売れ筋であるSUVに投入した、三菱自動車久々の新型車
先行受注を開始し、間もなく正式発表される三菱自動車久々の新型車『エクリプスクロス』を雪道で試乗してみた。早速紹介したいと思う。まずエクリプスクロスというクルマだけれど、写真の通り売れ筋のSUVである。ボディサイズはアウトランダーより一回り小さく、ホンダのヴェゼルやマツダCX-3より一回り大きい。トヨタC-HRのライバルということになる。
搭載されるパワーユニットは新開発の4気筒1500ccターボ+CVT。大雑把に言って2200cc程度のパワーをイメージして頂ければいいと思う。ディーゼルや、アウトランダーのようなPHVも今のところ計画にないそうな。これから開発に着手しても、下を見て2年以上かかる。1500ccターボ買ったらすぐディーゼルが出てきた、みたいなことにはならないので御安心を。
良かった頃の三菱の走りが戻ってきた!
雪道の走りだけれど、素直な印象を書けば「良かった頃の三菱自動車が戻ってきましたね!」。三菱自動車のハンドリング、国際ラリーから撤退して以後は安全性のみ重視してきた。「曲がる楽しさ」みたいな要素は危険とされ、むしろアンダーステア(ハンドル切っても曲がりにくい特性。少なくともスピンすることはない)こそ正義という方向性になってしまう。私が乗っているアウトランダーPHEVも曲がらないクルマ開発のまっただ中だったため、雪道を走ると4WDなのにFFのような走りしか出来ない。コーナーで速度を十分落とし、ソロソロ曲がるような走り方が開発目標だったワケ。かくして三菱車は急激に「楽しさ」を失ってしまう。国際ラリーに出場していた頃の三菱車は、ハンドル切るとストレスなく曲がってくれたのに。
しかしゴーン体制になり人事がガラリと変わった。ツマらないクルマを作っていた人達は現場からいなくなり、国際ラリーに出場していた頃の三菱車を開発していた人を戻したのである。するとどうよ! 曲がらないクルマを全否定。輝いていた頃の三菱車の走りに戻してきた。今回、滑りやすい雪道を存分に走ったのだけれど、曲がるし安定性抜群。
というかラリー競技で良い成績を収めようとすれば、コーナリング性能と安定性とコントロール性を高い次元で追求しなければならない。するとトヨタの豊田章男社長の言う「良いクルマ」になる。エクリプスクロスのハンドルを握り雪道を走っていると「三菱自動車が戻ってきましたね!」と強く感じた。これなら雪が降ったら「待ってました!」と犬の様に走り回りたくなる。
ブランドイメージの回復こそ、エクリプスクロス成功の鍵
ただこの10年間で失ったものも大きい。ターボが付いているとは言え、1500ccだとワクワクするようなパワーには届かない。はたまた三菱自動車のブランドイメージも直近の10年で使い果たしたばかりか、燃費不正による負のイメージまで背負ってしまった。今のままだと良いクルマを作ってもショッピングリストに上がってこないだろう。強烈な売りとなる様な技術だって無し。エクプスクロスが成功するかどうかは、今後の三菱自動車のブランド戦略によって決まると思う。ゴルフクラブや自転車などは、競技で活躍しているブランドが人気だ。自動車も全く同じで、やはりモータースポーツに出ていないブランドは、安い商品しか売れないと考える。エクリスプスクロスの価格、諸費用込みで300万円前後だという。
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