防災/防災関連情報

場所別・地震対処法!住宅街・商店街・河川付近など

日本列島は、すでに数十年前から「地震多発時代」に入っています。現在、発生の懸念されている首都直下地震、南海トラフ地震はいうまでもなく、日本に住む以上、どこにいても地震の被害をまぬがれる場所はありません。地震発生時の人的被害の大多数は、発生直後の数分で生死の分かれ目がやってきます。今回は住宅街や商店街、河川付近などで地震が発生した場合、何が起き、直後にどう対処すればいいかについてお伝えします。

和田 隆昌

執筆者:和田 隆昌

防災ガイド

木造家屋の密集地域にいた場合:
「2度目の揺れ」と「火災」に注意して避難する

熊本地震の際、住宅街のブロック塀が全壊していました

熊本地震の際、住宅街のブロック塀が全壊していました

家屋内で地震に遭った場合は、まずその場で落下物や倒壊するものから身を守る行動をするのが基本です。その後、余震が続くような場合には、安全な避難所(近所の公園など)や避難場所(学校や公民館など)に移動しておくこと。

■木造家屋は、2度目の揺れで全壊することも
特に古い木造家屋は、1度目の地震で破損した箇所が2度目の揺れで全壊につながってしまうことがあります。2016年4月の熊本地震では、震度7の強烈な揺れが2度続いたために、2度目の揺れによって人的な被害が拡大しました。余震が続くような大きな地震が発生した場合、家屋に多少なりとも破損が見られる場合は、家屋の安全が確認されるまで、自治体の指定する避難所で過ごすようにしましょう。

■地震火災は、消火活動が困難な場合もある

東京や大阪などの人口密集地域に限らず、郊外においても昔ながらの木造家屋が密集している地域は全国に見られます。このような場所では、地震とともに火災が大規模に広がる可能性が考えられます。

この「地震火災」と呼ばれる火災は、一度に同時多発的に発生するため消火活動が困難になります。狭い道路が入りくんだ場所では、消防車も入り込むことが出来ません。家屋や電信柱が倒壊した場合には、人の避難行動にも大きな妨げになります。

東京都ではこのような地域を「避難困難地域」としており、火災による死者は首都直下型地震の被災者の70%にも及ぶという試算もあります。自主消火がかなわない場合には、より短時間で安全な避難場所に移動するルートを事前に確認、試しておく必要があります。

■住宅街では、ブロック塀の倒壊にも注意
また、住宅街を歩いているときに地震に遭うと、ブロック塀の倒壊に巻きこまれる、というリスクがあります。こういったケースは、過去の地震災害で何度も起きています。古い町並みには支柱がなく、ただ積んだだけのブロック塀などが存在します。熊本地震では、このような壁が軒並み、倒壊していました。また一見倒れそうもない自動販売機なども倒れる可能性がありますので、揺れを感じた時には近づかないのが得策です。

■断線した電線で感電する危険性も
住宅街で避難する際には、落下・倒壊などの可能性を考えながら移動することが大切です。電柱が倒れている場合には断線した電線による感電の危険性もありますので、特に夜間に避難行動をしなければならない場合には注意しないといけません。

商店街・アーケード街にいた場合:
天井の落下に注意。避難経路を事前に確認しておく

飲食店街では、避難経路が確保されているかをチェック

飲食店街では、避難経路が確保されているかをチェック

お勤めの行き帰りや買い物中など、近所の商店街やアーケード街などにいるケースも考えられます。一見、安全そうな場所であっても、さまざまなリスクが存在します。

■小さな飲食店が並ぶエリアは避難経路をチェック
時間帯にもよりますが、小さな飲食店が建ち並ぶような場所は火災の発生も考えられ、東京都の飲食店街は「火災危険度」「避難困難度」が高いと指定されている場所が多く見られます。「この場所で地震が発生したら」「火災が発生したら」どういった行動をすべきかを想定すること、避難経路が確保できるのかは考えておくべきです。避難経路が複数確保できていない路面店以外の飲食店は、火災発生時の危険が高いということも知っておきましょう。

■アーケード内にいる場合は、天井の落下に備える
過去の地震災害において「アーケード街」における被害は甚大なものになります。阪神・淡路大震災では、広範囲のアーケード街の天井の造作物が落下、崩壊していました。熊本地震でも震源を大きく離れたアーケード街で被害が発生しています。これは、アーケードの天井や看板などが周囲の建物の耐震性より大幅に低いという構造上の問題があります。

アーケードと同様の問題を抱えているのが、体育館やプールにある「釣り天井」のあるような構造物です。地震発生時にこのような場所にいた場合には、天井の落下に備えてすぐに壁際に移動するか、建物外に避難する行動をとらなければなりません。まだ新しい茨城空港の天井が崩壊して落下したケースは有名で、「室内の広い空間」は天井崩壊のリスクを考えないとならないのです。

河川の周辺地域にいた場合:
「橋」が崩壊しても避難できる経路を確認しておく

河川の流域は、地盤が脆弱なエリアも多いため、揺れが大きくなりがち

河川の流域は、地盤が脆弱なエリアも多いため、揺れが大きくなりがち

■河川の流域は、大きな揺れ、増水などのリスクがある
関東平野や大阪湾周辺には多くの一級河川や支流が流れています。地震発生時にはこれらの河川の流域は埋立地など地盤が脆弱なエリアが多く、地震の揺れが他の地域よりも大きくなる傾向があります。

また海に近い河口エリアでは津波の遡上などの可能性を考えなくてはなりません。加えて上流域では、土石流の発生、ダムや堤防の決壊などによる増水などのリスクも存在しています。

自然に近いということは、普段その恩恵を受けている反面、災害が発生した場合には、被害が大きくなることを覚悟していなければなりません。

■「橋」が避難の妨げになることも

そんな場所で避難行動の妨げになるのが「橋」の存在です。東京や横浜などでは数十年から百年もの間、架け替えられていない橋脚が無数に存在し、その耐震性に疑問がもたれているケースが数多く見られます。

避難経路に橋を使わないと安全な場所に辿り着けないような場所では、その橋が崩壊した場合にも避難できるような避難経路を想定しておかないとならないでしょう。

歴史ある煉瓦や石造りの橋など風情があってとても良いとは思うのですが、地震災害の発生時には、近寄らないということも知っておかなければなりません。

住宅地付近で地震が発生した場合のポイント・まとめ

  1. 木造密集地域では、火災を避けることが一番の重要事項
  2. ブロック塀や自動販売機、切れた電線に近づかない
  3. 看板やアーケード街の天井は崩落の可能性があることに注意
  4. 体育館・プール・空港なども、天井に注意
  5. 河川の周辺、橋の危険を知っておく
  6. 事前に避難経路を確認しておく

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