給与所得者の平均給与は1997年をピークに10%も減っている
最近は「失われた20年」とか「デフレ」等の言葉を聞く機会が減りましたが、働く人たちの給与水準が改善したわけではありません。給与所得者の給与水準がどのように変化してきたか、国税庁の民間給与実態統計で確認してみました。下記は1980年以降の平均給与をグラフにしたものです。給与は年間の給料と手当および賞与の合計で、平均は給与支給総額を給与所得者数で除して求めています。
2016年の平均給与は421万6千円(平均年齢46.0歳、平均勤続年数12.0年)で、前年に比べて1万2千円増えています。
37年間の平均給与の推移をみると、不動産バブル直後の1992年までは右肩上がりで、12年間で160万円も増えています。しかし、その後は伸びが止まり1997年までの5年間で12万円しか増えていません。そして、1997年をピークに平均給与が下がり始めています。2009年まで1年を除いて下がり続け、1997年の467万円から2009年の406万円へ12年間で61万円(13%)も減っています。その後はアベノミクスの成果なのかわかりませんが、少し持ち直して7年間で16万円増えています。ただ、1997年頃に比べたらまだまだ少なく、今後このまま微増していくのか、大きく増えるのか、または再び減り始めるのかとても気になるところです。
平均給与の減少幅は大阪圏が特に大きい
全国平均421万6千円の平均給与をもう少し細かく地域別に分けて確認してみました。下記は都道府県を各国税局が管轄する地域ごとに分けて平均給与額を表したものです。比較のために2000年の平均給与および変化率も載せてあります。地域別で最も平均給与が高いのは東京国税局の地域(千葉県・東京都・神奈川県・山梨県)で488万6千円となっています。全国平均より67万円も高い水準です。最も低いのは沖縄国税局の地域(沖縄県のみ)で340万8千円となっています。全国平均より81万円低く、東京国税局の地域より150万円も低い水準です。どこもそれぞれの地域の実情に見合った給与水準なのでしょうが、地域によって平均給与に意外と大きな差があるのが現状です。
また、16年前の2000年と平均給与を比べてみると、全国平均で39万円(8.5%)減っており、地域別に見ても全ての地域で減っています。中でも減少率の大きいのが大阪国税局の地域(滋賀県・京都府・大阪府・兵庫県・奈良県・和歌山県)で、11.0%も減っています。減少幅でみても大阪国税局の地域が51万円で最も減っています。逆に減少幅が最も小さいのは沖縄国税局の地域で20万円減、減少率も同様で5.5%減となっています。この2つの地域では、減少率で2倍の差、減少幅で31万円(2.5倍強)の差があります。平均給与は大阪国税局の地域の方が高いですが、デフレの影響をより大きく受けたのも大阪の方だったようです。
給与所得が増えていけば嬉しいが…