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家計の金融資産は過去最高の1880兆円!

日本銀行が2018年3月19日に公表した2017年10~12月期の資金循環統計によれば、家計が保有する金融資産残高は12月末時点で1880兆円となりました。前年末と比較して3.9%増、金額にして70兆円も増加しました。世界同時株高がその背景のようですが、詳しく見ていくことにしましょう。

深野 康彦

執筆者:深野 康彦

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 株式と投資信託を合わせたリスク資産は320兆円

日本銀行が四半期ごとに公表している資金循環統計によると、家計が保有する2017年12月末時点の金融資産残高は、過去最高を更新して1880兆円となりました。金融資産残高が過去最高を更新するのは3四半期連続になります。2016年12月末が1810兆円ですから、1年間で70兆円も増えたことになります。
家計の金融資産は1年間で70兆円増えた。

家計の金融資産は1年間で70兆円増えた。


1年間で70兆円の増加とはいえ、実際は2017年9月末から12月末の3ヵ月の間に増加分の半分に当たる35兆円が増えたことになります。昨年の秋以降、世界同時株高となったことから、株式、投資信託がともに2桁以上の増加率が3四半期連続して続いていることがその背景と考えられます。

ちなみに、企業が保有する金融資産は1266兆円となり、こちらも過去最高を更新しています。株式が2割強増え421兆円となるなど株価の上昇が増加に一役かっています。また、現預金も257兆円あり過去2番目の保有規模となっています。企業もかなりの金融資産を保有していることがわかりますが、そこまで金融資産を抱える必要があるのか?疑問が残ります。使わないなら、株主への還元を増やしてもらいたいものです。

現預金は11年間も増え続けている

それでは家計の金融資残高の内訳を見ていくことにしましょう。

家計の金融資産残高の増加を牽引したのは、2017年7~9月期の資金循環統計と同じく株高です。家計が保有する株式(非上場株式含む)は、2017年12月末時点で211兆円になり、1年間で31兆円増えたことになります。21世紀に入ってからのピークだった2007年6月末を超え、バブル期のピーク216兆円(1989年3月末)に迫っています。

投資信託の保有残高も1年間で12兆円増加して、109兆円と過去最高を更新しています。世界同時株高、円安などを背景に投資信託の基準価額が上昇したこと、新規資金の流入が継続していることが要因です。株式と投資信託を合わせたリスク資産は320兆円となり、金融資産全体に占める割合は17%まで高まりました。ただ、昨年の株高局面で家計は保有株を1年間で4.5兆円売り越しています。「貯蓄から投資へ」という流れが加速するというより、利益を確定させて懐が温まっている状況と言えそうです。

なぜなら、家計が保有する現預金は、44四半期(11年)連続して前年同期を上回っているからです。その残高は961兆円にのぼり、1期前の2017年9月末と比較すると18兆円も増加しているのです。昨年の冬のボーナス支給額が大幅増と見聞きしないことから、現預金の増加に株式の利益確定が一役買っていると思われてなりません。

債券からの資金流出止まる

株式、投資信託、現預金、保険は増加が続いている中、唯一、資産残高を減少させていたのが債務証券、いわゆる「債券」です。しかし、2017年10~12月期の資金循環統計では、前年比0.3%ですがプラスとなりました。5四半期振りにプラスとなりましたが、金利環境が大きく変わったわけではありません。再び、マイナスになる可能性もありますが、家計が保有する債務証券の残高は24兆円。金融資産全体の1.3%に過ぎないことから、多額の資金が流出することはないと考えられます。

今回の資金循環統計では、保険の増加率が大幅に鈍化しています。2017年12月末の増加率は前年比1.0%の増加に過ぎません。資金循環統計では、「保険・年金・定型保証」というくくりで、うち保険という形で公表されているのですが、このような公表形式になって溯れるのが2015年3月末。以降では最も増加率が低くなっています。一時的の減少なのか継続して確認して行きたいところです。

保有する金融資産の内訳は人それぞれでしょうが、金融資産残高全体では2017年の1年間で3.9%増加しました。少々強引かもしれませんが、金融資産残高が3.9%増加していれば合格と言えるでしょう。
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