距離にして70kmほど縮まったことになります。ただ、一度給油すれば350km程度は無給油で走れることになりますから決して悪い数値ではありません。
2017年と2018年モデルのニンジャ250は同じ血筋だが魅力は異なる
ライバルが出力に優れたエンジンを搭載したバイクをリリースしてきたわけですから、当然カワサキだって黙っちゃいません。パワー感に関しては数字だけではなく、しっかり体感できるぐらいアップしてきました。ただ、個人的にはニンジャ250の魅力は圧倒的な乗りやすさにあったように思います。馬力がアップしたことで扱いにくくなったわけではありませんが、以前のようなマイルドさはありませんし、パワーアップした馬力に耐えるような足回りに進化したことでスポーティーな乗り心地になりました。今までのニンジャ250に比べると若干方向性が変わったように思います。
圧倒的な扱いやすさを求めるなら2017年モデルの方がオススメ。性能を求めるなら2018年モデルのニンジャ250がオススメです。
ニンジャ250関連リンク
ニンジャ250 2018年モデルのエンジン音、マフラー音はこちらニンジャ250 2017年以前のモデルインプレッションはこちら
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